この度の台風10号の影響により、被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。
今回も本当に大きな台風でした……。
現在工事などで関わっているお客様宅は、昨年の台風19号の影響で工事に至っているお客様ばかりですので、本当にこれからの台風シーズンに対し、さらに気を引き締めなければならないな…と思いました。
先日、夏休みの代休を使って、とあるお客様の裁判のお手伝いを兼ねた参考人として裁判所に行ってきたのですが、日比谷公園や皇居の周りを久々に歩き、思うところが……。
写真をご覧ください。
どの風景も美しく、整備されていますよね。
建物の築年数は数十年以上、写真にあります城壁跡については100年以上経っているかと思います。
でも、どれもこれもきちんとメンテナンスをされているので、破損個所などはありません。木々の形も綺麗に整えられ、髪の毛に例えるならば枝毛なんて1本もない状態と言えます。
日比谷公園の中も都会の中の緑地として、美しく整えられ、図書館も古い建物ではありましたが、荒れた印象や傷んでいて危なそうな箇所などはつゆほどもなかったです。ついつい、職業柄か建物の傷み具合などチェックしてしまうのですが、本当にどれもこれも手が行き届いた状態に見えます。
僕は以前首相官邸横の建物工事に携わったことがあるのですが、その工事を経験して思うことがあります。その時の工事は、国の建物だけあって、セキュリティも万全、資材も潤沢、そして工期にも余裕があり、本当にのびのびと力と手を尽くして工事をしました。その経験の上で、この風景を眺めると、そういった余裕のある工事だからこそ、こうした景観を保てるのだな…と思うのです。
僕はこれまでのブログで、金額のみで判断した工事でひどい状態になってしまうケースを沢山紹介して参りました。今回ご紹介している建物は、ある意味金額にとらわれずにきちんとした工事をした結果、このように時間が経っても美しいままで建物を保つことができる見本なのです。
先日も、とあるお客様でお見積りに伺った際に、補修分の1万5千円の値段に悩まれている方がいらっしゃいました。この1万5千円は、今後家を長持ちさせるためや不具合を起こしそうな箇所をつぶすために必要な工事でした。でもお客様が不要とおっしゃる以上、私たちで「家のために」と言って勝手に工事することはできません。
さらには、お客様でお見積りを出した後に値切ってこられる方がいます。
値段の交渉ではなく、完全に不可能な金額の値切り。
これにだけは、僕も本当に困ってしまいます。
たしかに、その場で安くできたらお客様は喜ばれるかもしれません。ただ、一般的に工事が成立しない金額で工事を請けてしまったら、職人に満足な金額が払えなくなり、職人はその仕事を受けないでしょうし、そうなればその金額で満足してくれるそれなりの職人を雇うことになります。材料も潤沢には使えないので、最低のものへと交換しなければなりません。
そして最悪の場合、儲けがでなければ店を畳むしかなくなってしまうのです。職人の質が悪くなることは、お客様宅の塗装工事の質も落ちます。材料の質が悪くなることも同じです。
塗装工事を頼んだ塗装店がつぶれてしまったら、アフターメンテナンスはおろか、何か不具合が出た時に家の状態を知る、ある意味家の「かかりつけ医」をつぶしてしまうことになりかねません。確かに一瞬は値切ることで、得をしたように思うかもしれませんが、その値切りは結局お客様ご自身の首を絞めてしまうことなのです。
もしも、塗装工事の金額に悩まれたら日比谷公園や皇居の周りを歩いてみて下さい。
しっかりと建て、メンテナンスをした建物が、どれだけ美しくそして長持ちするのかがおわかりになるかと思います。家に適したメンテナンスは、台風への対策にもなります。
安さゆえのリスクとデメリットは必ず共存します。
値切ったがゆえに、おおきなデメリットを引き起こさぬよう、もう少しだけ金額にとらわれず必要な工事に目を向けて見て下さい。
そうすれば、僕が見たこの日比谷の風景のような未来が、お客様の家でも実現可能となります。