もくじ
敷地が公道ぎりぎりに建っているお宅の場合、道路の使用許可、ガードマンの配置などが必要になる場合があります。
そうした道路の使用許可、占用許可の手数料などを見積書に載せた時、お客様から必要性についてお問い合わせいただくことがあるのです。
業者によっては、これらの予防策をしないで工事をするところがあるので、疑問に思うのは致し方ありません。
今回は、お客様とやり取りしたメールを元に、「なぜ道路使用許可や占用許可が必要なのか」という疑問点を、わかりやすく説明し紐解いていきたいと思います。
道路の使用許可と道路占用許可はなぜ必要な理由
こちらのお客様のお宅は、先ほども書きましたように敷地が公道ぎりぎりに建っている一軒家でした。
塗装工事をしようとすると、敷地を飛び出る形で公道に足場を建てなければなりません。
そこで以下の3つが必要となりました。
1 道路の使用許可→警察署へ申請
2 道路の占用許可→道路管理担当部署へ申請
3 足場組解体時のガードマンの配置
工事前に足場を建て、さらに足場を解体するためにも、足場の部材を運ぶ3トントラックをお客様宅の前に横付けしなければなりません。
そのため、道路の使用許可が必要です。さらに足場は、工事の間中公道にはみ出していますので、占用許可も必要となります。
道路使用許可は警察署に、道路占有許可は道路管理担当部署に届け出を。
それぞれ、書類の記入や提出、使用料の支払いが必要となり、人件費も必要です。
このような前提のもと、お客様とメールのやり取りを致しました。
※お客様からはわかりやすく要点だけを書きだしております。お客様からこの原文ママのメールがきたわけではございません。そちらを踏まえて読んで頂けますと幸いです。
- ・お客様からのメールの要点1
<見積もりについての相談>
・他社では、道路許可関係などが計上されていないため、見積料金に差が出てきてしまっている。
・できれば塗装職人で工事を決めたいが、何かコスト削減の方法を提案して欲しい。
駐輪場の屋根の取り外し、ガラス屋根の取り外しなど。
- ・菊池からの返信メール1
いただきましたメールの内容を足場班と協議いたしました。
自転車置き場の屋根取り外しにつきましては、自転車置き場に補強を入れて上にコンパネを敷き脱着なしで実施する方向にいたします。ガラス屋根につきましては最大限の注意を払うということで脱着なしといたします。
道路関係の警察への届け出の件ですが、お客様邸の場合は敷地外に足場の建地を立てますので、無許可で工事をした場合、例えば、子供が転んだり、車の事故、または御近所、通行人の通報等あった場合には工事中止や裁判沙汰になったりすることもあります。
道路占有の許可は必須です。
これとセットになるのが道路使用許可です。
警察に届けをすれば必ず両方必要になります。
公の許可を取るためには警察に足を運んで面倒な手続きをしなければなりません。
ご理解をお願い致します。
冒頭でも書きましたが、道路使用許可や占用の許可等を取らずに工事をする業者がいるのは、弊社も重々承知は致しています。
しかし、許可を取らずに工事をした業者は、万が一事故を起こしても責任をとりません。
もしもそれが、ご近所を巻き込んだ事故であったら、お客様だけが、その後何年も何十年もこの場所でご近所の方に向き合っていくことになってしまうのです。
足場は公道にはみ出しますので、お子さんが足をひっかけて転ぶことがあるかもしれません。または自転車などが足場に突っ込んでしまうこともあるでしょう。
そうした理由で、事故が起こった時に訴えられる可能性は十分にあります。
このような不安のある工事を、塗装職人ではすることができないのです。
そしてこのメール後に、さらにこんなお返事が参りました。
- ・お客様からのメールの要点2
<誘導員の必要性についての疑問>
・道路許可の必要性は了解。しかし、誘導員は本当に必要なのか。
→理由:交通量が少ない、周辺の戸建てで誘導員を立てているのを見たことがない
- ・菊池からの返信メール2
メールありがとうございました。
誘導員の件です
道幅等も計測して警察に届けを出します。
申請時に誘導員を付けてくださいという指示が出ます。
(経験上です。)
申請上は誘導員を配置しますが、無しで作業する業者さんもいます。
