もくじ
早いもので、もう12月。すっかり朝の空気が冷たくなりました。
塗装職人でも2021年にむけて、営業をはじめスタッフ一同さらに研鑽を重ねています。
おかげさまで弊社は創業約30年、その間にも約10年越しでリピーターとなってくださるお客様に恵まれてきました。
弊社の工事にご満足いただけているお客様が多くいらっしゃることは、とてもうれしく思います。
お客様にご満足いただくために、弊社が大切にしていることはたくさんあります。
今回の記事ではその中の一つ、お客様にお伝えしていること、ぜひ知っていただきたいことをご紹介します。
結論は、「どのような素材にも良い面と悪い面があること。その両方を知っていただくこと」です。
その前提のもと、最善の方法で塗装や補修をすることで、お客様にもご納得いただける工事になるのです。
例えば、どうしてもクラック(ヒビ)が入ってしまう壁があります。
その解説を兼ねて、詳しくお話させてください。
クラックが入ってしまう壁
先日道を歩いていたら、ブロック塀の補修後少し経った壁と、ジョリパットの壁がありました。
この二つの壁に共通して言えることは、どちらもクラック(ヒビ)が入る…ということです。
なお、クラックの補修については、こちらの記事が参考になります。
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ブロックの穴によってヒビが入る
こちらのブロック塀をご覧ください。
このブロック塀ですが、土地の境界線部分を示す塀のため道ぎりぎりにあり、以前のものは車が引っ掛けて壊してしまったのだとか。
その後、また新しくブロック塀を立て直したのですが、施工後少し経ってブロック塀を見たところすでにヒビが入っていました。
とはいえ、ここは境界線を示すための塀です。このヒビ割れから雨水などが入り込んでも、下まで通過した水は地面に吸われるだけで、特に問題はないでしょう。
※もしもこれが家の一部分だったら、このヒビ割れは雨漏りの原因となります。
ブロック塀は、もともとの形状に穴がある為、後からモルタルで穴を塞いだとしても、穴部分の隙間から割れてしまうことがあります。
コンクリートブロックを使用している以上、この割れは仕方のないことなので、どんなにモルタルできれいに塞いだとしても、出てきてしまうのです。
これを補修する場合、シーリング材などを充填してヒビ割れを塞ぐことはできます。
しかし年数が経過すると、コンクリートブロックの内側にある空洞部分から再び割れが出てきてしまうのです。
コンクリートブロックを使用する以上は、このヒビと付き合いながら使用するしかありません。
一方でコンクリートブロックには、安価であることや取り扱いやすいことなどメリットも多数あります。
コンクリートブロックを使用する場合は、このようなメリット・デメリットを見極めて使うことになるのです。
モルタル壁は動きに弱い
次にジョリパットの外壁についてです。
ジョリパットとは、砂などを塗料に混ぜたモルタル外壁用塗材のことです。
ジョリパットは湿気に強い点や、美しいデザインを施せるというメリットがあります。
写真のジョリパットの外壁も凹凸が美しくモダンなデザインですよね。
ボーダーパターン、クリフパターン、スクラッチパターン、ラフパターンなど様々な凹凸模様の仕上げ方法があります。
ただし、この写真をよく見ると、大きなヒビ割れと黒い汚れが浮かび上がっているのが分かります。
ジョリパットは、先ほどのコンクリートブロックと同じで、クラックが発生しやすいという欠点があるのです。
モルタルなので木部と動き方が違うため、木部の伸縮についていけず割れてしまいます。
【参照動画】ヒビと汚れの外壁ジョリパットの復元塗装
ジョリパットのヒビ割れを直そうとした場合、この凹凸をキープすることはできません。
補修施工の一例ではありますが、ヒビ割れを閉じるためにシーリング材などを注入し、上からさらに塗装をするため凹凸は無くなってしまいます。
修繕する際にできるだけ凹凸を残す補修をしようとすると、職人の細かい手作業・技術も必要となるためそれだけお金がかかります。
しかしながら、せっかくお金をかけたとしても多少ヒビが分からなくなる程度。
少し遠くから眺めるなど角度や太陽光の強さ次第では、ヒビ跡が浮かび上がって見えるでしょう。
どんなに手を尽くしお金をかけたとしても、元のヒビ割れの無い壁には戻らないのです。
また、ジョリパットの外壁で白いタイプは、写真のような汚れが目立つようになります。
これもモルタル特有の汚れ、ある意味水垢のようなものなのですが、雨風に晒されて数年経過するとこの汚れが壁の表面に付着して落ちなくなります。
この汚れをできるだけ付かないようにするのであれば、家を建てた際にコーティングを施さなければなりません。
でも、このコーティングはあくまでも外壁塗装のオプションであることと、コーティング剤やクリア剤は高価なため新築時に使用する人はほとんどいないのです。
そのため、ほとんどのお宅ではジョリパットの外壁にしてもコーティングはしないため、汚れも付着します。そして、ヒビ割れは例外なく発生します。
併せて観たいYouTube
2種類の外壁がある家の塗装 ジョリパットとリシン
このように、「デザインに優れている、でも割れやすい、汚れやすい」という素材の特徴は、どんな職人でも変えることはできないものなのです。
納得のいく外壁塗装や補修工事にするために知っておきたいこと
外壁素材には良い面と悪い面があります。
ですので、その両方を知ったうえでどのように長持ちさせていくのか、それを考えて方針を決めること。
それが、長く納得できる工事にするために大切です。
人は良い面には目を向けますが、悪い面はできるだけ目を背けたいという気持ちになりますよね。
外壁素材の悪い面を理解したうえで、どうにか着地させて寄り添うことで、外壁を長持ちさせることが出来るのです。
良い面ばかり見ている場合はキケン!
