今年2023年も国家資格、建築塗装の一級技能士の試験が開始されます。今年はコロナも落ち着きつつあり、マスク解禁にもなるためさらに受験者希望者が増えそうな予感がしています。
去年から一級の実務試験は内容が変わったようで、試験内容にあった玉吹きからの作業から砂骨ローラー作業に一部変更があったようです。
確かに「建築塗装一級技能士」という括りがあることを考えれば、砂骨ローラーのほうが全然現場での活用は多いです。
タイルガンを使った玉吹きという作業は、外壁にスタッコ調やタイル模様をつける作業なので塗り替えでの作業は、ほとんどクラック補修時の際に部分的に使うことしかなく1年に数度あるかないかです。
ほぼ新築時の作業に使う玉吹きですが、コンプレッサーなど準備も大変なうえ、今の新築はサイディングも多いため本当に実用的な試験ではありませんでした。なおかつパテ作業についても、外壁塗装などを主戦場にする業者はほとんど使うことが少ないです。
試験的に言えば、砂骨ローラー作業がなくなったので並行してヘッドカット作業もなくなりました。それでもパテ作業などはまだ残っているわけですが、現場で使わない以上は練習するしかありません。
併せて観たいYouTube 職業訓練指導員の菅職人によるパテ作業
神奈川県の場合は講習も充実しているので、まずは講習などを受けないと絶対というほど受かりません。実務とは関係のないケガキ線だったりもあります。
すべてはお見せすることはできませんが、こちらの塗装職人の動画で結構なことがわかると思います。
併せて観たいYouTube 職業訓練指導員の原本職人講師による練習
講習にはもちろんルールがあり採点基準もあります。その採点基準を知ることで合格にも使づきつつあります。技術点の要素以外にもあまり知らせれていないのが、作業をする際の姿勢です。
ねじり鉢巻きはしない、帽子のつばを後ろ向きにして被らない、おしりを床につけて作業しないなどの作業態度も重要な要素です。
コンパネ上の作業で間違いないのは常に片膝での作業を意識することです。もちろん両足立ち作業でもいいですが作業の都合上やりにくい場合があるような場合は片膝で作業するということを意識しておいた方がいいと思います。
中でも調色も見逃せないポイントです。ベースの色に少しずつ色を入れて混ぜ合わせるのですが、それに反して色を一気に混ぜようとするとベースの色が足りなくなってもう調色できない状態となります。
材料である塗料の使用量は限られて試験中に足りなくなったからといって追加はできません。塗料はシーラーのほか合成樹脂エマルジョンペイントの艶ありとツヤ無しがあります。シーラーはコンパネ上でパテを塗布した後に下塗りとして塗るので調色が必要ないため不足するということまずありませんが、シーラー以外調色作業は重要です。
講習や練習で使用する塗料は自分で用意することもできますが購入もできます。ただ調色に慣れていない場合は練習量を多くする必要があるため、いつも購入している材料屋で例えば3キロ缶缶などで原色を購入したほうが数多く練習できると思います。
調色は慣れの問題です。言葉では理解することはできませんが、頭の中でイメージすることでどのように各種の色の配分をすればどのような色を作ることができるようになるかは場数を踏むこととでできるようになります。
逆にその慣れや場数も時間の経過によって薄れていくので練習は新鮮なものほど良いということもできます。
試験当日は完成させる色見本板をみながら調色していくのですが、人によって色の完成は様々です。これは別々の職人が完成させたものでずかこれだけ色も変わってきます。
カップガンによるスプレー作業も特に戸建ての外壁塗装では使うシチュエーションは多いとは言えない作業です。施工する場所では雨戸が一番ありそうな場所ですが、スプレーガンもメーカーによって使い方や仕様も異なるため、本当は試験に実際に使用されるスプレーガンで慣れたほうが言うまでもありませんが、自主練は最低限必要かなと思います。
後は時間内に各作業を終わらせることも採点基準です。
