施工技術だけではない、工事に必要な近隣への配慮とは

工事というのは、技術だけに注目されがちですが、実はそれ以上に近隣の方への説明や配慮が重要なこともあります。

いくら工事が見事な仕上がりになったとしても、その工事のせいで近隣の方と仲違いをしてしまっては、工事は成功と言えないのです。

 

私たち業者は工事が終われば現場を離れることは出来ますが、お客様は工事が終わった後もそこに住み続けます。

そのために必要なことがあるのです。

工事後に近隣の方と確執を作らないために、弊社で出来ることをこのブログではお話したいと思います。

お隣の方へのご挨拶

 

先日のブログでシロアリに外壁を浸食されていた家の工事で、工事自体も大変だったのですが、それと同じくらい近隣の方との交渉にトラブルがありました。

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最初のご挨拶に伺った際に、施主様の息子さんがご同行下さったのですが、もともとお隣と以前に他社が行った工事でもめ事があり、「なぜ施主が来るのでは無く、その息子さんと工事の営業の人なのか」と疑問を持たれてしまったのです。

実は、施主様が挨拶に来られないのには理由があります。

高齢のため、足を悪くしていらっしゃり、お隣の家の階段へ登ることに不安があったため、息子さんが代わりにご挨拶に伺ったのです。

 

しかし、お隣の方からすればそうした理由は知らないことなので、少し嫌な気分になってしまったのでしょう。

実は、今回の施主様宅の新築時や15年前の再塗装工事の際に、工事の人間が勝手にお隣の敷地へ入って作業をしたり、建材を置いたり、境界地が狭いことで、少しでも施主様宅と距離を取るためなのかお隣の方の敷地に足場を建てたりしていたのだそうです。

 

こうしたお話は、ご挨拶に伺った際に隣の方から直接聞きました。

お見積もりの打ち合わせ時には、これらの情報収集が間に合わず…。

トラブルを一切無視して「工事を始める挨拶」として行ってしまったことも、お隣の方の気分を害した一因にもなったのではないかと思います。

 

もちろん、以前工事をしたのは弊社ではありません。しかしお隣の方から見ればどの業者も同じで、塗装職人だけがマナーを守る…などということは到底思えない状況でしょう。

ご挨拶に伺ってお話した時間は、全部で3時間ほどだったのですが…その間にお隣の方としてやって欲しくないことや守って欲しいことなど、いろいろとご説明を頂きました。

例えば境界地にあるフェンスです。

前回の業者がフェンスを台座代わりにして乗ったりしたために、へこんでしまったことがあったそうです。

くれぐれもフェンスを傷つけないようにと言われました。

 

また、お隣の敷地への侵入もしないように…と。その他にもゴミを敷地内に捨てられたこともあり、それについても非常にナーバスになっていらっしゃるご様子。

これらについてヒアリングをし、お約束した上で最初のご挨拶は終了となったのです。

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境界地のフェンスへの配慮と予防防護

 

その後も、お隣の方へ工事の計画についてもご説明するためにお伺いもしました。

前回のご挨拶の際に、いろいろと状況が分かりましたので、しっかりと情報を共有できるようにご説明することが大事だと思ったからです。

 

その時も、お隣の方はいろいろとこれまでの経緯や、工事の疑問点などについてお話し下さいました。

ですので僕から職人へも、近隣の方へ十分配慮するように指示をし、フェンスの防護や足場を組み立てる際には、全員気を配りながら作業をしたのです。

 

まずはこちらをご覧下さい。本当に人ひとり通れるかどうかの境界地です。

 

足場を組み立てる前には、入念なシミュレーションをしました。

まして、施主様宅は敷地ぎりぎりまで建物が建っているため、隣の敷地に入らず足場を建てるのはかなりの注意深さと技術が必要となります。

 

そして、このアルミフェンス。

工事を始める前に、しっかりと現場チェックをします。

元からの凹みなどは、日時と時間が分かるように撮影をしました。

さらに、お隣の方の敷地に元から落ちているゴミなども、しっかりと撮影を。

これは一番問題になるところですので、何度もチェックいたしました。

事前の調査が終わったら、次はいよいよ足場建てです。

併せて観たいYouTube お隣との境界で足場の組み立て

フェンスに足場の防護ネットを撒き、その後天板には黄色いスポンジを紐で巻き付けました。

これは足場の縦軸などに巻き付けるもので、こうしてフェンスにまきつけることで、衝撃から保護します。

今回のこうしたフェンスの保護作業は、工事の料金内で行っているもので、特に項目立てて料金を頂いているものではありません。

電線防護管の取り付けなどであれば、電力会社が作業をするため別途作業費を頂くのですが、今回はちがいます。

しかし、万が一フェンスに傷をつけたら施主様とお隣の方の中にさらにヒビを入れてしまうことになるので、いつも以上に慎重に作業をしました。

またきっちりと防護すれば、職人も安心して作業ができます。

そのために、徹底した防護策を行ったのです。

 

