工事の見積書を受け取ったら、次の項目をチェックしてみましょう。
見積書から判断する7つの必須項目
- 必要な量の塗料(塗料の缶数)が明記されているか。
- カベの塗料の種類が明記されているか(下塗り塗料も含めて)
- 木・鉄部塗料の種類が明記されているか(下塗り塗料も含めて)
- 下地調整作業の項目が明記されているか
- 塗る部分の内訳が細かく分かれているか(足場・養生・壁・破風・軒裏・雨戸・雨どいなど)
- 「一式」ばかりでなく、平米○○円で細かく計算されているか
- 一式坪○○円というのは論外
見積書の説明を受けるときに、同時に次の2つの作業内容についても説明してもらいましょう。
まず、塗料のうすめ方や下地調整の説明を聞く必要があります。ただし、営業マンのはなしと、職人が実際に行う仕事は必ずしも一致しません。
営業マンが説明する品質と、職人が行う仕事の品質が、異なることもある、ということです。作業を担当する職人から説明を受けるのがより確実です。
また、足場の組み方についても聞いておきましょう。
塗装工事の場合、おなじ箇所を、下地調整や下塗り、中塗り、上塗りと作業をします。そのため家の周りをグルグルと何度も行ったり来たりしますので、当然バランスのとれたしっかりとした足場を組む必要があります。
昔、大工さんに、「ペンキ屋さんは大変そうじゃないからいいよなぁ」と言われた事があります。
その時は、そう思われても無理はないと思っていました。なぜなら、私も塗装職人をする前はそう思っていたからです。確かに地面に足をつけて作業ができれば、塗装作業はそれほど大変ではないのかもしれません。
しかし不安定な足場の上では、状況は180度違ってきます。まず落ちないように、1日中神経を使っています。その状況で、ひざを曲げながら下からのぞきこむような格好や、何時間も中腰や天をあおぐように体制を維持しながら作業をします。
まるで足場上で筋力トレーニングをするようなものです。見た目よりはるかに神経や体力を使い、負担がかかっているのです。足場の上り下りも、工事完成までにどう少なくみても50回はしていると思います。
もし忍耐力がなければ、さまざまな作業場面でラクをしようと考えるものです。つまり手抜き作業につながっていきます。
作業上の手抜きは、技術や経験からくるものではありません。
仕事への思いからくるものです。仕事への思いがなければ、忍耐力も弱まります。忍耐力という言葉が、適切かどうかわかりませんが、要するにそういう作業に対しても自分に負けないということです。自分に負けることは、お客さんの期待を裏切ることになります。
それぞれの家には、作業部分によって、「ここは仕事だぞ」と、気合を入れなおさなければならないときがあります。やりづらい場所や、特に傷んだ箇所に向かう時がそうです。
私の場合、そういうところで「こんなもんでいいか」と一回でも妥協してしまうと、それに慣れてしまう気がして怖いという思いがあります。だから大変な作業でも、自分自身に負けないように、強い気持ちで作業に挑みます。
仕事への思い入れがあれば、この気持ちは無意識に働くような気がします。話がそれましたが、高品質な工事を行うためには、できるだけ態勢に負担をかけない足場を組むことも大切なのです。
「足を乗せる部分が横1本で組まれた足場だったんですが・・・」
以前、電話でこんな相談がありました。その足場で質の高い工事は絶対不可能です。どのように作業したのか逆に質問したぐらいでした。横1本は極端ですが、街を車で走っていても、たまにごく簡単に組まれたバランスの悪い足場を見かけることがあります。
足場の質にも、すこしだけ注意を向けることも必要かもしれません。