ガルバニウム鋼板の屋根と外壁 塗装前の足付け作業とは

今回は横浜のS様邸第二弾。
ガルバリウムの屋根と壁面の塗装前に行う前準備についてご紹介致します。
ガルバリウム鋼板に塗装する場合、足付けという作業を事前にするのですが、実はこの足付け…簡単とは言えない作業なのです。

今回は、そんな足付け作業など前準備を中心にご説明します。

 

 

足付けは高圧洗浄の前にやるか、後にやるか

 

今回ご依頼頂いておりますお客様は、施工関係にとても詳しいいわゆるプロとして現場の事が分かる方でした。
プライベートなことなのでご職業の詳細については避けますが、お客様のご職業柄、塗装工事にも精通していらっしゃいましたので、さまざまな方法のご検討を。
お客様宅は、外壁、屋根ともにガルバリウム鋼板だったため、通常のように高圧洗浄をかけて塗装をするという工程に一つプラスして『足付け』という作業が必要になります。

ガルバニウムはいわゆる金属ですので、面がツルツルしているため塗料がのりにくいという特徴が……。
そこで、塗料がよく食い込むように表面にやすりをかけて面粗し(めんあらし)を行います。
ペーパータイプのヤスリや、グラインダー、金タワシなどなど。
これらを使い分けながら壁全体に細かいキズをつけて、その後塗装をするのです。

実はここで、一つ大きな決断をしなければなりません。
それは、足付けする前に高圧洗浄を行うか、それとも足付け後に高圧洗浄を行うか…ということです。
実は、それぞれにメリットデメリットがあります。

まずは、足付け前に高圧洗浄を行う場合。

<メリット>
雨漏りなどの箇所がなければ、壁面から水の浸入はなく、綺麗に洗浄した状態で足付けを行える。

<デメリット>
足付けを行った際に出る細かい金属の粉が付くため、ブロアだけで取り切れなかった金属の粉が室外機等 建物の一部に付着し、サビがでることも。

次に、足付け後に高圧洗浄を行う場合
<メリット>
足付け作業で出た細かい金属の粉をブロアで吹き飛ばすのに重ねて、水でしっかりと洗い流せるため、残粉が清掃出来ます。

<デメリット>
ガルバニウム鋼板にキズをつけた後に高圧洗浄をすると、キズの深さによってはキズ面から内部に水が侵入してカビがでてくる恐れも。

以上が、高圧洗浄の順番を悩む理由です。

どちらもメリットデメリットがあり、必ずしもどちらが100%と安心とは言えません。
そのため、お客様の方でご判断頂くしかないのです。

もちろん、業者によってはかならず足付け前の高圧洗浄を薦めるところもあるでしょう。
足付けした際に、深い傷が入ってしまった時のリスクを思えば、当然です。
弊社でもそのリスクは考えます。

しかし今回の現場では、もう一つお客様からリクエストがあったのです。
光などに反射した際に、塗った感を目立たないようにしてほしい…と。
どうしても、足付けはヤスリの作業ですので、強くヤスリがけしたところは上から塗料を塗ったとしても、太陽光の反射でひっかきキズが透けて見えたりします、だからといって厚くとそうすると美的によくない。

これを見えないようにするということは、それだけ丁寧で注意深く細かいヤスリがけの必要があるということです。
(この場合、通常よりも手をかける工事となりますので、その分費用は上がります。)
これらを踏まえて、お客様と高圧洗浄をかけるタイミングについてご相談をしました。
お客様のご要望や、弊社の職人の技術。全てを加味して、今回は足付け後に高圧洗浄をかけることとなったのです。

併せて観たいYouTube 関連動画:高圧洗浄

シールの撤去も徹底的に

 

高圧洗浄前に、シールの除去と再充填をします。
もちろん現場によっては、高圧洗浄をかけ塗装をしてからシールを撤去し再充填するところも……。

しかし塗装後のシール工事ですと、せっかく塗装した塗膜を一度切ってシール剤を取り除き再充填するため、僕としてはあまりお薦めできません。
できれば、高圧洗浄前にシールの撤去充填をして、高圧洗浄をかけるついでに、シール剤の充填が出来ていない箇所がないかもチェック、いわゆる雨漏りチェックができればと思うからです。

こちらのお客様宅もガルバリウム鋼板の外壁には、もちろんつなぎ目や窓枠まわりにシール剤で繋いでありました。
また今回、このシールの撤去についてもリクエストを頂いたのです。

できるだけしっかりと以前のシールを除去してほしいと…。
そこで、以前のシールを徹底的に除去するために、シール班の市川職人がまるで耳かきでシールの溝を掃除するように丁寧な除去作業をしたのです。
この細かな作業に、お客様からお褒めの言葉を頂きました。

併せて観たいYouTube 関連動画:市川チームのシーリング動画

外壁と屋根に足付けを行い、さらにシール工事も済ませましたので、いよいよ高圧洗浄を行います。
高圧洗浄で水がしみることのないように、足付け作業はいつも以上に時間をかけ丁寧に行い、大きなキズなく仕上げました。
ひとつひとつ丁寧に手をかけている今回の工事、高圧洗浄もいろいろな技術を駆使しましたのでご覧ください。

