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横浜市緑区の分譲地での屋根・外壁塗装工事で見えた、難しさの中の勘所

今回の現場は、横浜市緑区のきれいに整った分譲地の一角に建つ築14年になるS様のお住まいです。
街区全体が計画的に形成されており、建物の配置や外観のバランスも美しく、落ち着いた佇まいが印象的な住宅地でした。

外壁塗装は、周囲の景観や街の空気感の中で、この住まいがどのように在り続けるのかまでを見据えて、計画することが大切です。

今回は、施工前にS様のご家族と担当者が何度も話し合い、色味や仕上がりの方向性を丁寧に共有しました。そうした積み重ねを経て進めたのが、今回の外壁と屋根の塗装改修工事です。

一級塗装技能士の資格を持つ原本職人が品質に配慮しながら施工に臨みました。

外壁はソフトリシンです。屋根はノンアスベストタイプのスレートです。どちらも、見た目以上に“下地の状態”が結果を左右する仕様で、表面だけをきれいにしても長持ちはしません。

そして、最初の洗浄と診断で、どこまで丁寧にやり切れるかがすべての土台になりました。

ソフトリシンの高圧洗

まずは高圧洗浄からスタートです。サイディングやモルタルの平滑面と違い、ソフトリシンは凹凸が深く、さらに繊維質の骨材が入っているため、表面だけを水でなでても奥の汚れが残ります。

実際に洗浄をかけると、凹凸の影にカビやコケが根を張っていて、そこを落とし切らないと塗膜の密着にも影響が出てしまいます。

今回は洗浄だけで午後三時頃までかかりました。つい効率を優先したくなる瞬間もありますが、妥協できません。凹凸の隙間まで水を当て、汚れを“削ぎ落とす”イメージで徹底的に洗いました。乾いた後に触ってみると、ザラザラの中に残るぬめりがなく、仕上げの土台が整った感触がありました。

屋根洗浄の後は、クラック(ひび割れ)の有無を細かく確認します。汚れが残っていると、細いクラックは見えません。洗浄を丁寧にやったからこそ、塗装を続けるべきか、それともカバー工法へ切り替えるべきかの判断材料が揃います。今回は、補修可能な範囲に収まっていたため、塗装工程で再生させる方針で進めました。

鉄部は「目荒らし」と「根元の錆」

次に霧除けや胸板金など、鉄部の下地調整に入ります。鉄部は、塗る前の準備が仕上がりを決めます。ここで使ったのは、180番のスコッチブライトです。

今回の目的は「目荒らし」です。表面に微細な傷をつけ、塗料が機械的に食いつく状態を作ってあげる。これができていないと、どんなに良い塗料を塗っても、数年後に浮きや剥がれが出やすくなります。

そして、鉄部で特に注意したのが外壁との取り合い、つまり鉄板の根元です。ソフトリシンの砂状の凹凸によって、鉄部の立ち上がりの境目が露出しやすく、雨水や結露の影響で錆が最も出やすい場所でもあります。

錆止めは鉄部専用の「ハイポンファインプライマーII」の白を採用しましたが、塗料選定よりも大事なのは塗り込み方です。

ローラーを外壁に軽く接触させるように当て、凹凸の奥まで錆止めを“押し入れる”。壁を汚さず境目を守るには、手元の感覚が必要です。こういう細部は、完成後に派手に目立つわけではありません。けれど、十年先に差が出ます。

屋根塗装は遮熱仕様

屋根塗装の下塗りには遮熱専用の「サーモアイシーラー」を使用しました。「サーモアイシーラー」は密着の役目と同時に遮熱の機能を持つ下塗り材です。

下地が傷んでいる屋根は吸い込みが激しくなり、下塗りが一回だと肉厚が確保できないことがあります。そのため、状態に応じて下塗りを二回にする判断も視野に入れながら、まずは一回目をしっかり入れていきました。

中塗り・上塗りには遮熱塗料「サーモアイSi」を使用しました。

夏場は塗料が伸びやすい反面、乾きも早く、つい希釈を増やして“塗りやすく”したくなる誘惑がありますが、そこをやってしまうと膜厚が足りず、遮熱性能だけでなく耐久性にも直結します。弊社は希釈率は規定の5%以内、最大でも8%までというルールを厳守しています。(但し、稀に現場の状況や下地によって変更することがあります)規定内で塗りやすさを作るのは、希釈ではなく、ローラー選定と塗り方、そして段取りです。

吸い込みの強い外壁

外壁塗装の塗料は下塗りにカチオン系の「セーフシーラー」を採用しました。

中塗り・上塗りには「ジョリパットフレッシュ」を使用しました。

ソフトリシン壁はとにかく吸い込みが強く、材料をケチると塗り継ぎムラが出ます。とくに夏は乾きが早い分、ムラが“線”になりやすい。だからこそ今回は、通常より材料を多めに投入し、たっぷり含ませるイメージで塗装しています。

ローラーも、使い続けると繊維が硬くなり、塗布量が安定しなくなります。結果として膜厚が揃わず、仕上がりにも耐久にも影響が出るため、適宜新品に交換。地味ですが、こういう積み重ねが、同じ材料でも“仕上がりの格”を変えます。

タイルとの取り合い

今回の現場で一番神経を使ったのが、タイル部分と外壁塗装の塗り分けラインです。

タイルの凹凸は思っている以上に深く、テープを貼ったつもりでも、隙間が残るとそこに塗料が回り込みます。結果、ラインが滲む。これだけで仕上がりが一気に“雑”に見えてしまいます。

そこで、マスキングテープは指で強く押し込み、凹凸の隙間を徹底的に潰しました。塗るときも刷毛を強く押し付けず、表面をなでるように動かす。刷毛圧をかけるとテープの隙間へ塗料が押し込まれてしまうため、あえて優しく、しかし確実に。結果として、鮮明なラインが出て、満足な仕上がりになったと感じています。

ご家族の塗装体験で思い出も残す

そして今回は、S様のご家族(ご主人、息子さん、娘さん)に塗装体験をしていただきました。

実際にジョリパットフレッシュをローラーで塗ってもらい、塗る難しさと楽しさを体感していただく時間を持ちました。

お客様が自分の家を守る工程に参加してくださるのは嬉しいことです。現場の空気が柔らかくなり、塗装を体験して「ここまでやってくれるなら安心」と言っていただけたのが、何より励みになりました。

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工事を終えて

今回の改修工事は、段取りで品質を守る。その基本を貫けた現場でした。ソフトリシンとノンアスベストのスレートという“難しさのある組み合わせ”だからこそ、丁寧な準備と管理が、そのまま結果に繋がったと思います。

現状を見極めたうえでの工程選定、色味や質感のバランス、そして工事中の現場の佇まい。ひとつひとつは小さな判断の積み重ねですが、その差が仕上がりの印象と安心感につながります。
今回の工事が、S様のご家族にとって心地よく、誇りを持って住み続けられる住まいであり続けるための一助となれば幸いです。

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