申請が受理されると講習などの案内や刷毛や塗料など使用材料の購入案内など、試験に必要な情報が郵送で送られてきますが、申請時の組合や団体にもよるので確認しておいた方がいいでしょう。
申請書自体は職業能力開発協会からPDFをダウンロードするようなので詳しくはこちらでも掲載されていますが、その場合一般の申し込みになるため申し込みは早い方がよさそうです。
2023年の検定料は学科は3.100円で実技はなどの案内はこちらの神奈川県のホームページにも載っています。学科は3.100円、実技は18.200円でそれなりに結構費用が掛かってきます。
実際は上記の手数料だけではなく実質的に合格するためには講習費用も必要ですし、試験材料となる刷毛などの道具や塗料も必要になってくるので結果的にはかなりの費用が必要です。
講習にも道具の確認の講習と、実技試験を丸々再現して行う講習が今年も予想していますが、この講習代もなかなかの値段がします。
ちなみに試験道具の材料購入はこちらのような通販でも買えます。各道具自分で購入してそろえることができますが一式を購入したほうが無難です。購入後は刷毛は見切りやダメ込みしやすいようにカットしておく必要なども必要ですがそこにもコツがあります。
但し先ほども話したように調色セットなどは通販でない場合もあるので購入する際はチェックして購入すようにしましょう。特に町場がメインの職人さんは定盤など使う場面も少ないのとヘラの管理も不足がちです。きれいなものを購入して練習に挑みましょう。
あと道具を購入する際に注意が必要なのが定規やコンパスです。定規はJIS規格のものを使用する必要があります。
そういうものも含めて講習を受けることが必要なのですが塗装職人では塗装協会員のため、一般申請とは違い講習会の申請は先着順ではないためその場合よりかは講習を受けられる可能性が高くなります。
もし仕事上でのお付き合いも含め希望とする職人さんがいれば申請のお手伝いをすることも可能です。但し受験資格は実務経験7年以上です。それに加えて建築塗装の一級技能士の認知度も上がってきているため、受験者数にも制限が掛かる可能性があるかもしれないので、いずれも早めの申し込みは必須なのではないかと思います。
各塗装組合などの団体の申し込みは事務局などに直接行って受付してもらえる場合もありますが、職業開発能力協会に提出する場合は郵送のみの申請になるため、申請書に間違いがあると試験に間に合わない場合があるので慎重に記入する必要があります。
受付期間は令和5年4月3日(月曜)~4月14日(金曜)まで必着です。申請書の裏面に本人確認書類の写しの貼り忘れもあるようなので必ず写しを貼って申し込みしましょう。
ちなみにこちらの申請書からは事前説明会や講習会などの申し込みはできません。
申請が受理された後から申し込みができるようになりますが、講習に参加する前に動画である程度の知識やイメージをチェックしておいても良いと思います。こちらのアルバムでは塗装職人での練習の様子を投稿しています。
とにかく相当準備をして取り掛からないと難しいです。もしかしたら緊張が一番の相手になるかもしれません。
実務試験会場は二俣川の神奈川県立産業技術短期大学校になると思いますが、試験日は毎年夏で行われすぐ隣には別の職人さんが作業しています。
自分に集中できればいいのですが、いざ試験になってみると緊張が邪魔をします。なので技術的内容もそうなのですが、合格をするためには反復練習のようにしっかりと練習で慣れておくことも重要です。
特に難易度高めなのがやはりケガキ線です。コンパスや定規を使い試験問題に書かれている図通りに描くわけですが、これは99%ぶっつけ本番ではうまく行きません。練習も1度や2度では足りないと思います。
もう20年ほど近く前になりますが、私の場合は講習をもちろん受けましたが、そのほうに自宅にコンパネを10枚ほど持ち込んでケガキ線を練習し、現場が終わってから毎晩練習しました。
当時は一級塗装技能士は今より断然にマイナーな存在だったため職人の間でもそれほど注目はされていませんでしたが、外壁塗装は当時からグレーな業界ということもあり必ず国家資格が必要になるということを見越していたので合格に向けての受験には非常に積極的でした。