残念なことに偏った知識をご覧になって、悪い面に気づかないままという方もいらっしゃいます。
モルタルや、コンクリートブロックの問題点はこの業界の人間であれば常識的なこと。
ところがネット上の広告では良い点だけがクローズアップされていて、悪い点はほとんど書かれていません。
ですので、そうした問題点を補修する提案をすると必要さが伝わらない結果となります。
「割れているところは新品同様に安く直してほしい……。」
「安い塗装費ですべて綺麗になって、ヒビなども修繕できる。」
このような塗装は、実際には不可能なのです。
安さの裏には、安い金額で引き受けるそれなりの技術の職人であったり、材料を安く質の劣るもので使っていたりなど必ずどこかに帳尻合わせがあります。
サービスで儲け度外視の塗装工事など、ありえないのです。
「どんな家の外壁も安く綺麗になりますよ!」とうたっている広告の恐ろしさに、お気づきいただけますでしょうか。
お客様が納得のいく塗装工事のために
僕の恩師の言われたことで、今の自分にとってお客様への対応の礎となっている話があります。
それは「一つの丸いケーキがあった際にナイフ1本で二人の人間が公平に分けるためには、どうしたらいいか」という問いです。
当時の僕は、量りを使う以外の答えが思いつきませんでした。
答えは「一人がケーキを公平だと思うところで切り分けて、もう一人がケーキを選ぶ」というものです。
ケーキを切った方は、自分で切り分けたのでどちらのケーキになっても文句はないでしょう。
ケーキを最初に選ぶ方は、納得できるケーキを自分で選んでいるので受け入れることができるのです。
僕はお客様に対応させて頂く際に、できるだけ僕が切り分けたケーキの中でお客様が納得いく形でお選び頂けるよう力を尽くしています。
そうすることで、最終的には一番家のためになる塗装ができるからです。
もちろん、そのためにはお客様のヒアリングを丁寧にさせて頂きます。
できるだけお客様の痒いところに手が届くようにご要望をうかがったうえで、プロの視点で状況を判断してご提案させて頂くのです。
弊社の仕事は「塗装を終えてから」始まります
弊社塗装職人は、愚直な塗装店です。
塗装という仕事に誇りを持って、お客様の家に真摯に取り組んでまいりました。
そのため、これまで塗装職人の本店がある横浜や東京店のある世田谷を始め川崎、目黒など多くの場所でリピーター様に支えられて参りました。
私たち塗装職人は、工事を完了した瞬間でお客様との関係が切れるわけではありません。
逆に言うと、施工後からお客様との関係が始まるのです。
私たちがご提案して、お客様に選んで頂いた塗装が正しいのかどうか…10年かけて判断を頂きます。
良い塗装は、家を本当の意味で守ります。
どうか外壁素材の良い面だけでなく、悪い面にも目を向けて下さい。出てしまった外壁や屋根の不具合を正確に把握できれば、戦い方はあります。
お客様が悪い面に視線を向けて下されば、私たちも全力でご提案と施工ができるのです。
10年後もお客様に「お願いして良かった」と言っていただけるために、全力で塗装工事させて頂きます。
併せて観たいYouTube
【参照動画プレイリスト・外壁クラック】