塗装業者にとって一級塗装技能士なんて意味ない?

「外壁塗装とビジネス」

試しに “外壁塗装とビジネス” で検索してみたら、予想外にも出てきますね。

塗装業の参入チャンスとか、集客爆発営業みたいな感じで、どうりでインターネット見ても、ここ最近名前の聞いたことがない業者さんがやたら多くなってきたなというのも納得できます。

以前からもそうでしたが、最近は益々という感じです。心配なのは、現場とか技術が置いてけぼりで、ビジネス先行ばかりになってきてしまわないかということですね。

塗装屋は現場が基本

私もビジネスにはとても興味あります。会社にも「半年で1億円の簡単集客!」などのようなタイトルが表紙になっている業者向け案内セミナーのようなDM案内が定期的に郵送されてきます。

今は中身をほぼ見ないままいつもゴミ箱行きですがこういうものを見ていると、ペンキだらけになって汗水たらして仕事する現場が蚊帳の外にされてしまっているような気がしてなりません。

このような営業手法がいけないということよりも、やっぱり塗装の専門性としての経験や技術があってこそ成り立つものだと思っています。たぶんまだ経験の浅い業者さんやこれから塗装業を始めようと思う人が早とちりしてしまい、そういうものに頼ってしまうのだと思います。

技術的なことも大切

この案内には現場での技術的なことや工事対応のことは一切触れていないものがほとんどです。集客だけに特化しています。本当に塗装業をするなら集客も当然必要ですが一番大事なのは工事の質と工事後に何かあった場合のクレーム対応やアフターサービスです。

きっときれいごとを言っていると思う方もいるかもしれませんが、塗装業というものに腰を据えて長くやるためには、工事後の対応までお客さんに満足してもらわなければ、いつも現場を引きづってばかりで経営も成り立ちません。業者として負うべき工事責任がいつもついて回ります。

DM案内では、そのような工事品質面に対しての対応というものには一切触れず、契約目的のためのお客さん対応ということに主眼が置かれているようです。

真剣に塗装店をやっている業者さんから見れば、業界全体が今このような具合ですから、かなわないって思う人も少なくないのではないかと思います。

でもこういうのを見れば、これから塗装を検討する人も、業者選びをする際に何かのヒントになるかも知れません。業者選びに関しては、私的には客観的にみてもやっぱり一級塗装技能士が施工する業者さんを選ぶべきだと思います。

こう言うと、うちの会社自身がそうなのでブログやSNSなどで自分からの発信はあまり気が進まないのですが、本当にそう思うので仕方ありません。

合格率50%という一級塗装技能士になるまでの道のりと職人の素質 【前編】

建築塗装の国家資格は一級塗装技能士だけ

現場で何十年も自慢の腕をふるってきた本当の業者さんがいる一方で、ビジネス先行の業者さんが増え続けているのを肌で感じると、技術的に関する情報発信にも力が入ります。お客さんから見てもその差を感じられるのは難しいと思いますが・・

ここまで一級塗装技能士が報われていないのは、現場を知らない普通の人から見ると資格というのは少しややこしいからなのではないかと思います。

家の外壁塗装とはほぼ関連性のない、施工管理技士や建築士などもあったりして、そのほか民間の資格やその会社が命名した何とか診断士というものなどいくらでもあります。

建築塗装でいえば、国家資格は一級塗装技能士だけですが混乱してしまいますね。

塗装工事関連の国家資格と民間資格のちがい

そもそも資格のパワーが必要

 

一番報われない理由は、厚生労働省をはじめ、管轄の職業能力開発協会の啓蒙活動などが行われていないからというのもあるのかなと思っています。私が一級塗装技能士をとった平成15年のころ資格を取ると金バッジみたいなものももらえるのですが、それにはこんなことが書いてあります。

「技能士章は技能検定の合格者に常時着用していただき技能士としての誇りを持っていただくとともに、技能士は素晴らしい技能をもっていることを社会にアピールするため厚生労働大臣が交付するもので、昭和41年に制定されたものです。技能士章のデザインは、技能の枝の字を中心とした光とその間を結ぶ菊花によって構成されています。光は技能の輝きを表し、菊花は技能士のもつ名誉と誇りを表しています。あなたのご活躍を心より期待しています。厚生労働省」

と、少しばかり他人事のような気もします。実際に受験案内だけで、資格取得者を応援するためのアピールというものは貪欲にはしていないような気もしています。

現状の塗装業界を見れば一目瞭然かもしれません。一業者が資格を社会にアピールする力というものは普通であればないわけなので、もう少し厚生労働省のほうで啓もう活動をして頂ければとも思います。

ちなみに一級塗装技能士を受験するためには、講習やら学科や実技のために用意しなければならない書籍や材料、道具などを含めて、実質1回で6万円前後の技能検定料かかります。

それが神奈川県だけでも百何人、全国レベルでみれば数千人いるわけですし、しかもこの数字は塗装だけではありません。

技能士というのは塗装だけではなくて、食品や衣服など他の職業もあるわけですから、啓蒙活動に少しでも役立ててくれれば、多くの一級塗装技能士の職人さんも仕事で困ったり、無理して赤字覚悟の下請けをする人も少なくなるのではないのかと思ったりします。

一級塗装技能士の試験詳細はこちらのページでもご紹介してます。

令和4年度 一級塗装技能士試験 概要

確かに技能士を持つことは塗装の職人であれば、ちょっとしたステータスです。技能士カードももらえます。ただこのような発行物がどのような意味を持つかという点でいえば、知り合いに見せることぐらいしか思いつきません。

この技能士カードを持つことによっての明確なメリットは今は少ないです。技能士でなければならないという必要性がもっと世の中に生まれてくればいいとは思います。

ただそれでも少しずつではありますが、一部のお客さんからは一級技能士がのワードが出で来るようにもなりました。一級技能士が在籍していても実際の施工は一級技能士の職人さんではなかったということも聞きます。

それも踏まえてこれからも一級塗装技能士の宣伝係として広く認知してもらえるような意識は引き続き持ちながら仕事していこうかなと思っています。

 

一級塗装技能士のほか「ひび割れの専門家」としての樹脂接着剤施工技能士の2つの国家資格と、塗装科・職業訓練指導員の所有者でもあります。 塗装業者さんはたくさんあれど、本質的な工事品質の差は「社長が職人の業者は現場に魂が宿る」という言葉に表されるのではないかと自分を戒め修行中です。

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