高圧洗浄と窓の洗浄

まずは、家全体をブロアで吹きながら、足付け時に出た金属の粉を落とすことからスタート。
このブロアは、掃除機とは逆でドライヤーのように風を出しゴミなどを吹き飛ばすことができる装置です。

ブロアを使うためには、いくつか準備するものがあります。
まずは飛散防止ネット。このネットがしっかりと家を覆っているかどうかは、大事なポイントです。
せっかく金属の粉を塗装箇所から取り除くことができても、それを周囲にまき散らかしては完璧な工事とはいえません。
飛散防止ネットは、塗料の飛び散りだけではなく、こうした金属の粉の飛散も防止することができるのです。

そして、漏電ブレーカー。
屋根上などでも電源が落ちることなく安全にブロアを使用するために、漏電ブレーカーを用意します。
この漏電ブレーカーは、足付け作業する際にも使用します。

先ほど面付けのところでお話したグライダーで壁表面を削る場合は、このブレーカーなしには使用できません。
また、このブロアは手元のスイッチで風量を調整することができます。
これは職人の技術面の話となりますが、この風量をうまく調整することも、周りに金属の粉を巻き散らかさないためのポイントです。

こうしてブロアをかけたら、次に高圧洗浄を行います。ブロアで取り切らなかった金属の粉を流すことを念頭に置きながら、全体的に水で洗っていくのです。

また屋根はポリッシャー型の物で洗浄を。
これもまた、飛散防止の役目があります。持ち手の先についた円盤の中で水が回転しており、それが円形状に水を出しながら洗うのです。
いわゆるホース型とは違い、ポリッシャー型は水はねによる飛び散りがありません。

ここで、高圧洗浄に入る段階で、お客様から「普段できない窓の掃除もお願いしたい」とリクエストがありました。
弊社の職人が高圧洗浄するのと並行して、2階部分にある窓を掃除したのですが、そこで利用したのがこちらの激落ちくんとウタマロ石けんです。

我々業者も非常によく使うこの2つのアイテム。
窓には苔や汚れなどが付いているため、通常の水だけの洗浄では綺麗になりません。
そこで、石けんを使ってしっかりと洗いをさせて頂きました。

もし皆さんも、ご自宅の窓を掃除したい場合など、使ってみて下さい。
大体の汚れであれば、落とすことが出来ます。

 

併せて観たいYouTube 今回のお宅の工事工程

塗装するための下地処理には工夫が必要

塗装工事の完成度は、下地処理がほとんどをしめると言っても過言ではありません。
それほど、この下地処理にどれだけ手をかけるかによって、塗装の仕上がり具合は変わります。

足付け作業に1日、シーリング工事に数日、高圧洗浄に1日。
それぞれ職人たちの働きによって、1日ごとの作業ではありますが、それぞれがプロとして次へ繋ぐ工事をすることで下地処理が完成されたのです。
多少天候に左右されることもありましたが、うまく外壁の状態を見ながら工事を進めることができました。

工事というのは、一見すると晴れた日にしか出来ないように思われますが、実は雨の日でもできる工事はあります。
壁面の種類によっては、水を吸うタイプのもの、吸わないタイプのものなどがあり、吸わないタイプのものは、雨でも作業ができる場合も。

もちろん台風などの場合は危険があるので出来ませんが、小雨程度であれば可能な作業もあるのです。
逆に午前中晴れていても、午後に雨予報がある場合は工事が出来ないことも。
ゲリラ豪雨などが、その大きな理由です。

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塗装工事における台風養生と付随工事について

一昔前は、秋口が一番塗装に向いているとありましたが、現在の秋は台風やゲリラ豪雨などもあるため、秋というシーズンが塗装に向いているとは言えなくなりました。
逆に気温も低く日照時間は少ないですが、雪が降ることが少ない東京や横浜では、雨天で工事がつぶれることが少ないため、冬の方が塗装に向いているという見方も。

つまり、現在ではあまりシーズンというものは関係なくなってきています。
ですので、そんな季節であろうと、天気を見ながら1日、1日と下地作業をし、しっかりと工事することがお客様の望む完成に近づけるための近道なのです。

今回は、お客様からさまざまなリクエストがありましたが、どれもお客様の思っていらっしゃる以上にクリアすることができたのではないか…と感じております。お客様からは、口コミやメールなどでお褒めの言葉を頂きました。

次回はいよいよ工事の本丸。塗装工事です。
塗装の際にも、テカテカしないように塗って欲しい…などご要望がありましたので、職人の方でとある対応をいたしました。
どのような対応をしたのかなど、また次回、詳しくお伝えしたいと思います。

 

若い時から大手の大規模改修工事に携わり、官公庁の仕事も多くこなしてきました。知識は当然のこと現場も正しい仕事ができて当たり前です。常にお客様の立場に回り物事を考えて行動しています。 漏水対策も得意分野で2人の子供を抱えて毎日仕事に励んでいます。防水施工技能士。

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