一生懸命やりました、屋上防水。
現場は横浜にある国道15号線沿いの新子安駅の目の前のビル。
ここ数日は天気も良く気温もこの時期にしては高めだったため、屋上防水にはもってこいの日だったわけなのですが、職人にしてみれば少し暑いぐらいでした。
うちの曽根カズが気合を入れました!
この日はウレタン防水を流す日。
ウレタンは流してからちょっと急いで塗らないと仕上がりが悪くなってしまいます。頑張って塗布したおかげで、一層目のウレタンは仕上がり良く無事終わることができました。ただ、ここに至るまでが大変でした。
この動画で、いかにウレタンを塗布するまでの下地補修が、耐久性に対してすごい重要なのが、職人の説明でよく分かってもらえると思います。ちなみに工事全体の8割近くが、ウレタンゴムの下に隠れて見えなくなる作業に費やされています。
実をいうと、この平米数でウレタンを流すのは、立ち上がりも含めて半日ぐらいです。ウレタンは大体2層塗布するので、それでもおおよそ合計1日。このお宅の防水工事は、トップコートの仕上げまで10日ほど掛っているので、つまり一週間以上はウレタンのその下の下地補修の作業になります。
その作業とは、高圧洗浄だったり、クラック(ひび)を埋めたり、伸縮目地のシールやクロス張りをしたり改修ドレンをつけたり、自着シートを着けたりと、ウレタンを流す前にいろいろ作業をしています。
「屋上のウレタン防水工事」なので、もっとも雨漏りに対して効力を発揮するのは、もちろん一番上の層にあるウレタンです。ただ耐久性を考えると、ウレタンだけでは不十分です。
年数がたってくると、ウレタンにひび割れが生じてきたり、下地のモルタルから浮いてきたり、傷みが加わります。ウレタンを見た目が悪くない程度に流すのは簡単かもしれませんが、それだけでは長持ちはしません。ここら辺は塗装と似ています。見た目がよくても、耐久性とはあまり関係がないということですね。
実際、劣化した屋上防水の見積もりで診断調査に行くと、残念ながら明らかに手抜きの工事にちょくちょく出くわしたりします。防水が塗装と違うところといえば、塗ったり貼ったりする前の工程がやたらと多いということです(Facebookアルバム)。
外壁塗装の場合、塗装の前に行うのは高圧洗浄のみ。
ところが保護モルタルの屋上防水の場合は、さっきもお話しした通り、状態が悪ければまずモルタルで下地補修をします。もし凸凹がありすぎたら、モルタルの補修の前に、ディスクサンダーなどで削って平らにする不陸調整をするときもあります。防水はできるだけ凸凹がないほうが平滑に仕上げられるため、これは基本ですね。
そして、下地補修を行った後は、下塗りにあたるプライマーの塗布や伸縮目地のシール打ちをします。今回は、ひび割れ(クラック)が少なからずあったのでクラック補修をしました。
伸縮目地もただシールをするだけでなく、クロスというメッシュ状のシートを、屋上の平面と立ち上がり部分にも貼ります。これを貼るのと貼らないのでは大違いです。クロスが年月の経過とともに硬くなっていくウレタンのひび割れを防いでくれるのです。
さて屋上防水は、現場の状況によって、このクロス貼り工法以外に、プライマーとウレタンだけのウレタン密着工法、ウレタンの下に自着シートやパンチシートなどをはさんで絶縁した通気緩衝工法があります。ちなみにモルタルの場合は、塩ビシートで施工する場合もあります。
ウレタンはもちろん高粘度の「液体」なので、塗料とおなじく希釈して使うため、職人の使い方や作業などでも質が変わるのですが、塩ビシートはごまかしがきかないところが利点です。
ただ改修工事ではウレタン防水がメインのところが多いようですけどね。また通気緩衝工法というのは脱気筒という、下地からの湿気を逃がすための煙突のようなものを取り付けるものです。それからウレタンを2層流し最後にトップコートをして完了という手筈です。
どれだけウレタンを流す前の作業に手間がかかるというのが分かってもらえるのではないかと思います。
繰り返しますが、塗装の場合は高圧洗浄だけですからね。養生はありますがそれは結局、最後にゴミとして捨ててしまうものなので、塗装の品質自体にはあまり関係ありません。まぁあまり養生が乱雑だと、塗料の飛びちりばかりを気にしてローラーなどの作業に支障が出てきたりする場合もあるとは思います。
工事期間中の横浜では雨が続くということもなく、青空の下、気持ちよく作業できたようです。