もくじ
先日弊社の大工内藤のブログでも書きました、ベランダの補修工事について、本日は別角度からお話ししたいと思います。
あわせて読みたい (ベランダの補修工事についてはこちらの内藤ブログをご覧下さい)
今回のお宅はベランダが大きく、足場をベランダ内にも建てないと工事ができないお宅でした。
ただし、このベランダ内の足場というのは途中で外さないとベランダの防水工事などができなくなってしまいます。
そのため、工事の手順や専門職人に入ってもらう順番などをパズルのように組み立てなければなりません。
それでは、その詳細についてご覧下さい。
ベランダの補修工事をすることになった経緯
こちらのお客様宅のベランダは通常よりも広く、ベランダ内に足場を建てないことには、壁面の塗装や屋根のカバー工法などができない状態でした。
そこで、今回はベランダ内に先行足場を建て補修工事をすることになったのです。
さらに現場調査で、このベランダを拝見した時に気になる箇所もありました。
それは笠木のつなぎ部分です。
こちらの写真をご覧ください。
この笠木の留め方を『脳天打ち』というのですが、最近では雨に晒される箇所についてこの脳天打ちをするところはあまりありません。
というのも、雨が当たる箇所で脳天打ちをすると、ネジ穴から雨水が内部に侵入してしまうからです。
しかも、この脳天打ちしてある箇所は、笠木のつなぎ部分でもあります。
つなぎ目もまた、水の浸入が多い箇所です。
そこで、今回サイディングなどを担当しました市川職人が、「ここの腰壁のサイディングを1枚だけ剥がして中を確認し、水の浸入箇所の補修をしましょう」とご提案をさせて頂きました。
足場を組み、いよいよ工事を行う段に。まずは、気になる箇所に穴を開けてみることにしました。すると…中が真っ黒です。
これは、内部がかなり腐り広がっていることを意味します。
さらに大きく穴を開けてみたところ、腐食についてかなりの広がりが分かりました。
そこで、お客様に1枚ではなく腰壁全てのサイディングを剥がし、補修工事が必要であるとお伝えを。
こちらの腰壁ですが、現場調査で外から見ただけではこの腐食は分かりませんでした。
笠木のつなぎなどから、多少の雨水の浸入は予測していましたが、まさかこれほどとは…。
お客様にもご覧頂いたところ、すぐにご納得いただけましたので、こちらのベランダ工事も急遽追加となったのです。
内藤のブログでもご紹介しましたが、内部の腐食はベランダ内で止まっており、軒天や家の内部には侵入しておりませんでしたので、本当に幸いでした。
ここで開けていなかったら、最悪の場合はあと少しの時間で家の内部の雨漏りとなり、大工事が必要になったかもしれません。
熟練した職人の目で確かめることの大切さを感じた、現場の一コマでした。
先行足場解体の流れ
ここで先行足場解体を含めた、工事の流れをご紹介致します。
まずは全体に足場を組み、ベランダにも建地を入れ足場をたて、高圧洗浄を。
高圧洗浄をかけたら、カバー工法やベランダの補修工事などを同時に行います。
カバー工法、シーリングを行い、ベランダに建てた足場がないと塗装できない箇所の塗装工事を行い、すべて仕上げたところで、ベランダの足場だけ先に解体をするのです。
もちろん、ここの部分の足場を取り外しても他の足場の強度には影響がない建て方をしています。ですので、ここだけ取り外すことができるのです。
これが、先行足場解体となります。
解体したベランダは、FRP防水の工事などを進め、最後腰壁のサイディング張り込み、シール工事して完成です。
今回は防水層を床面だけでなく壁際に沿わせるため(これを防水層の立ち上げと言います)、防水工事してからのサイディングの張り込みとなりました。
併せて観たいYouTube 腰壁サイディングの貼り替え
先行足場の解体をするためには、高圧洗浄後の補修工事、板金工事、屋根工事、シーリング工事、塗装工事すべてを逆算しなければなりません。
一つでも間違えてしまい、塗るはずのところや補修するはずのところの工事が行えないと、足場を組み直すことになってしまいます。
そうならないためにも、職人の動きをしっかりと把握して工事を組み立てることが必要なのです。
併せて観たいYouTube ALC鉄骨造のシール作業で一級技能士の技を見る
家の塗装工事は段取りが命
今回は先行足場解体があったことで、いつもよりも複雑な段取りとなりました。
さらに施主様から玄関タイルのヒビも気になるとお話がありましたので、足場解体後に補修工事を行えればと、現在も最後までの工程を考えています。
このブログでご紹介しました、ベランダの補修工事のように、イレギュラーな工事というのは発生します。
古いベランダの笠木などは、雨漏り原因になることが多く『脳天打ち』されているネジのある笠木は特に注意が必要です。
もしも、こちらのブログをご覧になっている方のご自宅で、「もしかして…これもそうかな?」と思う箇所がありましたらご相談下さい。
今回のお宅でもそうでしたが、外から見ただけではあまり分からない箇所なのです。
壁を触ってみて「少しふかふかするかな?」と感じることはあるかもしれませんが、日頃から現場でさわっている職人であればいざしらず、一般の方では判断が難しいかと思います。
塗装職人では、工事についてお客様に無理なご提案はしません。
もちろんだからといって工事の手間を省いて安くするわけではなく、お客様の予算内でできることをご提案させて頂きます。
あわせて読みたい 高齢の方にも分かりやすく丁寧に 塗装職人の工事とは
年内のブログはこれで最後です。
今年1年も本当にありがとうございました。
また来年もみなさまにお会いできますことを、心より願っております。