2回目の塗料値上げで外壁塗装業界も限界?

塗料の主要メーカーといえば「日本ペイント」と「関西ペイント」です。うちでは事務所の前に日本ペイントの看板を掲げてもらうほどなので、数十年前から日本ペイントを主力に使ってきました。

せきゆ

外装関係の塗料もOP塗装(オイルペイント)が主流だったころから、ファインウレタンなどが出てきて「シリコン伝説シリーズ」の塗料でかなり件数の工事をさせて頂きました。今はラジカル制御型の「パーフェクトシリーズ」が順調ですが、シリコン伝説も他の多くの業者さんも使っていて長期間塗装現場を席巻していましたね。

最近では、ミズタニペイントの「ナノコンポジット」がかなりの人気です。うちでも相当数出ています。

ナノコンポジットW

 

それはそうと、その塗料メーカートップの日本ペイントから昨年に続き2回目の値上げの発表がありました。

 

直近では2回目の塗料の値上げ

 

昨年は9月に値上げが実施され、今回は2022年5月23日から2回目の値上げが実施されます。

前回の価格改定以降も原材料価格の大幅な上昇、原油価格の高騰などによる物流費の上昇に歯止めが掛からない状況が続いております。・・・企業努力の限界をはるかに超える状況に至り、昨年の価格改定に加え、誠に不本意ではございますが、下記の通り運賃および製品販売価格の改定を実施することといたしました。

 

値上げか額は下記の通りです。

・水性塗料:10~15%
・溶剤系塗料:15~25%
・シンナー類:30~35%
・粉体塗料 : 5~10%

 

それに伴って運賃も10~30%上がるということですがこれは輸送コストだと思います。前回は値上げと共にかなりの品薄状態にも陥りました。お客様が希望とする塗料の種類も、突如として生産する海外工場から入ってこないなどの状況にもなったりしてお叱りを受けたほどです。

メーカーがあらかじめ日数に余裕をもった形で注文を受けれないなどのアナウンスをしてくれればよかったのですが、塗料を発注し工事開始後に塗料が入ってこないといわれても、それはお客様も怒ります。今回の値上げはロシアからの化石燃料などの輸入制限と原油価格などが高騰している影響とみられています。

塗料はすなわち石油製品そのものなので塗装関係の補助金が使えればいいのですが、これも自治体によって制度がまちまちです。

 

横浜市には塗装関係の補助金制度は存在しない

最近は世界情勢が絡んで物価上昇が目立ちます。日用品も次々に値上げを発表していますが一番はエネルギーです。ガソリン価格も高騰して緊急経済対策として政府が補助金制度も打ち出しています。塗料はといえば当然日常で使うものではないので補助金などはないので直撃です。

塗料というよりかは塗装のリフォーム関係の補助金制度というものはありますが残念ながら横浜市ではありません。

ネットの情報で勘違いしている人も少なくないようですが、都内近辺でいえは世田谷区や杉並区、目黒区、大田区で補助金制度があります。ただし実際の工事はそれぞれのエリア内に事業所がある業者でなければならないという条件があります。

塗装職人東京店では結構頻繁に補助金制度を利用する方もそれなりにはいますが残念ながら横浜市にお住まいの方は塗装リフォームに関して言えば補助金制度そのものがないのです。

 

あわせて読みたい 【外部リンク・塗装職人東京店 世田谷区の補助金制度】

2022年度版:世田谷区の屋根塗装(+外壁塗装)補助金(助成金)

実際の値上げ実施時期は5月23日からということなのでまだ日がありますが、うちの場合に関して言えばもう工事が埋まってしまっているため、今後は値上げされた塗料価格が反映された工事になるということになります。

 

企業努力で値上げ分を肩代わりする

お客様にすれば、実際は工事全体の価格が重要なわけであって、施工費などの部分をうちのような施工業者が企業努力をすれば今回のような塗料の値上げはさぼど影響は少ないといえるかもしれません。もちろん企業努力と行っても塗料を薄めるなどして、本来必要とされる分だけの塗料を使わずに缶数を少なくするという工事品質に悪影響が出るような手段は論外です。

「メーカーマニュアル通りの使用缶数を使う」というのも外壁種類によって変わってくるので塗料カタログだけの数字が正確だとは言いませんが、塗料の薄めすぎは品質低下につながります。

使用缶数が足りないとどんな塗料も品質低下がすごい話

 

他に品質を落とさないで価格を抑えるというのであれば、塗り分けをしないで何でもかんでも同じ色にしてしまうというものもあります。塗り分けをしなければすべて一色単に塗ることができて、職人にすれば色ごとに用意しなければならない道具や、各色の塗料を調達する必要がなくなるからです。

もちろん塗り分けをするにはある程度技術が必要なためその手間も減ります。その一方で耐久性に問題はないもののお客様からすれば色を自由に選べなかったりして塗装の楽しみがなくなります。

 

その他を考えるとすれば、工事時期を完全にうちの都合の良い日程にしてもらえるかどうかです。おかげさまで、塗装職人の場合真夏も梅雨も真冬も1年を通して忙しくさせて頂いています。ですが、今回のようなエネルギー不足に直撃を与えるような戦争という世界情勢を目の当たりにするのは初めての経験です。

今年に入ってから真冬の状態でも3か月先まで工事契約が埋まっているという状態なので、まだ現状その流れを保っていますがこの先どうなるかわかりません。これは毎年のことなのですが、総じてお客様の声を聞くと梅雨時期や真夏は避けたいというのが垣間見られます。

