営業、見積もり担当の松尾です。
さて、みなさん。
これはなんでしょう?
パッと写真を見て、お分かりになる方はいらっしゃいますか?
正解は、鉄骨階段の支柱の釘アナから水が噴き出しているところです。
まるでどこかの噴水や、水芸のような勢いある飛び出し方……。
思わず笑ってしまいそうになりますが、これ立派な雨漏りなんです。
さぁ、想像して見て下さい。
こんなところから水が噴き出してくるということは…水はこの柱の中になみなみと溜まっている状態です。
しかも支柱は基本地面に刺さっているだけなので、下からの排水口はありません。
そして、この支柱は「鉄素材」。鉄ということは…水浸しになった支柱の中は錆びているでしょう。
そしてさらに恐ろしいことに、支柱の付近には雨の侵入口はございません。
と…いうことは…雨水の侵入口はどこか別の場所です。
ふーーーー、考えただけでも恐ろしいですよね。
ここに出ている水がどこからやってきているのか、そしてどれくらいの年月をかけて溜まり、こうして噴き出すまでになったのか、防水のプロである僕でもパッとこれを見ただけでは分かりません。
そしてさらに恐ろしいことを言いますと、この状況は十数年前に建てられた一戸建てのパラペットタイプの屋根上やフェンスでも起こり得るのです。
もし屋根上の雨漏りが原因で、こんな勢いの水が家の中に噴き出して来たら……もう住んでいる方は大パニックになることでしょう。
雨漏りの原因を探すのは、本当に難しい作業です。
例えていうのであれば、体に不調が出て、血液検査からガンであることが分ったけど、ガンの原因である原発がなかなか見つからない状態…と同じと言えます。
ガンは、どこに問題があるのか分からないから、いろいろな検査をします。
しかも結局は検査だけではガンぽいものを見つけられても、それがどんな種類のガンなのかは分かりませんから、手術をして細胞を取り出し、検査してようやくそれがなんのガンでどのような薬が効果的なのかが分かるのです。
雨漏りも、そんな病気のガンと同じといえます。
検査だけでは見つけられず、結局気になる箇所をこじ開けてみるしかないのです。
さらにやっかいなのは、雨漏りの原因は1か所とは限らないこと。
そういえば、以前のこと、こんな雨漏りの家がありました。
非常に素敵なデザインの家で、外観もとてもおしゃれ…でも家の中で雨漏りが出てしまったのです。
原因を探し、屋上にも問題があったため漏水工事などもしたのですが、雨漏りは止まらず…仕方なしに家の壁中にある配管を調べることに。
お客様の部屋に入り、内壁を開けてみると、なんと配管がスチール製でした。
スチールつまりは、鉄製です。
スチール製の配管に水が通るのですから、そりゃあ錆びるし、穴もあきます。
これじゃあ、いくら屋上の漏水部分を止めても雨漏りが止まるわけはありません。
いわゆる、大きなガンを見落として小さなガンを手術しているような状態だったのです。
しかもこの配管……通常は屋上から外壁の最短ルートで配管を作るため、30㎝くらいの長さのものが多いのですが、この配管は2m……。もはやどこから水漏れしてもおかしくない状況です。
デザインは本当に素敵な住宅だったのですが、デザインを優先にしたがために、このような長さの配管になってしまったのでしょう。
もちろん、配管をスチールにしないことをも出来たとは思いますが、予算の関係などもあったのかもしれません。
他のブログでも申し上げましたが、鉄は安く扱いが容易な素材なのです……。
(こちらのブログです。写真に赤丸が付いているのが鉄です)
そして、ここでもう一枚の写真をご紹介します。
この写真は、某市にありました歩道橋です。
塗装は剥げ落ち、鉄製の橋自体も錆びてボロボロになっています。
この歩道橋、不思議なことに欄干部分の橋との接着面だけ補修工事がしてあるのです。
