今回は横浜市旭区のお客様の事例について、お話ししたいと思います。
こちらのお宅は、14年前に弊社の塗装職人が外壁塗装を行ったリピーター様のお宅でした。
そろそろ再塗装の時期が来たため、お客様にご連絡を差し上げてお話を伺ったところ、工事のご依頼の運びとなったのです。
そこで工事前に現地調査を実施したのですが、ベランダ下の軒天に雨ジミがありました。

調査の結果、この雨ジミは雨樋に流れた水が逆流して発生した雨漏りであると判明。
それらの結果を踏まえて、塗装工事だけではなく雨漏り補修工事をすることとなったのです。
今回は、そんな雨漏り補修工事と外壁塗装工事にまつわる事例をご紹介いたします。

天井や壁のシミは雨漏りのサイン
室内の天井などにできる雨ジミは多くの方が気がつきますが、ベランダ下(軒天)などは屋外にあるため、なかなか雨ジミに気がつかない箇所です。
今回のケースも、現地調査で菊池が雨ジミを発見し、その原因を突き止めました。
初回の現地調査では、奥様と一緒に現場を確認させていただいたのですが、雨ジミがあることから、ベランダに異常がないかお尋ねしたところ、「たまにベランダが水浸しになることがある」とのお答えが。
そこで、ご主人様が在宅の日にもう一度お伺いし、室内からベランダに出て確認させていただきました。
すると、案の定、排水口がホコリやゴミで詰まっている状態です。
その日もベランダに水が少し溜まっていたため、排水口のゴミを取り除いて水を流してみましたが、少量の水は流れるものの、根本的な原因は別にあることが明らかになりました。
原因は、集水桝(ます)です。

こちらの写真をご覧ください。集水桝を取り外し、雨樋と二つ並べて撮影しました。
並べてみると、集水桝の深さと雨樋の長さがほぼ同じであることがわかります。
水が流れるだけであれば、この状態でも集水桝と雨樋の隙間から水が流れ、集水桝としての役割を果たせます。

しかし、年数が経つとその下のエルボ(丸印)にゴミが溜まり、水がスムーズに排出できなくなってしまうのです。
その結果、雨樋の出口が塞がれ、集水桝の中に雨水を排出できなくなったことで、雨樋を伝って水が逆流し、ベランダが水浸しになり、さらには防水層の下に水が潜り込んでいました。
そこで、雨樋を短くカットし、ゴミやホコリが溜まりにくいようにする補修工事を行いました。
こちらの動画をご覧ください。
雨樋を切断し、集水桝の底から雨樋までの空間を確保することで、今後は多少のゴミがあっても詰まりにくい構造になりました。
簡単な工事ではありますが、その後大雨が降ってもベランダに水が溜まることなく、雨漏りも解消されたそうです。
この集水桝がなぜこのような取り付け方になったのかというと、工事の進め方に原因があります。
バルコニー排水ドレンの取り付けは防水職人が行い、集水桝の取り付けは板金職人が担当します。
集水桝の長さを考慮して雨樋の長さを調整できれば理想的ですが、防水職人と板金職人は工事のタイミングが異なるため、事前に相談することが難しいのです。
そのため、板金職人が取り付けられた雨樋の長さを見て、「このままで大丈夫だろう」と判断するか、「これでは将来水の逆流が起きるかもしれないから短くしておこう」と判断するかで、結果が大きく変わります。

ただ問題はゴミがたまるのは10年~15年以上経ってから、雨樋の状態は集水桝で隠れてしまうため、こうした問題は普段気づきにくいものです。
そのため、集水桝周辺の天井や壁に雨ジミがある場合は、信頼できる業者に調査を依頼することをおすすめいたします。

塗装職人のカバー工法
こちらのお宅では、雨漏りの補修工事と同時に外壁塗装工事を行いましたが、屋根塗装は行いません。
屋根については、5年前に別の業者でカバー工法による工事をされていたため、今回は塗装や補修は不要でした。(現地調査時に屋根も入念に確認し、問題がないことを確認済みです。)
実は弊社「塗装職人」では、カバー工法も請け負っておりますが、社名から「塗装工事のみを行う会社」と思われるお客様もいらっしゃいます。
そのため、カバー工法も対応可能だとお伝えすると、「え?そうだったの…それならお願いすればよかった」とおっしゃる方も。


弊社では、塗装工事だけでなく、カバー工法、防水工事、シーリング工事、内装リフォーム工事、さらにはシロアリ駆除など、家に関するさまざまな工事に対応可能です。
家のことでお困りのことがあれば、ぜひご相談ください。
家に関する工事のプロフェッショナルとして、職人たちが連携しながら高品質な工事をお届けいたします。
外壁塗装工事の過去と現在
今回外壁塗装と併せて、外壁全体のシーリング工事も実施しました。しかし、14年前に弊社が工事を担当した際は、シーリングは傷んでいる一部のみの打ち直しだったのです。

現在では、シーリングの部分的な打ち直し工事は一般的ではなく、全面的な打ち直しが標準的な工事方法です。
しかし、15年ほど前は外壁塗装への理解は広まっていたものの、サイディング壁の認知度は低く、シーリングをすべて打ち直すことは一般的ではありませんでした。
今では笑い話のような事例があります。
菊池が、サイディング壁のお宅にシーリングの全面打ち直しを提案したところ、「ちょっとお隣にもシーリング工事をしたか聞いてみるわ」とおっしゃったお客様がいらっしゃいました。
ところが、そのお客様が確認したお隣の家はモルタル壁のお宅だったのです。

モルタル壁は一面にモルタルを塗り込んで仕上げる外壁のため、シーリングは使用しません。
その結果、お隣が「シーリング工事はしていない」と答えたことで、お客様から「この営業の人は私を騙そうとしているのではないか」と疑われる結果になってしまったのです。
今ならインターネットで検索すれば、サイディング壁にはシーリング工事が必要だとすぐにわかりますが、当時は自宅の壁がモルタル壁なのかサイディング壁なのかもわからないお客様が多くいらっしゃいました。
こうした背景から、15年前はシーリング工事が後回しにされる傾向があったのです。
しかし、この15年間でシーリングの劣化が雨水の侵入を引き起こし、サイディング壁が水を吸収して湾曲したり、ひどい場合には雨漏りの原因になったりすることが明らかになりました。
そのため、現在ではシーリングの全面打ち直しが外壁塗装とセットで行われるのが一般的です。
今回は家全体のシーリングを打ち直すことで、塗装の効果も相乗的に高まります。
お客様に塗装工事の正確な情報と正しい工事をすることの大切さ
塗装工事は、見えない箇所や専門的な技術が多く、お客様では工事の正しさを判断するのが難しい工事です。
だからこそ、お客様が分からない部分には丁寧な説明が必要だと感じています。
今でも「塗装をすれば傷んだシーリングを覆い、補修も兼ねられる」と誤解されるお客様がいらっしゃいますが、その場合は丁寧にご説明させていただきます。
塗装工事は外壁に美しい膜を作り、保護する効果がありますが、劣化したシーリングの隙間や傷んだ外壁を塗装で塞ぐことはできません。
こうした誤解を解き、正しい塗装工事の知識を広めることも、菊池の重要な役割だと考えています。

塗装工事は、さまざまな職人がリレーのように技術をつなぎ、結集させる工事です。
お客様のお宅で起きたトラブルを補修し、家を長持ちさせるために、これからもわかりやすい説明を心がけます。
集水桝の工事も単純な作業に見えますが、状況を正しく理解していなければできない工事です。
長年の現場経験と技術を活かし、これからもお客様に役立つ提案を続けていきたいと思います。