専門分野から雨漏りを考える 小さな設備の不具合で漏水

株式会社塗装職人で完工検査などを担当しています、建築主任の内藤です。

建築施工の職人ですので、そうした職人視点を通してお客様の家におこるトラブルなどのご相談にのれればと思います。

 今回は、雨漏りや家の脱気口のトラブルなどについてです。

 

雨漏りの原因は洗面台の中に

 最初に、リピーターのお客様の雨漏り事案をご紹介致します。

4〜5年程前に屋根と外壁塗装で塗装職人にご依頼を頂き、工事をさせて頂いたお宅です。

そもそも、今回のご相談のスタートは古くなった洗面台でした。

お客様は、2階にある洗面台が古くなったので大手家電ショップに洗面台を見に行ったそうです。そこで洗面台を取り替えたい旨を伝えた際に、雨漏りもあることをお話しされたところ、家電ショップではリフォーム工事や雨漏り補修などもしていましたので、洗面台といっしょに見てもらうことに。

ところが、雨漏り補修の相談をしているうちに洗面台の話はどこかへいってしまい、「雨漏り原因は屋根だと思う」と言われ、しきりに屋根の葺き替えやカバー工法を進められたのだそうです。

なんとなく、屋根工事に無理矢理持っていこうとしているのが透けて見えて、お客様は不信感を持ったのだとか。そんな時思い出したのが、数年前に塗装工事をした弊社でした。

お客様からご相談がありご自宅へお伺いしたところ、たしかに2階の洗面台位置に当たる位置の1階天井部分に雨漏りが見られます。

そこで、まずはくわしく洗面台の点検をすることにしました。

ボール部分や、棚下の配管などをチェックし、シャワーも引き出してホースなどを調べたところ、シャワーホースが劣化して水が漏れていたのです。

ホースの口部分から水が漏れているため、ホースを収納した状態で使用すると、ホース管を伝って洗面台の内側に水が逆流してしまい、洗面台内部に水が漏れていました。その水が床下に流れ、漏水の原因となっていたのです。

雨漏り原因は見つけましたが、万が一他の原因があるといけませんので、念には念を入れて2階の床に簡単な工事で点検口を空け、1階と2階の間で他の雨漏り原因がないかチェックを。

結局今回は、屋根工事などはせずに洗面台の工事だけで済みましたので、お客様にも大変喜んで頂きました。

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漏水になりそうな箇所も未然に防ぐ

次にご紹介するお宅でも漏水のご相談があり伺ったのですが、今回は漏水の原因とは別に漏水になりそうな箇所も一緒に発見したのです。

漏水の原因は、2階のトイレに繋がっている給水の塩ビ配管のつなぎ目から水が漏れていたことでした。天井に穴を空けて見たところ、わりとすぐに原因が判明。

エルボという配管が原因だったのですが、設備の業界ではポピュラーな雨漏り原因です。

それよりも僕が気になったのは、同じく2階のトイレについている脱気筒から外壁にしみている水でした。

弊社は塗装がメインの会社ですので、外壁の塗装を数多くやっていますが、この脱気筒を見た際に少し違和感が……。

脱気筒は、配管の空気を抜くためにつけるものです。

2階のトイレは、1階に比べ配管の管が細いため水の流れる量が少なくなり、そのため配管の中から空気を脱気筒で抜くことで、水の流れをよくします。

果物の缶詰からシロップを抜く際に、缶に2箇所穴を空けるとシロップの出がよくなりますが、これと同じ原理です。

この脱気筒ですが、お湯などを使うとその蒸気があがり脱気筒から水がでることがありますが、通常は壁から少しこの脱気筒が突出しているため水は壁をつたい排出され、しっかりと塗装してある壁であれば問題はありません。しかしこの脱気筒は排出口が短く、外壁と躯体の隙間に水が落ちてしまっていました。

これですと、またここも漏水の原因となってしまいます。

そこで、壁と脱気筒の隙間にシール材を入れて塞ぎました。

漏水は、こんな小さな原因から起こってしまうので「何かおかしいな」と感じたら、まずはご相談下さい。

そのご相談で、家の寿命が変わるかも知れません。

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塗装職人としてさまざまな専門職の話を聞く大切さ

 

塗装工事は、雨漏りの補修などとも密接な関係があるため、僕は日頃からさまざまな分野の職人から雨漏りの原因となる箇所の情報を集めています。

例えば、先ほども少し触れました配管をL字でつなぐエルボ配管は、接続部をよく確認できるようにと一部のハウスメーカー等で透明なエルボが使用されるようになったのですが、配管と材質が違うため、接着した部分が10年経つとゆるんでしまうことがあるのだそうです。この透明なエルボの不具合は、設備専門の職人であれば業界内で当たり前の話です。しかし少し職人の専門が変わると、そうした話は入ってきません。

ですので、僕としては株式会社塗装職人の一員としてお客様のあらゆるトラブルに対応するためにも、設備、防水、板金、シールなどさまざまな分野の職人から情報を集め、お客様の家を見た時に判断が出来るようにしているのです。

これからも、さまざまな雨漏りや、また完工検査の際にはしっかりと確認が出来るように、精進していきたいと思います。

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建築施工主任 家のことを何でも出来るようにと、20代の時に長野県の木造建築の親方に弟子入りして大工の道へ進む。30代の時にはキャパシティを拡げるために農業や造園業にも従事。造園業では外構工事も多く手掛け、家に関するエキスパートとして活躍。見えるところだけではなく見えないところも手を抜かずにやるのがモットー。妻と子供2人の 4人家族。

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