全く申請なしの業者さんもいらっしゃいます。
何も起きなければ問題はありません。ということになります。
ある意味変な言い方になってしまいましたが、最終的に何かあったとき責任が取れません。
誘導員は付けることをお勧めいたします。
1件1件事情は異なりますが、ご近所で近日、足場組立の普通の戸建に誘導員を付けております。
8月14日に足場解体の予定ですが、誘導員を付けます。
もしご希望であればご見学いただいても差し支えありません。
ムービーも撮ってお見せいたします。
このお宅は特に道路にはみ出して足場を組むというお宅ではありません。
誘導員は、この図のように道路の両脇に2名立てます。
「ビルなどの工事ではなく、たかが戸建ての工事なのに、ここまでガードマンを立てる必要があるのか…」というのが、どのお客様にも共通する疑問点です。
しかし、もしもご自宅前に3トントラックを横付けしている時に、車が入ってきてトラックに衝突するなどトラブルが起きてしまったら、最悪の場合使用許可も占用許可も取ってないことで、刑事罰や行政罰を受ける可能性があります。
両側からの車に対応するためにも、ガードマンは道の入口と出口に一人ずつ必要なのです。
併せて観たいYouTube ガードマンを配置した足場工事の動画
同じように、「この工事は必要ですか?」とお客様から頂くご質問に電線防護管工事があります。
何度か菊池のブログでもご紹介をしていますが、工事する建物の屋根や外壁と電線が近い場合に、感電防止のカバーをつける工事です。
これは、電力会社に依頼して取り付けてもらうため、別途工事費用がかかります。
ですが、これもまた…同じように取り付けをしないで工事する業者がいるのです。
先ほどの道路の使用許可と同じで、何も起こらなければ「安く済んだ」で終わってしまうかもしれませんが、何かあった時に安全対策をしなかったことでトラブルとなります。
お客様が、少しでも工事費用を安くしたいという思いもわかります。
あわせて読みたい 電線防護管の必要性と工事費について
しかし、弊社ではそんな不安を抱えた工事をお客様におすすめしたくないのです。
だからこそ、どこか他の工事などで削れる場所がないか、相談し提案も致します。
実際、今回お打ち合わせさせて頂いたお客様にも、駐輪場の屋根の取り外しをやめてコンパネなどを引くことで対策して工事ができるようにしたり、駐車場のガラス窓を外さずに工事する方法などを模索したりと、少しでも工事費用を抑えるご提案もさせて頂きました。
必要な工事と、抑えられる工事を切り分けて考えご提案するのが弊社の工事です。
併せて観たいYouTube テラス屋根の取り外し動画
お客様に工事のイメージをしっかりと伝えるために
菊池としては、お客様から頂いたメールには、できるだけ早く返信するようにしています。
とはいえ…1通1通のメールに対して、ただ内容だけをぶっきらぼうにお返しするわけにはいかず、1通のメールの返信に1時間かかってしまうことも。
内容に間違いはないか、強い言い方をしてしまっていないか、お客様のお気持ちを察することはできているか、大事なことは伝えられているかなど、言葉ひとつひとつの意味を考えながら返信するからです。
私たち業者は、常日頃から工事をしているので、3トントラックがどのように道をふさぐか、そして事故が起きる時はどんな時かなど現実のものとして感じています。
しかし、お客様は3トントラックがどのように道をふさぐか…ということなどは、あまりイメージがつかない方も。
家の前に3トントラックが縦列駐車されている状態では、両脇の家から車を出すことが不可能になるお宅もあります。それくらい、トラックには長さも大きさもあるのです。
そして、警察からとがめられる度合いを『駐禁程度』に感じてらっしゃる方もいます。
実際は刑事罰や行政罰なため、そのイメージから大きくかけ離れたものです。
「でも、道路使用許可や占用許可を申請しない業者もあるのに」と思う気持ちもわかります。
ですが、それはあぶない綱渡りをしているにすぎないのです。
リーズナブルな価格を提案してくる業者には、どうか気を付けて下さい。
弊社は、法律にのっとり安全な工事をしています。
ご理解頂けますと幸いです。