過酷で厳しい下請け時代を脱すためにも自分一人で集客をしなければならないという状況下だったため合格できたとも言えます。
学科と実技とも見事に合格すれば、神奈川県庁に取りに行くか郵送で送ってもらう手続きをします。合格発表なども含め詳しくは神奈川県産業労働局労働部産業人材課(技能振興グループ)に連絡するといいと思います。
塗装職人ではもう過去に十数人の職人が試験を受けていますが、傾向として学科はおおむね合格するようです。やはり実技のほうが極端に合格率が下がります。
以下細かい手順の違いはあるかも知れませんが、基本の実技試験の作業内容です。砂骨ローラー作業のことも明記していません。あくまでも正確な情報は申請後に送られてくる今年2023年のの試験内容で確認してください。無いよりかはマシな情報なため明記しておきます。
引用元 ヤフー知恵袋、塗装職人専門家回答 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14143162314
1.研摩と清掃
ベニヤの木目に沿ってサンドペーパーで研摩してウエスでふき取る。2.パテしごき
パテは柔らかめに粘度調整をしておき、ベニヤの木目に金ベラですんなりとスムースにパテをしごく。ベニヤの素地がうすく霞んで見える程度。3.研摩
木目に沿ってペーパーを軽く当てて研摩後、ラスター(ダスター刷毛)で清掃する。4.地付け
良く練ったパテから異物を取り除き、厚塗りに気をつけ金ベラで丁寧に平均な厚みで均す。パテは白く仕上がり。5.調色の準備
できれば地付けの乾燥待ちのこの時間を使って調色の準備をしておく。6.養生と研摩
地付けだけ残す部分に養生をして、それ以外を均一にペーパーを当てて研摩する。7.シーラー下塗り
ベニヤ板を立ててシーラーを塗る。8.研摩
木目に沿ってペーパーを当てて研摩する。9.養生をはがす。
10.ケガキ線
実技試験問題の課題図を見ながら定規と物差し、コンパスを使って区画線をHBの鉛筆で線を引く。
数値表記の寸法は、講習会で事前にしっかり把握しておく。11.調色
GEP(艶あり合成樹脂エマルジョンペイント)とAEP(合成樹脂エマルジョンペイント)を間違わないように取り扱いしながら調色をする。材料の再支給は出来ないため、色を濃く調色し過ぎた時のことを考えてベースになる白色は残しておく。
各原色を一気に混ぜるのを避け、薄い色から濃い色へ少しずつ数回に分けて色の昇りを確認しながら行いA色・B色・C色と3種類の色を作る。
12.見本板に塗る
ベニヤ板とは別の小さい見本板にテープを貼って養生後、GEP艶あり(A色・C色)は刷毛で2回塗り、AEP艶消し(B色)はローラーで1回塗りで仕上げる。13.中塗り
A色とC色を鉛筆で書いたベニヤの区画線を残すようにして、それぞれ指定部分に刷毛で1回塗る。14.上塗り
やはり区画線を残すようにして、A色とC色は刷毛で2回目の上塗りをして、B色はローラーブラシと刷毛で仕上げる。
学科が合格して実技が不合格だとしても翌年実技試験に合格すれば、一級技能士に合格できるため学科試験合格の持越しができます。
今年の2023年の学科試験の日程は、8月20日の10時からですが、都道府県によっては試験会場は実技試験と異なる場合もあるためそこは確認が必要です。こちらの中央職業能力開発協会のWEBサイトにも試験情報が詳しく乗っているため不明点があればそちらを確認してください。
一級塗装技能士の合格が年々難しくなっているのは肌で感じます。不合格になってもどの作業が良くて悪かったのか確認する術がないだけに、準備万端で挑む必要があります。技術面での難敵はケガキ線とパテと言えそうです。
無事合格ができればオプションとして有料にはなりますが技能士手帳や技能士カードも作れます。技能士カードを使用する場面は少ないかもしれませんがこちらからPDFの申し込み書類をダウンロードして申し込みできます。
ぜひ所有できるように頑張りしましょう。