しかし、これだけ対策をしたにも関わらず、ミスをし…お隣の方からお叱りを受ける結果となったのです。

なぜミスが起こったのか、お話したいと思います。

 

掃除の際に起こったミス

 

フェンスの防護や工事方法など、対策を採りましたが配慮不足からミスがありました。

それは掃除です。

シロアリ駆除を行い、壁の中の断熱材やシロアリに喰われた木材などを取り除き、工事が終わったので、職人が家の周りを掃除しました。

施主様宅の家の前は完璧に綺麗にしたのですが、お隣の敷地前の道路部分の一部の掃除をおこなわなかったのです。

職人達も、工事についてお隣への配慮をすることは共通事項ではあったのですが、ゴミがでやすいのは施主様宅の前部分だったため、お隣の前までゴミが行くことを想定しなかったのでしょう。

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しかし、施主様宅の壁の中から取り除いた断熱材のカスが風で飛び、お隣の家の前に落ちてしまっていたのです。

これを発見したお隣の方からは、お叱りの電話がありました。「ゴミを落とさないという約束が守られていないと」と……。

僕が他の現場にいて事務所にいなかったため、社長が電話を受け強いお叱りを受けました。社長は真摯に対応し、その後すぐに松尾の携帯へ連絡を。

その後すぐに掃除道具を抱え、僕は現場へむかったのです。

時間は19時27分。すでにあたりは暗くなっていましたが、お隣の方へお詫びに伺ったもののご不在でしたので、名刺とメッセージを残し掃除をしました。

土なども綺麗に取り除き、ゴミについても何度も確認を。

もともと、お隣の方は風が吹きだまることでここに隣のゴミが流れてきて、非常に迷惑をしているとおっしゃっていたのです。

そのお話を伺っていたのに、現場で共有しきれなかったことが悔やまれます。

5メートルほどの長さの道路脇。お客様宅前が3メートル、隣の方の前が2メートル。

風によって、施主様宅前からゴミが流れる想定が僕の中に足りなかったのだと思います。

 

現場のトラブル 丁寧に対応することの大切さ

 

今回の現場では、トラブルが起こることがさまざまな理由から想定されていましたので、対策を採っていました。

境界地のフェンスや、施主様とのコミュニケーション。

塗装の際には、お隣宅側に水などが飛ばぬようにブルーシートもかけました。

 

また、足場も境界地の工夫はもちろんではありますが、本来であれば今回のような工事方法の場合コの字に足場を建てるのがセオリーなのですが、工事の始まる時期に逆側のお隣で工事が始まり、本来であればアンカーを取るはずだった箇所がとれない…ということもあったのです。

そこで、急遽対策を講じてなんとか足場の安定を図ることもできました。

 

また道路部分に点字ブロックがある場合には、それを塞がぬように足場をたてなければならず、そうしたことにも気遣いを。

これだけ様々な対応をしましたが、それでも工事によって出たゴミを回収し損なうというミスが起きたのです。

 

このミスは、僕の伝達の失敗。管理の不行き届きが原因です。

もちろん起きたミスは、しっかりと責任を取り対応をしましたが、自分の中では本当に残念に思いました。

あと一言きちんと言葉に出して言っていたならば、このような事態にならなかったのではないかと…思ってしまうのです。

だからこそ、今後は更にしっかりとお打ち合わせをして、家の状態や症状、そして近隣の方との情報まで把握しようと思います。

今回のトラブル対応で、計10時間ほどお隣の方とお話をしました。

時には立ったままお話を聞くこともありましたが、どれも言われてしかり…なことばかりで、少しでも何か改善の糸口があればと、模索し続けたのです。

 

施主様の息子さんも、何回か立ち会って下さり、お隣との関係改善に尽力して下さりました。その甲斐あって、工事後に息子さんとお隣の方で飲みに行くことがあったそうです。

これは、本当に嬉しい報告でした。

 

僕としては、今回の工事がきっかけでさらにお隣との関係が悪くなってしまったら、どんなに家を綺麗に仕上げようと、完璧な工事とは言えないと思っていたからです。

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トラブル対応というのは、本当に難しいと何度経験しても思います。

少しのボタンの掛け違いが、大きなひずみを生んでいくこともあるからです。

これからも、できるだけリスクヘッジをしながら、嘘のない対応をしたいと思います。

 

僕はお客様から口コミを頂くとき、一番嬉しいのは…工事の技術、ご近所への対応、職人のマナー…これらすべてを含めたトータルでの評価を頂けたときです。

これらをすべてクリアすることで、お客様としても初めて満足のいく工事になると思います。

今回は想定の甘さから、ミスがありましたが、これからも誠実に現場に向き合い、工事後もよりお客様が気持ちよく住めるようにお手伝いができればと思います。

 

若い時から大手の大規模改修工事に携わり、官公庁の仕事も多くこなしてきました。知識は当然のこと現場も正しい仕事ができて当たり前です。常にお客様の立場に回り物事を考えて行動しています。 漏水対策も得意分野で2人の子供を抱えて毎日仕事に励んでいます。防水施工技能士。

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