サイディングに傾斜がつき、段々になっている壁(ドイツ貼り)は、塗り残しが出ないよう細心の注意を払って仕上げます。勾配の激しい屋根は、太陽光を反射する遮熱塗料を用い、屋根の温度上昇を抑制する塗装をしました。とても扉飾りが綺麗なお家です。
まずは綺麗なガラスを塗料で汚したりしないよう養生し、白い扉にペーパーヤスリをかけて傷をつけます。こうすることで塗料の食いつきを良くするので、とても大切な作業です。ドアノブに汚れがつかないように、こちらも丁寧に養生します。
たとえ下が土であろうが、不要な汚れは残しません。軒下を塗る際、垂れないよう気をつけますが万一垂れてしまって汚さないよう、布シートを敷いておきます。これも塗装の大切な相棒です。軒にはまずケンエースという塗料で下塗りします。このケンエースは、ヤニ・しみ止め効果と優れた付着性を有したつや消しの塗料です。
塗装は大体6~10年周期が望ましいのですが、10年経てば屋根の雨抑えは釘やねじが飛び出してしまいます。
こういった釘の打ち直しをし、下塗りを行います。今回は遮熱塗装ですので、サーモアイでの下塗りです。赤外線の熱を反射する遮熱2液シーラーでがっちり塗ります。目にも眩しい真っ白の下屋根が完成しました。もちろん、この上からさらに二回ほど塗装を重ねますので、もう二度と見られない真っ白な屋根です。
養生が一日では終わらなかったので、現場に入ってすぐ、昨日の続きで養生をしました。
普段はマスカーと呼ばれる、簡単に言えばガムテープとビニールが一つになったものですが、これは窓などを汚さないようにくっつけるもので、例えばドアの枠や先にあげました手摺りなど、覆う必要がなく綺麗な線を出したい部分には様々な場所で活躍する皆さまご存じのマスキングテープを使います。
このマスキングテープ、ダメ込みをする際にも役立ちます。例えば軒と壁の境目は90度になっているのでどうしても刷毛の塗料がついてしまいがちですが、テープを貼っておけば安心してダメ込みも出来るのです。一見手間な作業ですが、スムーズな作業をするためには絶対に欠かせません。
エアコンの風通しの筒、雨どいの裏など細かいところも小さいローラーや刷毛でこまごまと塗ります。些細なところでも逃しません。
あ、ほら見て下さい、養生していたので塗料がついてしまっている縦樋も剥がすと綺麗です!
あとはベランダのウレタン防水を塗るためにプライマーを塗り、中塗りをし、上塗りをし……今までやってきた工程をベランダでも一つ一つこなしながら、半月に渡る塗装工事は完了を迎えました。
ドイツ貼りサイディング外壁の下塗り
段々になっているドイツ貼り仕様のサイディングは隅を刷毛で丁寧に塗装する必要があります。
- つるりとした表面の部分の塗装だと塗料が密着しづらく剥がれやすい為、玄関ドアを目の荒いペーパーで わざと傷を付けています。この作業を隅々まで行うことで、後の塗料のノリが良くなります。この作業をケレンと言います。
- ガラスを汚さないようにマスキングテープで養生します。ガラスやアルミ、ステンレスなど。その他にも塗装の必要がない部分はテープやビニールなどで覆っておきます。
- 軒を塗るのに汚しそうな所に布シートを敷きました。軒を塗る時には上を向いてローラーを転がす為、塗料が跳ねたり、風に煽られたりして周囲に飛び散ってしまうので 周囲の養生もしっかりしておきます。
- ケレン作業をした後の玄関扉に錆び止めを塗っています。微細な傷をつけた扉に塗料が食いつき、厚い塗膜が作られていくのが分かります。この後で中塗り、上塗りと何度も塗り重ねていく事で更に剥がれにくい家を守る塗膜を作り上げるのです。
- 軒をケンエースを使って下塗りしています。サイディングは段々になっているドイツ貼り仕様です。ケンエースは防カビだったり、防汚染性に長けている塗料です。
- 乾いたので2回目を塗っています。細かい部分は刷毛を使って…。刷毛と一口に言っても大小さまざまな大きなのものがあり、箇所によって使い分けています。
- 屋根の雨押さえの釘を打ち込んでいます。10年経過しているコロニアルの鉄部トタンは必ず釘が抜け掛かっています。地震や家自体の軋みで少しづつ動き、抜け出てきてしまうのです。釘が抜けた場所は漏水の原因となる可能性にもなるので、打ち直します。
- かなり勾配が急な屋根なので屋根足場を設置してあります。足元に気を付けてサーモアイの錆び止め(プライマー)を塗りました。
太陽光を反射するサーモアイの遮熱塗装
真夏の日射を反射させ、屋根の温度上昇を抑える塗料を使っての屋根塗装。厚く下塗りを塗布しました。
