もくじ
お見積もりの際、足場について「もう少し安くできませんか?」とか「足場無しに工事できませんか?」というご質問をいただくことがあります。
一軒家の外壁塗装工事は、足場代だけで15万円前後の費用がかかります。
なぜそんなに費用がかかってしまうのか、疑問を持たれる方もいらっしゃいますよね。
今回の記事では、その疑問に回答させていただきます。
最初に結論をお伝えすると、「足場を組まないとかえってコストがかかるから」です。
「足場が何か」については、こちらの記事で詳しくご紹介しているので、併せてご覧ください。
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足場の無い塗装工事はかえってコスト高に
足場は、塗装工事をする際に使用します。
もちろん職人が地面に足をつけて塗装できる範囲では必要ありませんが、それ以外の箇所では必須です。
なぜなら、足場なしの塗装や足場代を安くした工事は、かえってコスト高になることがあるからです。
外壁の塗装の場合
「はしごや脚立に乗ってでは塗装できないの?」というご質問もいただきますが、これらは壁の塗装には向きません。
脚立やはしごは足元が固定されておらず不安定で、かつ横移動もできないためです。
一般的な例でいうと、みなさんも電球を替える経験があることかと思います。
足元が不安定な台座の上や背伸びしながら中電球を交換するのと、低い位置で背伸びせずに交換するのでは、どちらが早く作業を終えられるか?
もちろん背伸びせずに交換するほうが、断然早く正確に取り替えることができますよね。
塗装をする際の足場も、これと同じです。
足元が安定していれば、それだけ塗装工事も早くできるのです。
はしごを塗る場所ごとに移動させながら、塗装していたらどれだけ時間がかかるかわかりません。
職人の人工代は日ごとにかかりますので、日数がかかればかかるほど、工事費は膨らんでいきます。
そのため、早く正確に作業ができる足場を組むのが、効率的なのです。
屋根塗装の場合
たまにではありますが、屋根塗装の場合にも「はしごをかけて屋根に上って屋根塗装はできないの?」と聞かれることもあります。
これも答えは外壁と同様、「足場を組まないことでコスト高になる」です。
まず、足場なしの現場は安全が確保できず保険をかけることができませんので、万が一職人が屋根から落ちた場合はお客様負担となります。
さらに、足場を組んでいない屋根上は安全帯をかける場所がありません。
そのため職人が落ちる確率があがり、そんな危険な状況ですので塗装も慎重に施工するため日数がかかることに…。
さらにご近所とのトラブルリスクを避ける理由もあります。
そして屋根についたゴミやほこり、コケなどを除去するために、高圧洗浄をかけるのですが、それを防ぐのが足場に張り巡らすメッシュシートだからです。
美しい塗装は、安全で安定した足場から生まれます。
足元を気にせず、塗装に集中することで職人の腕が発揮されるのです。
足場代の料金内訳について
次に足場にかかる費用の内訳についてご説明します。
足場代の相場と内訳
足場代の費用は、15万円前後です。
その内訳をみてみましょう。
- 家の現場調査(採寸)代
- 部材のリース代
- (クサビ緊結式足場)組み立て、
- 解体代
- 運搬代
- 足場職人の人工代
以上です。それでは上記の項目にそって、ご説明いたします。
足場組立作業の手順
足場業者は、足場を組む前に必ず現場調査を行い、足場を組むための寸法をしっかりと測ります。
そして部材をそろえ、足場を組む当日にトラックに部材を積んで現場へやってくるのです。
足場は専門の足場職人たちが組み立てます。
塗装職人が採用している足場は、幅の広い踏み板を使う「クサビ緊結式」足場です。
ハンマーで連結部をしっかりとたたいて固定し、組み上げます。
みなさんも、近所で工事が始まると「カーーンカーーン」という音が聞こえることはありませんでしょうか。あの音が、クサビ緊結式足場を組み立てる音です。
この足場ですが、部材を積むときには下ろす時と解体のことを考えて積む必要があります。
闇雲に積んだのでは、現場でスムーズな組み立てができません。
今回撮影させていただきましたお客様のお宅は、庭に車を駐車させていただけたため部材を下ろす時間は短く済みました。
ですが、階段の上にある家や細い路地の奥にある家など、トラックで入ることができない現場もあります。
その場合、職人が少しずつ部材を担いで運びながら組み立てます。
組み立ての際は、家を傷つけないように慎重に行います。
