もくじ
今回は、塗装工事の前準備でシロアリ駆除工事をしたお話です。
シロアリに関する工事自体はまれな事例ではありますが、シロアリ被害は今でもある家のトラブルの一つです。
横浜にある今回のお客様宅は、通常のシロアリ駆除では駆除ができず、外からでは分からないシロアリの被害でしたのでご紹介したいと思います。
シロアリの気づき方
こちらのお客様がシロアリに気がついたきっかけは、和室の窓枠にポツポツと穴が開いたことでした。
和室でしたので、窓枠も木が表に出ている建て付けとなっており、シロアリの食害に気がついたのです。
これが樹脂の窓枠でしたら、まだ被害に気がつかなかったことでしょう。
もしもご自宅で、木の柱や窓枠などがあり、この写真のような穴が開いているときは、シロアリを疑ってみて下さい。
少しでも早く食害に気がつけば、手立てがあります。
また、食害が見つかった場合は、外壁側から壁一面にシロアリが広がっていることが想定されますので、すぐにシロアリ駆除工事の見積もりを取りましょう。
今回は、お客様が気になっている窓枠部分の木をほじるとどんどんほぐれるため、シロアリがいることはあきらかでした。
そこで、塗装工事のお見積もりとは別に、シロアリ工事のお見積もりも立てることに。
お客様が工事中ご在宅されていましたので、ひとつひとつ状態を確かめながら契約をし、スピードを持って工事の進行をします。
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外断熱とシロアリの関係
お客様ご決断後は、害虫駆除業者に依頼してさっそくシロアリ駆除を行います。
まずは外壁を剥がしてみると、外壁の断熱材の入れ方が外断熱であることが判明しました。
外断熱と、通常の外壁に施される断熱は工事方法が違います。
通常の断熱工事は『土台の隙間に断熱材→壁下地→防水シート→サイディング壁』の順番であるのに対して、外断熱工事は『土台→コンパネ→断熱材→壁下地→防水シート→サイディング壁』となり、工程が二つ多くなります。
工程が多くなると言うことは、それだけ壁の厚みも増すと言うことです。
この外断熱の場合、断熱材が地面に着いてしまうことがあります。
シロアリは地面からあがってくるため、外断熱の壁は注意が必要なのです。
しかも、今回の断熱材は発泡スチロールタイプのものでした。
この発泡スチロール、実はシロアリの好物の一つでもあるのです。
しかし、幸いなことに外断熱だったため、シロアリの食害は外壁部分に集中しており、内壁は壊さずすむことになりました。
ただ外壁の被害範囲は広かったので、想定よりも広範囲の壁を壊すことに…。
最初の見積もりと、工事内容が多少変化しましたのでそこはバランスを取りながら調整をして駆除を進めました。
それでは実際の工事を見ながらお話しましょう。
シロアリ駆除工事
まずは窓枠です。
外から見ても、シロアリの被害は何も分かりません。
今度は外壁を外して見てみます。
外壁をはがすと、シロアリの被害は一目瞭然でした。
当初は外側からサイディングをはがすことと、部屋側からも和室の壁の石膏ボードを外してあけてみる予定でしたが、外断熱だとわかったため、内側の壁はそのまま温存することになったのです。
そこで、主に外壁の作業を進めます。
壁をはがし、防水紙をめくると断熱材の下地が食われていることを確認しました。
そこで広範囲にわたってサイディングをはがして下地をむき出しにして準備完了です。
むき出しにした構造にボンベを使って、ガス状の薬剤を注入します。
木部にドリルで小さい穴をあけてガンを差し込み、圧力を使って薬剤の注入を。
これで木材の中まで一気に薬剤が浸透します。
そしてさらに新しく使う木材にも、シロアリを寄せ付けない液体の薬の塗布を。
シロアリは、一度駆除しても後から移動してくることもあるため、こうして駆除と同時に予防もするのです。
実はこちらのお宅は、以前にもシロアリの駆除を業者に依頼していたのだとか。
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シロアリの駆除がなぜできなかったのか
こちらのお宅では、以前にもシロアリ駆除工事をしていたのだそうです。
ところが、結局駆除ができていませんでした。
今回の駆除担当者が事前に調べたところ、ちゃんと駆除業者が工事をした跡はあったそうです。床下や外壁などに駆除剤を散布し、きちんとやるべき作業は済んでいたのだとか。
しかし、その時に外壁が外断熱だとは気づいていなかったことで、薬剤が届かずシロアリ駆除ができなかったのではないか…と言っていました。
外断熱は、建築時の図面が残っているか、もしくは実際壁を開けてみないと気がつきません。
壁の外側から見ただけでは、外断熱かどうかは分からないのです。
そして外断熱に気がつかずにシロアリ駆除の薬を壁に打ち込むと、通常より厚い壁幅と断熱材で薬が遮られシロアリに届きません。
またこうした外断熱によるシロアリの食害の場合、床下に潜ってもシロアリを見つけることも難しいのだそうです。
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今回は幸いなことに、柱の構造まで食害が進んでいなかったので、外壁面からだけの工事ですみました。
こうしたシロアリ被害に遭うと、他の場所にもシロアリがいるのではないか…家全体に広がるのではないか…とご心配になるお客様もいらっしゃいます。そうした場合には、オプションとして外壁に小さい穴を開けて薬剤を散布する…ということも可能です。
もちろん明らかに傷んでいるところのみでも工事はできますし、どこを工事するかはあくまでもお客様の選択となります。
弊社が工事として推奨できるのは、明らかに傷んでいるところのみです。
それ以外の予防案については、お客様のお考え次第となります。
薬剤の注入、コンパネの薬剤塗布が終わったら新しい断熱材の交換をして駆除作業は終了です。
さらに下地、防水紙、サイディングと重ね、最後に塗装します。
また今回、シロアリが発生したと考えられる原因の一つに、シーリングの劣化がありました。
というのも、シロアリは湿気のある木材などを食い荒らします。
シーリングが劣化したところから雨水が入り込み、雨漏りや湿気がこもることによってシロアリが好む木材や発泡スチロールの状態になるのです。
そのため、シーリング工事も丁寧に行いました。
シロアリの駆除工事は、進行を止めるために単体でも行うことはできますが、塗装工事と併せて行うと、駆除だけではなく予防することもできます。
壁をはがして駆除をするのであれば、なおさらです。
塗装工事を行う際には、一度シロアリ被害がないか確認してみると良いでしょう。
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シロアリは気がついたときが工事時
今回は、シロアリの被害で言うと上中下の中くらいの被害で済みましたが、土台などが食害にあった場合は一刻も早い対応が必要です。
建物としてどうにか均衡を保っていても、地震などがあった場合には崩れてしまう場合も。
シロアリは外からは見えないこともありますので、「あれ?なんかおかしいな」と思ったときは、信頼できる工務店や塗装業者などに相談してみるといいでしょう。
今回は、シロアリに食われた部分の木材は全て交換し補修工事が済んだことで、無事塗装工事も終了することができました。
工事的には大がかりなものとなりましたが、お客様の安心に少しでもつながればと思います。
これからも弊社では、塗装工事をお引き受けする際に、お客様の家に必要な塗装以外の工事もお引き受けいたします。
柱のポツポツと穴が空いたら、まずはご相談下さい。
無理な工事はせず、お客様のご要望に沿った工事を致します。