もくじ
鉄材やアルミのサビを原因とした雨漏りが、急に起きることがあります。
それを防ぐためにできること。それは築10年を目途に、ご自宅のチェックを行うことです。
この記事では、サビを原因とする雨漏りについて、そしてそれを防止するためにできることについて解説します。
鉄建材の雨漏り
鉄柱の雨漏り
突然ですが、衝撃的な写真をお見せします。
さて、みなさん。これはなんでしょう?
パッと写真を見て、お分かりになる方はいらっしゃいますか?
正解は、「鉄骨階段の支柱の釘アナから水が噴き出しているところ」です。
まるでどこかの噴水や、水芸のような勢いある飛び出し方……。
思わず笑ってしまいそうになりますが、これ立派な雨漏りなんです。
ぜひ想像して下さい。
こんなところから水が噴き出してくるということは…水はこの柱の中になみなみと溜まっている状態です。
しかも支柱は基本地面に刺さっているだけなので、下からの排水口はありません。
そして、この支柱は「鉄素材」。鉄ということは…水浸しになった支柱の中は錆びているでしょう。
10数年前に建てられた一戸建てでも同様の雨漏りが起きる可能性が
怖いことに、支柱の付近には雨の侵入口はございません。
と…いうことは…雨水の侵入口はどこか別の場所です。
ふーーーー、考えただけでも恐ろしいですよね。
ここに出ている水がどこからやってきているのか、そしてどれくらいの年月をかけて溜まり、こうして噴き出すまでになったのか。
防水のプロである僕でも、パッとこれを見ただけでは分かりません。
そしてさらに恐ろしいことを言いますと、この状況は十数年前に建てられた、一戸建てのパラペットタイプの屋根上やフェンスでも起こり得るのです。
もし屋根上の雨漏りが原因で、こんな勢いの水が家の中に噴き出して来たら……もう住んでいる方は大パニックになることでしょう。
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家の中のスチール配管のさび
家の中のスチール配管が原因となる雨漏りもありました。
非常に素敵なデザインの家で、外観もとてもおしゃれ…でも家の中で雨漏りが出てしまったのです。
原因を探し、屋上にも問題があったため漏水工事などもしたのですが、雨漏りは止まらず…仕方なしに家の壁中にある配管を調べることに。
お客様の部屋に入り、内壁を開けてみると、なんと配管がスチール製でした。
スチールつまりは、鉄製です。
スチール製の配管に水が通るのですから、そりゃあ錆びるし、穴もあきます。
これじゃあ、いくら屋上の漏水部分を止めても雨漏りが止まるわけはありません。
しかもこの配管……通常は屋上から外壁の最短ルートで配管を作るため、30㎝くらいの長さのものが多いのですが、この配管は2mもありました。
もはや、どこから水漏れしてもおかしくない状況です。
デザインは本当に素敵な住宅だったのですが、デザインを優先にしたがために、このような長さの配管になってしまったのでしょう。
もちろん、配管をスチールにしないことをも出来たとは思いますが、予算の関係などもあったのかもしれません。
他のブログでも申し上げましたが、鉄は安く扱いが容易な素材なのです……。
(こちらのブログです。写真に矢印が付いているのが鉄です)
お粗末な自治体の公共工事
そして、ここでもう一枚の写真をご紹介します。
この写真は、某市にありました歩道橋です。
塗装は剥げ落ち、鉄製の橋自体も錆びてボロボロになっています。
この歩道橋、不思議なことに欄干部分の橋との接着面だけ補修工事がしてあるのです。
そしてよく見ると、支えか何かがあった部分が切り落とされ、空いた穴にはシリコンが詰め込んであります。
ところが自治体の工事にもかからわず、この補修がなんともお粗末。
乱暴に詰め込まれたシリコンの隙間から更に雨が入り込み、欄干部分は非常に怖い状態になっているのです。
もはやこの欄干足元の補修工事は、焼け石に水状態。
いやぁ……財政が厳しくお金がないのかもしれませんが、みなさんもどうかお気を付けください。
「鉄骨階段だからといって、いろいろ補強してあるんだから落ちるわけがない」と思う方もいらっしゃいますが、僕は怖いです。
これまで鉄骨階段が落ちているアパートを何件も見た僕がいうのですから、本当です。
ここまでさまざまな鉄材のトラブルについて紹介しましたが、実はアルミでも同じことが起こります。