そしてよく見ると、支えか何かがあった部分が切り落とされ、空いた穴にはシリコンが詰め込んであります。
ところが、自治体の工事にも関わらずなんともお粗末な工事なのです。
乱暴に詰め込まれたシリコンの隙間から更に雨が入り込み、欄干部分は非常に怖い状態になっています。
もはやこの欄干足元の補修工事は、焼け石に水状態。
いやぁ……財政が厳しいのかもしれませんがお金がないのかもしれませんが、みなさんもどうかお気を付けください。
「鉄骨階段だからといって、いろいろ補強してあるんだから落ちるわけがない」と思う方もいらっしゃいますが、僕は怖いです。
これまで鉄骨階段が落ちているアパートを何件も見た僕がいうのですから、本当です。
ちなみにここまで、さまざまな鉄材のトラブルについてお話しましたが、アルミでも同じことが起こりますので、家の建材でアルミや鉄を使っていらっしゃる方は、どうか一度家の点検をされることをおすすめ致します。
アルミや鉄は、一昔前の家でも普通に水が通る場所などで使用されていた建材です。
安く建てた戸建ての場合などは、鉄を使用している家は非常に多いので……。
何度もいいますが、家はどんなにきれいに使っても劣化します。鉄やアルミで作られた部分も同じです。水などの悪条件がないとしても、年数とともに劣化します。
そして、劣化のあげく水が中に入り込み、雨漏りとなるのです。
雨漏りは、数年越しで家の中を侵食し症状として急に出てくるので、家主にとってはまさに青天の霹靂です。
でもしっかりとした定期的なメンテナンスをすれば、こうした急な雨漏りはかなりさけられるでしょう。
どんなことにも原因と結果があります。
安い工事はどこかの工程を端折っているか、建材を安くしているから工事代を安くできますし、雨漏りが出るのは、雨がしみ込む部分をメンテナンスもせず放っておいたから雨漏りがおこるのです。
よくどんな状況の外壁や屋根でも、防水工事をすれば雨漏りを直せると思っていらっしゃる方がいるのですが、防水工事は雨漏りを直す特効薬にはなりません。
防水工事は、塗装工事に比べて高いので「これだけ防水工事にお金を出しているのだから、雨漏り部分を防水層で塞げば止まるだろう」と思ってしまうのかもしれません。
でも、雨漏りを止める工事と防水工事は別物なのです。
防水工事は、雨がまだしみ込んでいない箇所にする水を防ぐ工事であって、すでに漏水し中身が錆びている状態を塞いでも、雨漏り箇所は雨漏りしたままになります。
【雨漏りを止めた防水工事の動画です】
家を建てる際の建材は、時代とともに変わってきます。
昔は普通に使っていた建材が、今では様々な被害が出ることがわかり、使用しなくなったものもたくさんあります。
今現在でアパートを建てようと思う時に、安いからと言って鉄骨階段を選ぶ人はほとんどいません。
何よりもこのことを象徴しているのが、東京都の水道管です。
みなさんもニュースでご存じかと思いますが、東京都の水道管は鉄で出来ているのです。
水を通すものなのに鉄……普通に考えたらありえないですよね。
でも何十年か前の時点では、この「水道管に鉄材」という違和感に気が付く人はいなかったのです。
それなので、現在では錆が広がり水道管が破裂したりしています。
数十年前の東京都でさえも、水を通すところに使ってしまった鉄材。
これを読んで下さっている方の家を建てた当時は、本当に水を通す部分に鉄材を使っていないのでしょうか……。
もしも今住んでいる家が、建ててから10年以上経過しているのであれば、一度家の状態をチェックして見て下さい。
忍び寄るトラブルがまだ表面化していないだけで、ここで紹介したような鉄材による被害はあなたの家のフェンスや屋上で起こっているかもしれません。
信じるか信じないかは、あなた次第です……。
【雨漏り修理の動画です】