- 屋根を塗装した時に塗料が周囲へと飛散しないよう養生しました。風に煽られてテープが剥がれないようにしっかりと。作業しているのは一級塗装技能士であり、塗装指導員の資格を持つ職人・川口です。
- 同じく養生中。養生をしっかりとしておく事で塗装の必要が無い所に塗料を付ける心配なく作業が進められます。
- 3屋根に当たっているジャッキベースを落ちないように上げた後で、固定しました。
- 屋根がらみの軒をキツい体勢で塗っています。屋根足場が無かったら落ちてしまいそうなほど急勾配ですね。塗料缶片手に屋根足場に足をかけて作業を進めていきます。
- 屋根に赤外線の熱を反射する遮熱の2液シーラーを入れてガッチリ固めます。白い塗料なのでローラーを転がした後か、そうでないかが良く分かりますね。
- 横樋に塗料の密着性を高めるためバインダーを塗っています。食いつきを良くする為にケレンをして細かい傷を付けておきますが、更に密着力を上げるために接着剤の役割を持つバインダーを念入りに塗布しておきます。
- 縦樋も同じように刷毛で丁寧に塗り進めていきます。色のついていない塗料なので 時折、見る角度を変えて塗れ感を確認し、塗り漏れがないようにしっかりとバインダーを塗布していきます。
- 軒のローラーが入らない所を先に刷毛で塗ります。角などの狭い部分を無理にローラー塗装すると塗料が垂れてしまったりして仕上がりが綺麗になりません。そこで狭い所や細かいところは小さな刷毛を使って先に塗り付けておきます。これをダメ込みと言います。
仕上がりの質を上げる養生
塗装しない所をマスカーやマスキングテープなどを使って徹底的に覆っていきます。
- 職人・川口が玄関ドアの中塗りを塗っています。透かしガラスを汚さないように刷毛で丁寧に。深い緑に白い扉が生えて綺麗ですね。まだ塗装2回目の段階ですが、艶が出てきています
- 明かり窓の養生をしています。屋根は遮熱塗料の下塗りシーラーで全面的に白色になっいます。通常は3回塗装ですが、断熱塗料のキルコートを使う時は4~5回、塗り重ねます。
- 霧除け庇の養生をしています。霧除け庇は単に霧除けとも言う小さな屋根状の雨避けです。キッチリとした色分けが出来るように丁寧貼りつけ、浮いた所から塗料が入り込まないように指でキッチリと押さえつけます。
- 細かい所までマスキングテープを貼り、メリハリのある線を出します。塗装職人では他所と比べて1.5倍ほどの養生材料を使用しています。それくらい細かく養生する事で周囲を汚さず、線が綺麗に色分けされた良い仕上がりを常に心掛けています。
- マスカーで窓の養生をしました。風で煽られたなびかないように弛みをキッチリとテープで押さえてあります。ガラスは塗装しない部分なので、塗料が付かないよう念入りに養生しました。
- 細くやりずらいところも体を押し込んでしっかりと養生します。職人・川口、大きな体躯を折り曲げるようにしてエアコンの室外機裏の養生をしました。
傾斜のきつい屋根での慎重な中塗り作業
急こう配な屋根の上、命綱無しに行う屋根塗装。足元に気を付けながら刷毛を動かしました。
- 朝一で養生の続きです。大きなビニールを広げて、塗装の必要が無い所をしっかりと覆いました。隙間が空いてしまっているとそこから塗料が流れ伝って汚れてしまう場合もあるので、なるべく隙間を作らないようにキッチリと養生します
- 外壁のシーラーを塗っています。ドイツ貼りサイディングは段々に貼られてた板が斜になっている為、1枚1枚ローラーを転がしていかないといけません。
- 玄関枠にマスキングテープで養生中。真っ白な玄関扉と、深い緑のコントラストがとてもオシャレなお宅です。玄関扉と外壁の色分けが綺麗に出来ていないと折角の外観が損なわれてしまう為、しっかりと養生しました。
- 屋根の中塗りを刷毛で塗っています。勾配がキツいので気をつけて塗ります。高い屋根上の作業でも命綱などは付けませんので、足を滑らせたら一大事です。
- 屋根を塗る前に絡む壁を先に塗りました。一所懸命に手を伸ばし、覗きこんで刷毛を動かして塗料を乗せていきます。これが見た目以上に狭くてキツい作業だったんです。
- シーラーが乾いたのでローラーで中塗りを塗っています。高圧洗浄で古い塗膜や汚れを落とした外壁の上に塗ったシーラーは接着剤のような役割をしてくれます。塗料が吸い込まないようにしっかりと塗り重ねた後なので、塗装2回目の中塗りでも良い艶が出ています。
- 足場を確認して屋根の中塗りを塗っています。電気代節約のためにもたっぷりと厚みをつけて塗ると、太陽熱も反射できます。最大でなんと40%も省エネ効果が期待できる、地球にやさしい塗料です
省エネも期待できるサーモアイでの屋根上塗り