アルミや鉄は、一昔前の家でも普通に水が通る場所などで使用されていた建材です。
安く建てた戸建ての場合などは、鉄を使用している家は非常に多いので……。
雨漏りの原因を探すのは、本当に難しい作業です。
雨漏りの原因を探すのは、とても難しいことです。
雨漏りが発生している場所は明らかであっても、それを引き起こしている水が浸入している原因は、簡単には分からないため。
例えば、室内の天井や壁の雨染みがあったとしても、単純にその上に穴があってそこから雨漏りしているとは限らないのです。
原因は検査だけでわかるものではなくて、問題点として考えられそうな箇所を物理的に開けて、中を確認する必要があるのです。
さらに、雨漏りの原因は一カ所だけとは限りません。
原因として特定できたところを補修しても、それ以外にも問題が残っている場合もあって、根本的な解決とはならないです。
このように、雨漏りは発生してからは原因調査も修復も大変なもの。
そのため、発生する前に防ぎたいものです。
雨漏りは起きる前に防ぎたい
雨漏りを防ぐためにできること。
それは築10年を目途に、ご自宅の状態をチェックすることです。
家はどんなにきれいに使っても、必ず劣化します。
鉄やアルミで作られた部分も同じです。水などの悪条件がないとしても、年数とともに劣化します。
そして、劣化のあげく水が中に入り込み、雨漏りとなるのです。
雨漏りは、数年越しで家の中を侵食し症状として急に出てくるので、家主にとってはまさに青天の霹靂。
でもしっかりと予防をしたり、定期的なメンテナンスをしたりすることで、こうした急な雨漏りはかなりさけられるでしょう。
どんなことにも原因と結果があります。
防水工事だけでは雨漏り対策にならないことも
安い工事ができるのは、どこかの工程を端折っているか建材を安くしているため。
雨漏りは、雨がしみ込む部分をメンテナンスせず放っておくことで発生します。
どんな状況の外壁や屋根でも「防水工事をすれば雨漏りを直せる」と思っていらっしゃる方がいるのですが、防水工事は雨漏りを直す特効薬にはなりません。
防水工事は塗装工事に比べて高いので、「これだけ防水工事にお金を出しているのだから、雨漏り部分を防水層で塞げば止まるだろう」と思ってしまうのかもしれません。
ですが、雨漏りを止める工事と防水工事は別物。
防水工事は、雨がまだしみ込んでいない箇所にする水を防ぐ工事であって、すでに漏水し中身が錆びている状態を塞いでも、雨漏り箇所の補修にはならない場合が多いのです。
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以前使われていた建材が原因となることも
家を建てる際の建材は、時代とともに変わってきます。
昔は普通に使っていた建材が、今では様々な被害が出ることがわかり、使用しなくなったものもたくさんあります。
何よりもこのことを象徴しているのが、東京都の水道管です。
みなさんもニュースでご存じかと思いますが、東京都の水道管は鉄で出来ているのです。
水を通すものなのに鉄……普通に考えたらありえないですよね。
近年、アパートを建てようと思う時に、安いからと言って鉄骨階段を選ぶ人はほとんどいません。
でも何十年か前の時点では、この「水道管に鉄材」という違和感に気が付く人はいなかったのです。
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そのせいで、現在では錆が広がり水道管が破裂したりしています。
数十年前の東京都でさえも、水を通すところに使ってしまった鉄材。
皆さまのご自宅では、本当に水を通す部分に鉄材を使っていないのでしょうか……。
有効なのは発生前の検査とメンテナンス
雨漏りを防ぐために、築10年を目途にご自宅の状態をチェックすることをおすすめします。
トラブルが表面化していないだけで、紹介してきたような鉄材やアルミのサビによる被害が、ご自宅内のフェンスや屋上で起こりつつあるかもしれません。
そして、雨漏りの原因となりそうな場所を定期的にメンテナンスすることも有効です。
繰り返しになりますが、雨漏りが起きてしまってからでは原因の追究が難しい場合があります。
水が家に侵入してしまう前に予防して、家を長く健康に保ちましょう。
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