築10年の川崎市の施工宅、塗装してから10年の様子
2002年に施工後、10年経過した川崎市内にあるお宅の外壁の状態を報告。
写真は一番傷みが進んでしまう場所をわざと選びました。10年経過した外壁は、新築時と比べると多少の劣化は見られますが、全体的には良好な状態を維持しています。紫外線や雨風に最も晒される厳しい環境にもかかわらず、塗装は剥がれや色褪せもほとんどなく、10年前に塗装したことを感じさせない仕上がりです。
これは、適切な下地処理と高品質な塗料を使用した結果であると言えます。
さらに、最新の塗料や施工方法を用いれば、さらに良い結果が期待できます。お客様にご満足いただけていることに、大変嬉しく思います。今後も、お客様に最適な塗装をご提案できるよう、日々努力してまいります。
当時はまだ高価だった水性シリコンセラと一液ファインシリコンセラを3回塗り、シーリング(コーキング)の打ち替えと増し打ち、大工による軒天の交換など、一通りの工事を実施。
現在は主流のファインウレタンよりも高価なシリコン塗料を使用したことで、10年経過した今でも、塗装は剥がれや色褪せもほとんどなく、良好な状態を維持しています。
また、当時は主流だった単管足場ではなく、現在では主流となっているクサビ足場を使用すれば、より安全で丁寧な作業が可能だったと言えるでしょう。
2002年当時のシール
ベランダ軒下のベニヤが腐食していたため、大工によるケイカル板への交換を行いました。原因は外壁目地からの雨水の浸入と考えられます。築10年経過に伴い、サイディングと窓サッシの目地シールも打ち替えました。当時は専門職人ではなく、一液タイプのシーリング材を使用していました。サイディング自体は劣化が少なかったものの、陽当たりの良い面の木部は塗装が剥がれ、素地が露出している箇所もありました。
2002年当時の外壁塗装
外壁塗装の際には、マスカー養生をして下塗りに水性エポサーフを塗布しました。このエポサーフは肉厚でかぶりがあり、壁との密着性が高く、ブリード汚染も防止するサフェーサーです。
その後、中塗りと上塗りには一液ファインシリコンセラを用いました。塗料の吸い込みが激しい箇所には4回、塗膜が活きている箇所には2度塗りを行いました。家の方角によって傷み方が異なるため、傷みが予想される場所にはより多くの塗料を施しました。
外壁の下塗りには水性シリコンエポサーフを採用しましたが、チョーキングが多い場合は高圧洗浄を行い、浸透性のシーラーを塗布することも必要です。また、現在では紫外線に強いUVカット機能を持つ塗料も利用可能ですが、それ以前の塗料を施している場合には長持ちさせるための貢献が期待できます。その他、エアコンの配管テープやサドルバンドの交換も行っており、日光によって劣化する部品のメンテナンスも重要です。
2002年当時のベランダ
ベランダの床にはクラックが何ヶ所かありました。クロス工法、密着工法、通気緩衝工法などウレタン防水にはいろいろありますが、今回は密着工法です。
2002年当時の塗料・工事
当時から木部、鉄部、外壁、塩ビゾル鋼板などの素材ごとに、専用塗料をきっちり使い分けていますね。全体の色のバランスのための配色、素材ごとに耐久性を持たせるためなど、色の塗り分けと塗料の使い分けにはコストが掛かるものです。
その逆で色のバランスを考えずに塗りをけなしの同じ色ばかり、素材ごとの塗料の使い分けをしてもらえない工事には注意したいですね。
10年後の2013年のシール工事
塗膜のひび割れは確認できたものの、シールまで影響はしていませんでした。窓周りも同様です。
10年後の2013年の外壁
外壁塗装後、10年後でも通常は壁からの塗装はがれはめったに起こらず、木部の塗装はがれが主な問題となります。この点を利用して、一部の業者が知識不足の顧客に対して保証を15年などと前面に打ち出しています。業界全体がこのような状況に慣れてしまっているのが問題です。また、タッチアップ用に提供された塗料が10年後もそのまま外壁に置かれている光景も見受けられますが、これは雨水によって中身が固まってしまう可能性があります。写真撮影時は西日が強く当たっており、夏場はさらに暑くなると考えられます。下地調整や下塗りが不十分な場合、1年も経たないうちに破風から塗膜の剥離が起こる恐れがあります。
外壁の傷みは下部の塗膜のみ。木部自体には全く影響していません。家の塗装をしていて思うのは、西日のあたる方角の破風で特に少したれ下がったこのような斜めになっている破風板は、雨が当たった最後まで留まっている部分でもあり特に傷みが激しいです。この部分の痛み方として塗膜のはがれの様子がわかります。
また、わずかですが板の節から塗膜の剥離があります。普通のところはうっすらと光沢があります。10年前の塗料なのに少し驚きですね。どこでもそうだと思いますが、凸凹や端との部分に比べると、やっぱり平面部分は持ちがいいみたいですね。
あまり塗装が劣化しておかしくなる場所でもありませんが、汚れはつくものの戸袋も健在です。
10年後の2013年のベランダ
10年後のベランダは、大きな異常はみられませんでした。ヒビと言えるか言えないかくらいの微細な物はありますが、雨漏りするようなことは全くありません。塗装から10年が経っていますので、トップコートくらいのメンテナンスはしても良いと思います。
10年後の2013年の全体的な状態
こちらのお宅は隣が畑で見晴らしも良く、西日がガンガンと当たり雨風も直撃するような立地でした。そのような状況の中で、今回の10年後の検証はまず客観的に見ても間違いないと思います。正直もう少し傷んでいるのかなという思いだったので、太鼓判を押せるほどの塗装工事だったと自己分析です。
なにはともあれ、10年前の塗料でこの結果には大満足しています。