遮断熱効果がある塗料なのでエアコン節電にもなり、ヒートアイランド現象にも微力ながら効果があります。
- 屋根がらみの外壁上塗りをしています。屋根足場に足をかけながらも不安定な体勢の塗装。履いている足袋裏はゴム製になっていて、滑りにくく屋根上でも比較的動きやすい作りになっています。
- サーモアイで屋根の上塗りを塗っています。サーモアイは遮熱の効果があり、塗布する事によって屋根温度の上昇を抑制し、2階部屋の室温を下げることが期待されます。
- 職人・川口が眩しそうに目を細めながら破風の上塗りをしています。空の深い青と破風の白色が対比していて、とても綺麗な仕上がりになりました。
- 屋根足場につかまりながら、上塗りを一所懸命にローラーで塗装しています。サーモアイ効果で室温が下がるとエアコンの消費量が少なくなる為、地球温暖化対策にもなると言われています。
- 綺麗な線を出す為にマスキングテープを貼りました。細かい作業ですが、このひと手間をかける事で仕上がりの線が見るからに違うものになります。
- 刷毛でダメ込みをしています。屋根との境目などにダメ込みをする機会は多くありますが、このお宅はドイツ貼りのサイディングで段々が多くあるため、ダメ込みも1枚づつ丁寧に行っていきます。
マスキングテープを使って綺麗な境界線を生み出す
熟練職人になると刷毛だけで綺麗な線を引く事も出来ますが、時にはテープを引いた方が綺麗に仕上がる場合もあります。
- 軒に付かないようにマスキングテープを貼りつけました。上を見上げると陽が当たって、かなり眩しかったです。ですが、マスキングテープは歪まずに貼り終えました。
- エアコンカバーの裏を細い刷毛で塗っています。大は小を兼ねる、とも言いますが塗装の場合、大きな刷毛で塗り進めてしまうと塗料が垂れたり余計な所に塗料が付いてしまったり…と仕上がりが悪くなってしまいます。
- なので、細かいところの塗装には箇所に合う小さなものを…と使い分けて塗装を進めていきます。窓周りのダメ込みにも小さな刷毛を使いました。壁の上塗りなので丁寧に塗り替えしていきます。
- 軒にテープを貼ったので はみ出しの心配無く、安心してギリギリまで刷毛を動かし、塗装する事が出来ました。この後で乾ききる前にテープを剥がせば綺麗な色分けの線が仕上がります。
- 樋と破風の間を小さいローラーで塗っています。細かい部分の塗装なので塗り残しやカスレが出来ないよう目を凝らしながらローラー
- 養生は外した後なので、壁に付かないように気を付けながら樋の中塗りを塗ります。樋も外壁と同じように白く仕上げました。縦に1本入る白色が深い緑色の外壁にアクセントを加えてくれています。
艶ある外壁の仕上げとベランダ防水塗装
外壁を塗り替える際には地面も汚さないように布シートを敷いて汚さないようにします。
- 作業前、布シートを敷きました。これで外壁の塗装を進めている最中に下に垂らしてしまっても地面を汚す事はありません。ペンキは1度ついて乾いてしまうと落ちないので、屋外でも汚さないよう注意して作業を進めます。
- 外壁の上塗りを塗っています。下塗りと中塗りを重ねた外壁は既に十分に思える艶が出ていますが、この上から上塗りをたっぷり肉厚に塗り重ねる事でまるで鏡のような光沢を得る事が出来ます。
- 玄関前の塗装。住人の方の生活を邪魔しないよう、出入りに気をつけてローラーを転がしています。玄関扉は全て覆ってしまうのでは無く出入り出来るように工夫して養生。それでも閉塞感はあるので、早く養生を剥がせるよう作業を急ぎます。
- 樋の養生を取っています。養生のビニールに少し塗料がついていますが、外せば樋は綺麗なまま。養生をする事で必要以上に汚れを増やさず、増やさない事で修正の手間も無くなる為、手早く作業を進める事が出来ます。
- 樋の中塗りです。既に養生を剥がした後なので、なるべく壁につかないように気を付けます。職人・川口が除き込むように体勢を斜めにしながら刷毛を動かしていました。
- 水切りを塗っています。画像の細長い白い部分が水切りですね。手を伸ばして、刷毛を巧みに使い、細かい所まで塗り進めていきます。外壁は仕上がっているので、はみ出さないように丁寧に。
- ベランダのウレタン防水を塗るのにケレンをしています。外壁と同じように汚れを落とし、密着度を上げる為、職人・川口が行っているように手作業で全体に細かい傷を付けていきます
- プライマーを塗って防水材の食いつきを良くします。この辺りは外壁塗装と通じるところがありますね。この後、防水材を流し込んで適切な厚みの層を作りあげ、長く保つ防水塗装を施していきます。
参考動画:サイディング外壁の上塗りと屋根中塗り
施工日:2010年10月