ガルバリウム鋼板の屋根と外壁 塗り感を出さない塗装工事

前回は下地準備についてお話しました。
今回はいよいよ塗装です。
お客様のリクエストは、塗った感がでないようにしてほしい…ということ。
しっかりと壁を保護するための、塗膜の厚さは出しつつ、塗った感を極力抑える塗装工事は非常に難しいものでした。
そこで、職人とさまざまな工夫をしましたので、ご紹介致します。

塗り感を出さない 塗装方法の選定

 

今回の塗装では、下塗り、中塗り、上塗りと3回塗りを致します。
これは塗装職人の工事では、通常のメニューなのですが、塗った感を出すことなく塗膜の厚さは保つ…というリクエストがあったために、さまざまな塗装方法が検討されました。
最初は、スプレーによる吹きつけも候補にあがったのですが、近隣と密接していることなどから吹きつけのための適度な距離が取れないため、二次被害も考えられ…吹きつけ工事は候補から外れることに。
そこで、ローラーで塗りながら、塗った感を出さない工事をすることとなったのです。

どうしてもローラーの場合、壁と壁のつなぎ目や、切り返し、塗りの終わりなどに厚みがでてしまいます。
塗料の溜まりのようなものが見えるため、塗装した感が出てしまうのです。
そこで、今回はローラーを数種類使い、このつなぎ目などが目立たぬように塗ることにしました。

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ガルバリウム鋼板の家 お客様のご要望にお応えする工事とは

ガルバリウム鋼板ならではの本塗り工程

まずは、下塗りです。
今回の壁の材質はガルバリウム鋼板です。そのため前回のブログでも紹介しましたように、塗料を上手くのせるために、紙ヤスリなどを使って面粗しをしてあります。
この面粗しも非常に気を遣いました。今回先ほども書きましたように3回塗りですので、その3回塗りで目アラシの傷が隠れる程度の傷つけをしたのです。
隠れるからと言って、浅い傷つけでは塗料が剥がれてしまいます。ですので、本当に絶妙な深さの傷をつけて目アラシをかけました。
非常に神経を使う作業のため、時間も別途作業費もかかりましたが、そのぶん職人がしっかりと手間をかけられる工事となったのです。

ガルバリウム鋼板は金属ですので、面粗しをした壁面に、赤さび用の錆止め塗料を塗ります。
これが下塗り剤です。

この下塗り剤ですが、ある意味上塗り材と反対色になっています。

赤さび用ということもあるのですが、塗り重ねる際に塗り残しが分かりやすいようにわざとこうした派手な色になっているのです。
今回は、お客様が選ばれた青味が少しはいった黒の塗料で中塗り、上塗りをしました。

壁面はしっかりと塗り残しなく塗装ができたのですが、多少屋根裏への始末のところなどで、角度によっては塗り残しがあり、お客様からご指摘を頂く場面も。
しっかりと対応し、最終的には塗り残し無く外壁の塗装は終了です。

屋根は同じ下塗り材の上に日ぺの遮熱塗料を塗りました。

屋根 施工前

屋根 下塗り

屋根 中塗り

屋根 上塗り

色はクールシルバーアッシュです。

シャッターボックスも同じく、錆止め、中塗り、下塗りと行い、塗りむらがないように仕上げを。
この「塗りむらがないように仕上げる」ために、非常にローラーの種類とローラーのかけ方に拘りました。

ここからは塗った感を出さない工事のための、さまざまな工夫についてです。
ローラーのこだわりや塗りの技術などをご紹介いたします。

塗装の際にこだわったローラーの使い分けと職人による塗り分け

サイディングや、モルタルに比べて、ガルバニウム鋼板の壁面は金属のためツルリとしています。
そのため、どうしても『塗り目=塗った感』が出やすくなってしまうのです。
そこで今回は、塗りの際にローラーをいくつか使用しました。

いわゆる泡が出にくいとされる無泡ローラーや、ローラーの毛が抜けにくいタイプのものなど…。

毛が抜けにくい…と書きましたが、そうはいっても毛は抜けます。
そこで、作業に入る前ローラーにガムテープを使って毛玉取りをするなど、ちいさなことですがそうした作業前の準備もしました。
さらにローラーの毛以外に、自然物などにも注意が必要です。
塗装工事は外で行う工事のため、塗装中に木の実が落ちてきて張り付くことも。塗りの際にはそれらにも気を配りながら、できるだけ美しく均一な面に仕上げます。
無泡ローラーと短毛ローラーを使い分け、塗りの方向も縦塗りと横塗りを重ねるようにして、塗りの目が出ないように塗り重ねをしました。

