足場を組み工事を始めて浮き彫りになる 小さな補修箇所とは

見積時に家の外から確認するのと、足場を建ててから実際に家を間近に見て確認するのでは、見えてくる問題点は違います。
その問題点の多くは雨漏りと繋がることが多く、ここを解決しないかぎり塗装工事をしても綺麗になるだけで補修には至らないことが…。
今回は、実際足場を建てて工事を始めたところ、どのような雨漏りに繋がる問題点が見つかったのか、そしてどんな工事をしたのかをお話したいと思います。

現場調査で見えるものと見えないもの

まずは、現場調査はどのように行うのかについて、ご紹介いたしましょう。
通常は、図面をお借りした上で家の外周をぐるりと周りながら目視します。

今は労働基準法などで、高所に職人が登る際には細かな安全規定があるため、見積時に屋根上に登るということはできません。
ですので、家に上がらせて頂きベランダへ出て、ベランダの状態やベランダから覗ける範囲の屋根、そして覗けない部分は、カメラ棒などを使って屋根上の撮影をして確認をします。
そうして確認したことをベースに、必要な工事を算出するのです。

あわせて読みたい 屋根工事/屋根の調査診断

屋根塗装

しかしこれは、あくまでも表から見える事だけなので、ベースでしかなく、高い場所や屋根上、雨樋、軒天などは見ることができません。
そのため、工事がはじまってから見つかる不具合があるのです。

足場を建てて見ることができる雨樋の中

上記でもお話しましたように、足場を建てると図面と目視だけでは確認できなかった箇所が、確認できます。
これによって、雨漏りのあるお宅などは問題点を確かめることができる場合も。(家の内側に問題点がある場合もあるため、必ずではありません)
雨漏りの原因としてよくあるのが、この雨樋です。


今回外側から目視した際には、雨樋の破損などが見られませんでしたので、雨樋の交換はせず塗装のみ行う…ということになっていました。
しかし、実際足場を組んで上から覗いてみると、北側の雨樋の水が流れない状態になっていたのです。
横樋の中に水やゴミがたまり、苔まで生えていました。

しかもよくよく見ると、横樋を支えていた金具が曲がり、本来であれば縦樋にむけて傾斜がついてあるはずのところが、逆に傾いてしまっていたのです。
きっと雪などが降った際に雨樋の上に積もり、支持金具が変形してしまったのでしょう。
これでは、雨が降ってもうまく水が流れません。
そこで、お客様に状況をご説明しご相談したところ、補修工事をすることにしました。

ここで一つ、明確にしておきたいことがあります。
足場を組んでこうした不具合を見つけることは多々ありますが、不具合を塗装職人が勝手に補修して工事費用を請求するということはありません。
必ず、お客様に状況を説明し工事をするかどうかを決めて頂きます。

もちろん、お客様が工事をしないという選択をされた場合は、工事をしません。
とはいえ、たいていのお客様は補修箇所が見つかった場合は追加の工事を致します。
足場を建てるだけでもお金がかかりますし、次回修繕しようと思ったら今の時点で追加になる費用よりも高くなることは明白だからです。

しかし、お客様にも予算がありますので、工事内容については相談いたします。
あくまでもお客様の予算の中で出来ることを探して、最善を尽くすのです。

さて、本題にもどります。
今回の雨樋ですが、通常雨樋は集水升のある縦樋に向かって傾斜をつけて水を流すのですが、縦樋への落とし口が高くなってしまっているため横樋の水がうまく流れません。

まずは、ゴミや苔などを取ってゆがみが直らないか試してみましたが、水は流れませんでした。
そこで、横樋の支持金具を直すだけではなく、縦樋を少し切って長さを短くして、集積升の位置を低くすることで傾斜をつけることに。


縦樋の支持金具を緩めて、雨樋を外します。
そして雨樋を短くカットして戻し、また支持金具で固定をするのです。

こちらの写真をご覧ください。汚れのついているところから金具まで、縦樋を低くなるようにカットしました。

こうして縦樋が低くなり横樋に傾斜がついたことで、無事水は流れたのです。
雨樋の補修工事は、これで完成となります。

あわせて読みたい 過去の雨樋工事

水漏れからわかる雨漏りの異常事態とは

防犯の面格子の取り外しと補修塗装

今回見積時に確認ができなかった箇所として、面格子の取り付けてあるトイレ窓がありました。
こちらは足場を組んで分かる…というよりは、実際工事を始めて見て初めて不具合が分かった箇所となります。


なぜ、面格子を取りはずして分かったかというと、非常に取り外しにくい面格子のため細部がみえなかったからです。
面格子は、そもそも防犯用なので外しにくい構造になっており、最近ではさまざまな取り付け方法があります。

今回のものは非常に入り組んだ作りになっていたため、塗装の職人では外すことができませんでした。
そこで、大工である僕が取り外しにかかり、道具などを工夫して作ることで、なんとかはずすことができたのです。
実は、こちらの面格子のあった窓ですが、新築時にモルタルで壁を塗り込む際に、面格子が邪魔だったのか…サッシの際までモルタルを塗り込んでいない状態でした。
窓のある場所が写真でも分かるように入り隅とも言える、非常にせまく塗りにくい箇所でしたので、そうしたことも理由だったのかもしれません。

写真を見ると、サッシ枠の外側の壁に茶色の地が見えてしまっていることがお分かりになりますでしょうか?
モルタルが塗り込まれていないことによって、地が出てしまっていたのです。
これは雨漏りの大きな原因となります。
そこで、モルタルの隙間をシールで埋めて補修をすることに。

しっかりとサッシの際を埋めることができ塗装することができたので、無事雨漏りの経路を絶てました。

小さな事ではありますが、一つ一つ取り外したり確認したりすることで、雨漏りの原因を絶つことができるのです。

 

小さな工事…しかし家を守るための大切な工事

今回お話したのは、工事としては小さなものです。
雨樋の補修と、トイレのサッシの補修。
しかしどちらも、雨漏りの大きな原因となるものでした。

あわせて読みたい 過去の面格子取り外し

塗装に伴う付帯部工事 細かな気配りが工事をスムーズに

こうした細部まで行う丁寧な補修は、塗装の仕上がりは大きく変わり、小さな工事の効果は何倍にもなって仕上がりに影響します。
塗装工事や防水工事などに隠れて、工事の効果としては見えにくい部分ではありますが、こうした細部まで行き渡る補修工事がとても大切だということがお分かり頂ければ幸いです。

 

建築施工主任 家のことを何でも出来るようにと、20代の時に長野県の木造建築の親方に弟子入りして大工の道へ進む。30代の時にはキャパシティを拡げるために農業や造園業にも従事。造園業では外構工事も多く手掛け、家に関するエキスパートとして活躍。見えるところだけではなく見えないところも手を抜かずにやるのがモットー。妻と子供2人の 4人家族。

些細なことでも構いませんのでお気軽にご連絡ください

通話料無料

0120-382-361

[電話受付時間] 09:00-20:00