その時期に工事を行っても耐久性が変わるということでは全くないのですが、この値上げをすり抜けるために企業努力としてうちが行える施策というのがあるとすれば、この8月以降などの真夏の時期でもこちらの都合で工程を組ませてもらえるかどうかです。

工事はどうしても春や秋以外は譲れないという方以外も一定数いるため、まったくのこちらの都合で工程を組ませてもらえるなら値上げ分を肩代わりして工事させてもらうことも良いと思っています。

 

遮熱塗料を使用して地球温暖化の防止

さらに値上げ分を肩代わりするという条件を伝えさせてもらえれば、塗料は遮熱塗料の場合に限ります。そもそも自治体が塗装リフォームに対して補助金を出すのも都や国の政策ではないらしいですが、国がカーボンニュートラルを目指しているのもあって、温室効果ガスを減らすために制度を設けているというのが本質にはあると思います。

遮熱や断熱塗料で塗ればエアコン代などの電力消費の節約にもなる上、ヒートアイランド現象による地球温暖化防止にも役立ちます。何よりウクライナ危機の燃料価格の高騰でこれから電気代の値上げも懸念されているなか、少しでも家計の助けになればと遮熱や断熱塗料という前提で見積依頼をしてもらえればと思っています。

それ以外今回の値上げに対抗する手段というのはもう難しいです。そもそも外壁塗装の業界自体が競争激化の状態なので値段を下げる努力というのは、言い訳になってしまいますが一筋縄ではいきません。すでに一括見積り会社などのような出現で価格に関してはすでに多くの業者も苦行を強いられているわけです。

熾烈な価格競争の中、前までは格安に対しては必ず裏があるということも訴えていましたが、もう品質の差や技術の差を訴えてもいたちごっこです。逆に高価格帯でも必ず高品質なのかといえば、最近ではそうではなくなってきています。

格安塗装の場合、手抜き工事だとしても言い換えれば価格相応な工事かもしれませんが、高価格で手抜きという工事は目も当てられません。

 

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余った塗料は廃棄ではなく再利用する責任

こうした値上げはいつも末端などの施工業者にしわ寄せが行く感じがして、塗料メーカは企業努力が限界を超えているとはいいますが改善する部分はあると思います。現場で余った塗料の廃棄は廃油専門の産業廃棄物業者に委託して処分するわけですが、それを塗料メーカーが再利用にする仕組みなどを構築できないのかといつも思います。

これからこの先益々化石燃料などの天然エネルギーが不足して高騰するのは目に見えていると思います。今これだけの戦争をすればロシアとの関係はこの先数十年と断ち切らざるを得ないのはほぼ間違いないと思いますが、石油製品をメインに扱っている塗料メーカーだからこそ、ただ売りっぱなしではなく先陣を切って再利用などの仕組みを真剣に考えて実際に運用利用してほしいと思っています。

これは今思いついたということではなく昔からシンナーや塗料の廃棄はドラム缶に入れて処理業者に運んでもらっているときから、ただ廃棄するだけでなく再利用ができないものかと思っていました。

以前10年ほど前に倉庫を整理した時には、在庫塗料の管理不足も続いていたこともあって有効期限が切れた新品塗料を含め100缶以上処分したこともあります。

企業という立ち位置からすれば、そうしたリサイクルの仕組みを構築するにはコストが掛かるので一筋縄にはいかないとも思いますが、今の情勢からすれば石油製品扱う大企業だからこそただ値上げすればいいということだけでなく、塗料メーカーの使命という役割についても真剣に考えてもらいたいものです。

 

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昔は一旦発注した塗料でも「常備色」であれば誤発注に限り返品も可能でしたが、最近ではそれでさえも返品不可になったので、もし色の発注ミスがあれば使えなくなってしまいます。中塗りで使用できることもありますが、カスレや透けなどの影響もあるため現場状況次第です。

最悪はそのまま処分ということにもなりかねないため、お客様との塗料の色の確認はそれは慎重に行います。

 

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今回の塗料の値上げでどの程度、工事価格が上がるのかといえば、これはズバリ外壁の種類によって大きく変わります。サイデイング外壁の場合は割合とツルツルとした下地が多いため塗料が伸びて塗りやすくなる分塗料の使用量も少なくなります。

なので値上げはさほど大きな影響はありませんが、これがモルタルで凹凸がある外壁の場合は、塗料の伸びも悪いので使用量が多くなり塗料代もかさむ分だけ今回の値上げの影響もサイディングより大きく受けることになります。

 

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一番多く出ている水性のパーフェクトシリーズに関して言えば、外壁種類を問わずに平均をとれば、通常の大きさの戸建てであれば外壁と屋根合わせて3万程度かと思われます。これがフッ素やそれ以上の耐久性を持つといわれる「パーフェクトセラミックトップG」などの場合は1缶で5万円近くするため、外壁と屋根塗装をした場合で外壁種類によっては5万円以上の値上げも簡単に推測できてしまいます。

断熱塗料などもそもそも高額な塗料の部類なのでフッ素などと同額ほどの値上げになると思います。

 

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値上げ値上げとあまり歓迎されない言葉ですが、値上げ以前の問題で本来はそれほど高くない塗料なのにとんでもなく高額な価格という塗料という工事もあるので、値上げ部分ばかりに注目しせず、見積書も隅々まで目を通してもらい本来の価格が適正なのかどうかという部分にも目を向けてほしいですね。

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一級塗装技能士のほか「ひび割れの専門家」としての樹脂接着剤施工技能士の2つの国家資格と、塗装科・職業訓練指導員の所有者でもあります。 塗装業者さんはたくさんあれど、本質的な工事品質の差は「社長が職人の業者は現場に魂が宿る」という言葉に表されるのではないかと自分を戒め修行中です。

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