端から見れば、ただ塗っているだけに見えますが、美しく塗るためには非常に神経を使う作業です。
今回はそれにプラスして、できるだけ塗料の『溜まり』が出ないように塗りました。
塗装には、塗りのつなぎ目や、最後、切り替えのとこなどにそれぞれ始末の仕方があります。
通常であれば、多少の塗料の溜まりがでますが、今回はそれを極力避けるように仕上げたのです。

こうしてローラーまで使い分けで行った塗装工事でしたが、それでも塗料ののりが悪かったりすると、塗り目が出てしまうことも。
そうした時は、わざと一段飛ばしに塗り、乾いてから塗り目が出ないように境界をぼかす方法も行いました。

たかだか外壁の塗装ですが、これだけの技術を盛り込んだ非常に繊細な工事だったのです。

お客様の協力があってこその塗装工事

今回の工事について結果的にお客様から「塗った感がでず、とてもよかった」とお褒めの言葉を頂きました。
いろいろとリクエストをいただき、通常よりも手のかかる作業ではありましたが、「チーム」一丸となって仕上げることが出来、すばらしい現場だったな…と。

ちなみに、「チーム」一丸と書かせて頂きましたが、このチームにはお客様も含まれています。
理由は、お客様の協力なしに良い工事はできないからです。

お客様が弊社に依頼する前に、家に合った手入れをしていたこと。
そして適切な塗装時期に依頼を下さったこと。
さらに、現状ややりたいことを明確に提示して下さったこと。
色決めや、工事内容を決める際にもきちんと話を聞いてご決断下さったこと。
この全てがあったことで、今回の完工へと繋がったのだと思います。

 

たまに、弊社のブログを見て「同じようにやってほしい」とご依頼を頂くことがあるのですが、同じ工事をすることはほぼ不可能です。
なぜなら、工事をするための元の状態が違うことが多く、そうした家のほとんどは家の状態が同じではないからです。
塗装をする元の塗装。つまり下地がひどいと、3回塗りの工事をしようとしても、元からの塗装面が塗料を希釈する溶剤に反応し剥がれてきてしまうことも。(チヂミという現象)
同じ工事をするためには、同じ状態の家が必要なのです。
しかし、お問い合わせを頂く多くの方は、このことに気がついていません。

あわせて読みたい:前回のブログ記事

ガルバニウム鋼板の屋根と外壁 塗装前の足付け作業とは

これまで僕のブログでは一貫して、「同じハウスメーカーで同じ時期に建てられた家だとしても、同じ状態の家は一軒も無い」ということをお伝えさせて頂いていました。
どんな家も、家の建て方、メンテナンスの仕方、家の建てられた環境、塗り替えの時期などが違い、ひとつとして同じ工事ができる家はありません。
家の状態や、予算、塗装会社の技術、そして材料を掛け合わせれば何通りもの工事方法があります。
だからこそ、塗装工事は頼む塗装会社によって工事内容が変わりますし、一人一人のお客様宅にあった工事が必要となるのです。

今回ガルバリウム鋼板の外壁と屋根の塗装工事は、あくまでもこちらのお客様に特化した工事内容です。
もしも、同じくガルバリウム鋼板の外壁で塗装をお悩みの方がいらっしゃいましたら、ご相談ください。
お客様にあった、オーダーメイドの工事プランをご提案致します。

併せて観たいYouTube この工事の全記録動画

これからも弊社では、家の状態やお客様の思いに寄り添った工事を致します。
お客様と二人三脚で塗装工事ができるように。
お客様の声に耳を傾け、家の状態をしっかりと捉えて工事に取り組みたいと思うのです。

 

若い時から大手の大規模改修工事に携わり、官公庁の仕事も多くこなしてきました。知識は当然のこと現場も正しい仕事ができて当たり前です。常にお客様の立場に回り物事を考えて行動しています。 漏水対策も得意分野で2人の子供を抱えて毎日仕事に励んでいます。防水施工技能士。

些細なことでも構いませんのでお気軽にご連絡ください

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