陸橋下の壁面 落書きを消すための塗装工事

先日、造園屋さんからとある依頼がありました。
それは、緑道の途中にある陸橋下の壁落書きを消して欲しい…という依頼内容で、そこまで大きな範囲の塗装工事ではないため、僕一人で担当することに。

大元は役所からの依頼ということもあり、過度な金額をかけずに落書きを消したいとのご依頼でした。
いわゆる住宅の外壁塗装工事と陸橋下の外壁塗装工事では、どのような点が違うかなど、ご紹介したいと思います。

併せて観たいYouTube〔関連動画:横浜市役所塗装 市役所職員70名が本気の塗装〕

 

落書きを消す方法

 

壁の落書きを消す方法は、いろいろとあります。
壁を削って落とす方法。溶剤などを使って汚れを落とす方法。落書きの上から塗ってしまう方法などです。


壁を削る方法は、それだけ壁の強度が下がることになりますので、こうした陸橋の下などの場合は向いていないと言えるでしょう。
また、削る際には粉塵がでます。壁がある場所は緑道の一部ですので、歩行者が通るのでこの方法も向きません。

次に溶剤を使う方法は、使用する溶剤によっては強力なものもあり、刺激臭もあることから、こうした緑道での工事には向きません。
一番無難なのは、落書きの上から塗る方法です。水性の塗料を使用すれば、そこまでニオイは気になりません。
しかし、これも塗膜が薄いと下から落書きが透けてしまうため、水性塗料を使用するとしてもしっかりとした膜厚が必要となります。

今回は、担当者の方とも相談をして、費用や工程などの面から落書きの上から塗装をすることにしました。

併せて観たいYouTube〔参考動画:大きな絵を塗装で消した!〕

落書きを消すための塗装方法とは

今回塗装する壁は、日頃塗装職人が工事をしている家の外壁とは違い、そこまで美観を追求したものではないため、塗装方法がいつもとは異なります。
というのも、今回の依頼内容で一番の目的は落書きを消すことで、他の壁面との色合わせなどもせず、ひたすら落書きを消すことに特化した工事プランだからです。

塗料は、下地材にカチオンタイト、上塗りに日本ペイントの水性ケンエースを使用しました。

塗装工程は以下となります。

1 元の壁にある塗膜などを削る。(塗料の密着を良くするため)

2 洗いをし、ブラシでこすって汚れを落とす。壁に生えている植物なども撤去。

3 一通り掃除をしてから、今度は養生テープを周りに貼る。壁の下部を走っている配管などもテープを貼って養生する。


4 貼ったテープが剥がれないように、スポンジのついたローラーでもう一度接着させる。

5 カチオンタイトは、材料が元からセメント系の主材と硬化液がセットになっているため、これを混ぜ合わせて使用する。

6 端からカチオンタイトを塗る。

7 カチオンタイトの膜厚は1ミリとなっており、この段階で落書きが消えることに。その後、約1日乾燥させる。
(通常の3回塗りの塗装でできる膜厚は0.1ミリと言われているため、1ミリはそうとう分厚い膜厚となります。

8 翌日 仕上げとしてケンエースの1回目塗装。

9 翌日 前日のケンエースが乾いているのを確認し、更に2回目の塗装。

10 養生をはずす。

11 完成

以上で、今回の塗装工事が終わりました。

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ケンエースは、通常家の外壁などに使用するパーフェクトトップと作業工程の比較をすると、パーフェクトトップが【下地調整→下塗り→上塗り2回】で3回塗りとなっているのに対し、ケンエースは【下地調整→上塗り2回】となっています。
そのため、パーフェクトトップに比べると、1回工程を省くことができるのです。

さらに今回の工事は、冬場で寒波などによって氷点下の日もありましたので、塗料が乾くまで1日ほど置きましたが、夏場などは朝塗って、昼過ぎには2回目の塗りが出来る場合もあります。

塗装工事で一番大事なことはお客様が何を望んでいるかということ

塗装工事と一口に言っても、様々な方法があります。
住宅などの外壁塗装工事の場合、まずは補修工事をしっかりとやった上で塗装することが大切です。補修工事をやらずに塗装するということは、ただ傷隠しをしたに過ぎず、問題解決にはなりません。

 

さらには、補修だけではなく、今度の保護をする場合には塗装の上に保護材を塗るため、通常3回塗りにするところを4回塗り、5回塗りにする場合もあります。
しかし今回の工事はその逆で、クラックはありましたが補修はせず、落書きを消すことに専念をしました。
というのも、この陸橋は築20年以上経っており、また壁があるのも陸橋下のため湿気やすい場所だったのです。
そのため、クラックが入ってしまうことは致し方ないことなのですが、20年でこのくらいの傷みかたであれば、そこまで傷んでいない…という判断に。なので、補修は一切行わないことになりました。

このように、同じクラックが入った壁でも、美観を気にするのかどうか、そして構造として傷みやすいかどうか、さらに築年数との関係など、さまざまな観点から工事方法を決めます。
すべては、お客様が何を望まれるか…なのです。

逆に今回湿気が多い場所の壁だからこそ、水性ケンエースを選びました。ケンエースは、透湿性にすぐれた塗料ですので、湿気の多い箇所の塗装には最適です。
住宅の場合は、フッ素の塗料など、高機能な塗料を使うこともありますが、場所によって合った塗料というものがあります。外壁といって、すべて同じ工法になるわけではありません。

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今回も念入りにお打ち合わせをさせて頂き、仕上がり後、担当者様に大変喜んでいただけました。
外壁にはいろいろと種類があり、塗装職人ではその外壁や環境にあった塗装をすることが可能です。

何かお困りのことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

 

建築施工主任 家のことを何でも出来るようにと、20代の時に長野県の木造建築の親方に弟子入りして大工の道へ進む。30代の時にはキャパシティを拡げるために農業や造園業にも従事。造園業では外構工事も多く手掛け、家に関するエキスパートとして活躍。見えるところだけではなく見えないところも手を抜かずにやるのがモットー。妻と子供2人の 4人家族。

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