塗装職人では、戸建てやマンションなど、さまざまな大きさの建物で塗装工事をお引き受けしています。
塗装工事の工程は、基本的に同じです。
ただ、建物の状態や外壁の種類によっては、工程の順番が変わることがあります。
その代表的な例が「高圧洗浄」です。

戸建ての場合、外壁がサイディングでもモルタルでも、足場を組んだ次の日は高圧洗浄を行います。(防水工事や雨漏りがある場合は別です)
しかしマンションでは、壁の仕様によっては高圧洗浄の順番が変わります。
この順番は、工事の効率と仕上がりを大きく左右する重要なポイントです。
今回は、高圧洗浄の工程順の違いと、工事を考える際に押さえておきたいポイントについてお伝えします。
高圧洗浄でどんな汚れを落とすかで順番が変わる
高圧洗浄の目的は、汚れをしっかり落として塗料の密着率を高めることです。
高圧洗浄が不十分だと、高級塗料を使っても、残った汚れの影響で塗膜の密着が悪くなり、わずか2〜3年で塗膜がはがれてしまうケースがあります。
だからこそ、塗装や補修工事の前には、隅々まで丁寧に高圧洗浄を行います。
ただ、建物によっては補修工事の後に高圧洗浄を行う場合も。

菊池が担当するお客様はリピーターの方が多く、ご自宅の塗装工事が終わった後に、所有されているマンションの塗装工事をご依頼いただくことがよくあります。その際、お客様はご自身の家で高圧洗浄が足場直後に行われたのを見ているので、マンションで高圧洗浄の順番が違うことに驚かれることがあるのです。
マンションの外壁には、モルタルやサイディングの他に、ALCやタイル張り、コンクリート打ち放しなどさまざまな種類があります。
壁材によって補修の方法が変わるため、補修工事の前に高圧洗浄が必要な外壁と、補修工事の後に高圧洗浄が必要な外壁に分かれます。
先日も、横浜のマンションの塗装工事で補修後に高圧洗浄を行いました。
その現場は、ALCの外壁にタイルを貼ったタイプでした。
ALCにタイルを貼ると、タイルと外壁が割れやすく、浮きも起きやすいため、補修工事がどうしても必要になります。タイルの補修では、割れた部分や浮いた部分を削る作業が発生し、その際に細かい粉塵が出るのです。
この粉塵はとても細かいので、拭くだけでは落とせません。そこで高圧洗浄が必要になります。
さらに、タイル壁の場合、水の高圧洗浄だけでは不十分です。
粉塵やタイル表面の汚れをしっかり落とすには、薬品洗浄(酸洗い)を行う必要があります。
薬品とは酸のことで、汚れの度合いに合わせてpHを調整しながら洗浄します。今回担当したマンションもタイル壁でしたので、薬品洗浄を行いました。
築20年で初めての塗装工事だったため汚れはかなり頑固でしたが、酸洗いの度合いはそれほどひどくなかったので、弱めのpHで対応しました。
またタイル壁以外にも、工程の順番が変わることがあります。
それは雨漏りの補修工事を行った場合です。
雨漏り補修後に散水調査を兼ねて高圧洗浄をすることで、補修した箇所の雨漏りが本当に止まっているか分かります。
この高圧洗浄の工程順の入れ替えからも分かるように、工事の方法や建物の状態によって、最短で効率よく進められる工程を組むことが、塗装工事ではとても大切です。
工事の内容をあらゆる方向から考える大切さ
塗装工事を検討するとき、どうしても「費用」が一番のポイントになりがちです。
しかし、費用だけを追いかけると、後で後悔するケースが増えています。
今は、工事の工程の順番や建物の状態、そして世界情勢による材料の値上がりや入荷状況なども、しっかり考慮して計画する時代です。
たとえば今回お伝えした「高圧洗浄」のように、工程の順番一つで仕上がりの美しさや塗装の耐用年数が大きく変わります。
工程の流れは、結果として工事の品質や長期的なコストにも直結する重要なポイントです。
また最近は、世界情勢の影響で材料の入手が難しくなっています。
イラン戦争の影響で、防水工事に使うウレタンや塩ビシートなどの材料の入荷が遅延し、工事が途中で止まってしまうケースも実際に発生しています。
塗装工事だけでなく、キッチン・トイレ・お風呂などのリフォーム工事も同様の影響を受け、予定通りに進まない現場が増えているそうです。
そのため、業者選びでは「安さ」だけでなく、
・建物の状態に合わせた適切な工程を提案できるか
・材料の遅れや値上がりに柔軟に対応できる経験と実績があるか といった点も、ぜひ確認
してほしいと思います。
これから塗装工事を計画される方は、費用だけでなく「今このタイミングで本当にこの工程で大丈夫か」をしっかり考えて、信頼できる業者を選んでください。
家の現在の状態を正確に把握し、無理に先延ばしにせず、ベストなタイミングで進めるのが結局一番賢い選択になります。
分からないことがあれば、経験豊富な業者に相談されるのが安心です。塗装工事を考えるときは、ぜひ値段だけでなく工事全体を俯瞰した上で判断してください。

高圧洗浄の工程順ひとつを取っても、業者の取り組み方の違いが見えてきます。
塗装職人でも、長年の経験を活かして現状を正確に把握し、お客様に最適な工事をご提案いたします。塗装工事でお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。