さらに現場調査に基づきながらお客様の出入り位置を再確認して足場を組み上げ、最後に全体をメッシュシートで覆います。
このメッシュシートがあることで、高圧洗浄をした際には隣近所への水の飛び散りを最小限に抑えてくれますし、万が一職人が足場の上でよろけたとしても落ちることがありません。
なお、足場は工事を行う2~3週間リースします。
きちんと組んだ足場は、メッシュシートは、風の強い日は巻き上げられる仕様になっています。
塗装工事が終わったら、最後に足場を解体し撤去します。
この際にも足場業者がやってきて足場を解体しトラックに積むのですが、解体は組み立て以上に気を遣うのです。
塗装工事が終わってピカピカの家は、少しでも足場の部材がこすれると傷になってしまうため。
せっかく良い塗装をしても、足場業者の解体が荒くて壁を傷つけてしまっては台無しです。
だからこそ、細心の注意を払って足場を解体します。
「足場費用が安くなる」には要注意
以上足場作業の流れをご紹介しました。
これらすべてを含んだ金額が、15万円前後の内訳なのです。
もしもこの金額よりも安い足場費用の場合、上記の項目から必ずどこかの経費を落としているはずです。
家の現場調査を省いて、適当な部材でサイズの合わない足場を組んだり、足場の種類を足元が不安定な単管足場(パイプのみで組んだ足場)にしたりなど……。
前に塗装の営業で「近所の足場を持ってくるので、今なら塗装費用をお安くできます」という、うたい文句を見かけたのですが……ありえません。
なぜなら、家の形は千差万別だからです。
少しでも寸法が違えば、部材が変わりますし、ましてや高さも重さも幅もある足場をそのままの形状で移動させるなんて不可能です。
足場代無料などという業者もいるようです。
そのような手口を動画でご紹介しているので、ぜひご覧ください。
併せて観たいYouTube
足場は、家それぞれの寸法に合わせたオーダーメイドです。
足場に過剰にお金をかける必要はありませんが、適切な価格で職人の技が発揮できる足場がなによりも大切なのです。
足場の大事さについては、こちらの記事にもまとまっています。
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屋根塗装やシーリング作業も行うことでコストカットに
足場費用の効果を上げるには、外壁塗装だけではなく、同時に屋根塗装やシーリングなど行うことがおすすめです。
屋根塗装工事もシーリング工事をする際にも足場は必要なので、いちどの足場組立でご自宅全体の工事をまとめて行ってしまうのです。
一回の工事としてみるとたしかに費用はかかりますが、トータルで考えると何度も足場を組まない分、コストカットが可能となるでしょう。
塗装職人はプロの足場業者と業務提携しています
塗装職人では、信頼のおける足場業者と業務提携をしています。
たまに、足場の組み立ても塗装工事もやるという業者がありますが、足場の組み立て、塗装工事どちらも最高の技術か…といいますと、そうではないように私には見えます。
なぜなら、どちらの業者もやるとなりますと、道具や部材のそろえも中途半端になってしまうからです。
塗装屋には塗装屋の道具や部材が、足場屋には足場屋の道具や部材があり、これらのどちらも倉庫にそろえていたら広大な場所と維持コストがかかります。
そして、両方のプロの職人を抱えることも難しいでしょう。
塗装には塗装のプロの職人がいるように、足場には足場のプロの職人がいます。
おのおのが最大限の力を発揮して、分業しながら一つの現場を作り上げることこそ、トータルでプロフェッショナルな現場になるのです。
塗装のプロと足場のプロが力を合わせることで最高の塗装工事に
今回は、足場がどれだけ大事なものかご紹介しました。
外壁塗装というのは、どんなに高い値段の高級塗料を使ったとしても、不安定な足元では職人の腕は発揮できませんし、塗料の効果も半減します。
安全で安定した足場があって、屋根板金、シーリングなどさまざまな技術が掛け合わさり、初めて美しく丈夫な外壁塗装が完成するのです。
もしも、このブログを読んで足場についてわからないことがあれば、いつでも塗装職人までご連絡ください。
どんなことでも、お答えし最良のご提案をいたします。
塗装工事における足場の必要性について、少しでも伝われば幸いです。
足場の種類はこちらの動画をご覧ください。
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