本日は昨年のことなりますが、都筑区すみれが丘で二つのバルコニーウレタン防水を行った際の事例です。担当した職人は防水工事ではお馴染みになりつつある島田ダイ。
現場は閑静な住宅街の一角にある、一部レンガを使用したモルタル外壁とコロニアル屋根がおしゃれなお宅。
こちらのバルコニーで、防水層の巣穴のパテ埋めと、ウレタン2層目の流し込み。もう一方のバルコニーで立上りウレタン塗布と補強用のクロス張りをしました。
まずはバルコニーの下地に張るクロスの裁断から開始。
このクロスが下地の歪みや動きなどを緩和させて、防水層にひび割れが発生することを抑制させます。元々のメッシュはロール状になっているので、バルコニーのサイズに合わせて計測し、ハサミで裁断します。
もう一つのバルコニーではウレタンの1層目が完了しているものの、巣穴という小さい穴があちこちに発生していたので、パテでこの穴を埋めて補修していきます。
島田いわく、ウレタンを流してから巣穴ができてしまうことはあまり無いらしく、それだけ下地の状態が悪化していたようです。
まずは補修用のパテを作っていきます。
防水の材料は誤差が出ると固まらなくなってしまため、秤できっちり計量して使用します。
ウレタンの材料(主材と硬化剤)に対して10%のシンナーを加えて希釈し、撹拌機でしっかり混ぜ合わせます。使用する材料は一度に作り置きできないので、一つの工程が終わるごとに計量・希釈・撹拌をしてその都度準備しています。
撹拌したパテ用のウレタンは、かなり固めの材料。ゴムベラに少量とって、巣穴の上に乗せたらヘラで平らにしつつ穴を埋めていきました。ヘラは立てて動かすと材料が薄く伸ばされ、寝かせて動かすと厚みがつきます。
立ち上がりの下部にできている段差もパテで平滑に整えました。
巣穴埋めを完了させた後は、もう一つのバルコニーの立上りにウレタンの1層目を塗布します。
さきほどのパテよりは少しゆるい材料を、壁と立上りの境目ギリギリにたっぷり置き、垂れてくるところを刷毛ではらうように伸ばして塗り広げていきます。
床に垂れた材料はそのまま横にスライドさせて平らに。サッシの下にはレールがあるため、材料を付着させないように慎重に塗布して仕上げました。
次は、先ほど裁断した補強用クロス張りに入りました。クロスは一度に張るのではなく、折りたたんだものを少しずつ広げて上からウレタンを塗布し、塗り終えたら、また広げるというように繰り返していきます。
今日使用するクロスはシワになりにくい材質ですが、ローラーを転がすときは、必ず一定方向に転がさないとぐちゃぐちゃとシワになってしまいます。張っていくうちに、微妙にクロスが斜めになってきたので、少し持ち上げて位置調整。バルコニーの寸法通りに裁断したクロスですが、かなり伸びやすいのか端がかなり余っていました。伸びた部分やドレン穴部分をハサミで切って端まできっちり仕上げます。
次は再び巣穴補修をしたバルコニーに戻り、立上りに2層目のウレタンを塗布していきます。もう一方のバルコニーに塗布した1層目用より緩いので、刷毛も動かしすく材料が自然に馴染んでいきます。室外機を移動させて、ホースには付着させないように細心の注意を払いながら、裏側にある立上りにもたっぷりウレタンを重ねていきます。
立上りが完了したら、いよいよ平場にウレタンの2層目を流し込んで最後の防水層を形成。缶から直接ウレタンを床に流し込み、レベラーという大きなヘラで全体に行き渡らせます。このヘラは先端に丸みはあるものギザギザした突起があるので、動かすと線が出てしまうためローラーやコテを使って平らに均していきました。
平場用のウレタンを均していくときは、水面に波紋が広がるように、本当になめらかに広がっていきます。バルコニーの端には室外機があるので、その下も丁寧に塗布したら、施工箇所は残すところあとわずか。足を床に付けないように、バルコニーの笠木と室外機を浮かせている台の上に足を乗せて、バランスを取りながら端まで塗布して完成です。
後日、トップコートを塗布して剥き出しになっている防水層を紫外線から保護します。このトップコートには滑り止めの微細なゴムチップも入っているので、歩いた時に滑りにくく、ウレタン特有の光沢はマットに仕上がります。
この日は防水とは別に、一級塗装技能士の竹内と二級の曽根カズが外壁の下塗りと屋根の縁切りも行いました。
こちらは屋根下の壁を塗っている最中。屋根の勾配が急なため、寝そべって塗装をするとズルズルと体が落ちてしまうので、もう一人が脚を使って支えになっています。足場がない場所でも工夫を凝らして入念に下塗りを行いました。
外壁の下塗りを終えて、屋根の縁切りをしている曽根。カッターや皮スキ(金ベラ)で屋根材の重なりに隙間を開けて、その中にタスペーサーをいう縁切り用の資材を差し込みました。
断熱塗料で厚膜に仕上げた屋根の塗膜は強固で、カッターの刃がすぐに折れてしまいます。何度も何度も刃を付け替えながら、一箇所ずつ地道に縁切りを進めました。