もくじ
いよいよ、ここまで6回のブログに渡りご紹介したお客様宅の完工が近づいてきました。
ここからは、建物全体を仕上げるために様々なチェックが必要となります。
今回はそんなチェック項目と、なぜ塗装工事の仕上げには段階を踏む必要があるのか、
なぜ一気に仕上げてしまわないのかなど、工事についてお客様から頂く疑問についても解消したいと思います。
チェック項目1 建物裏の仕上がり
まずは、建物の裏にあたる部分のチェックです。
表はタイル壁でしたのでセブンSSにて仕上げましたが、裏のALC壁は全面を茶色に塗装して欲しいとオーナー様からご希望がありました。
そこで、パイプ、ドア、エアコンのホースカバーなど全て茶色に塗ることに。
通常であれば塗らない箇所も、塗装可能なところはすべて塗装しました。
こちらですが、パイプも壁も同じ色に見えますが、実は使っている塗料が違います。
鉄部は油性、外壁は水性を塗分けています。
違う材質の塗料で色を合わせますので、そこには微調整が必要になります。
一見すると、ただ全体を茶色に塗っただけに見えますが、そんな細かい調整があるのです。
チェックの際には、塗料の切り替え部分など塗り残しがないかを入念に調べます。
チェック項目2 漏水確認
次に、漏水していた箇所のチェックです。
こちらの建物では、1階の軒天部分にあたる2階へと続く鉄骨階段裏が雨漏りをしていました。
雨漏りが続いたことで、1階の軒天部分のボードが腐ってしまっていたのです。
こちらは、補修工事を保留にしていました。
なぜなら、防水工事が済んでいないからです。
防水工事をしっかりと行い、雨水の浸入を絶ち雨漏りが止まったかを確認できないと、補修工事へとすすめることはできません。
お客様によっては、「他の箇所について補修工事をしているのだから、階段裏も一気に工事をしてしまった方が、職人が来る日数も少なくなり、工事も早く終わるほうが安く上がるのではないか」と思う方もいらっしゃいますが、実はこの手順が、後の工事費を安くすることへと繋がります。
前に他のお客様からお聞きしたのですが、やはり雨漏りをしている箇所があり、他の外壁補修できていた大工の職人が、「ここも一緒に直してしまおう」と言って、まだ防水工事も終わっていないのに、補修をしてしまったことがあったそうです。
安い工事費だったため、人工代がそもそも少なく、大工としても何度も現場へ来ることを避けたかったのでしょう。
さらに大工の補修が終わったので、その後に控えていた塗装の職人も塗装工事を進めてしまったのですが、仕上げて数ヶ月後に、防水処理をしっかりと行わず仕上げてしまったことで、綺麗になった外壁に雨漏りの輪染みができてしまったのです。
そこで、2度目の補修塗装工事をすることになってしまったのだとか。
きちんと工事に費用と日数をかけ、手順を踏んでいれば2度の工事をする必要もなく、それだけ追加工事の費用も抑えられたでしょう。
他にも、たまにご依頼頂く際に驚くことがあります。
雨漏りをしてしまったお宅で、補修工事を依頼する際に、内装と外装の工事を別の会社に依頼する方がいらっしゃるのです。
もちろん、外装が終わってから内装工事をお願いしているのであれば、そこまで問題は起こらないのですが、内装を先に頼んでしまって、その後に外装工事をお願いする方が……。
この場合、先ほど紹介した雨漏り事例と同じように、防水処理がされていないにも関わらず内装から始めてしまっていますので、結局また雨漏りの染みが家の内壁に出てきます。
それだけ、工事をする順番というのは大切なのです。
今回僕が担当させて頂いておりますお客様宅も、そうした手順をしっかりと踏むべき雨漏りでしたので、階段と屋上の防水工事が終了後に、階段下にあたる天井裏の補修を仕上げ、その後塗装工事となります。
もしも工程について疑問がある場合、弊社の営業にご質問下さい。
そうすれば、なぜこの工程が一旦保留になっているのか、そしてなぜ再度職人が現場に来る必要があるのかなどご説明致します。
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チェック項目3 セブンSSの仕上がり確認
今度は建物1階の表部分、タイルに使用したセブンSSの仕上がり具合について調べます。
セブンSSは、とにかく膜厚がしっかりと壁表面を覆っていることが大切です。
ですので、塗り残しはないか、膜厚はしっかりとあるかなどを確認します。
実はこのセブンSS、塗り方が一つではありません。
今回のお客様宅で行ったようなゆず肌塗りという、ウールローラーを使って、表面をデコボコさせて厚みを作る場合もありますし、細目のマスチックローラーを使って、2回塗りではなく3回塗りをして膜厚を作る場合があります。
どちらも、ゴールとしては膜厚をしっかりと作ることではあるのですが、仕上がりの見た目や費用が違います。
ですので、セブンSSを使用する際にはきちんと塗り方を理解しないと、チェック方法も変わってくるのです。
現場に最初から立ち会うことで、塗り方を理解したチェックが可能となります。
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チェック項目4 サイディングの確認
4番目は、サイディングの確認です。
実は、今回白いボードをすべてウッド調のものに貼り替えました。
何度もお客様にチェックをして頂いたのですが、ここで問題になるのが色の面積効果です。
色というのは、同じ色であっても大きな場所に塗った場合、色味がワントーン明るく見えるのです。
今回は色決めの際に直接見て頂くことができず、サンプルだけのやりとりになってしまったため、少しお客様とのイメージに差が出てしまいました。
そのため仕上がりチェック後に、さらに塗装する話しもでました。(後にご了承)
こうした仕上がり後のイメージすりあわせも、本当に大切なことなのです。
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チェック項目5 2階部分の仕上がり
5番目にチェックするのは、2階住居部分の仕上がりです。
ここも足場を解体する前に、雨漏りしていた箇所の検査も含めて行います。
補修箇所や、雨漏り部分など、しっかりと問題のある部分をあぶり出すためにも経過観察を行うのです。
工事をしてから少し時間を置くことで、きちんと対応が出来ているか確認を進めチェックをします。
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チェック項目6 店舗前確認
最後に店舗前の確認です。
今回の塗装工事では、1階部分に入っているテナント様に非常にご協力頂きました。
足場を建てるために駐車場を前方向にずらしてもらったり、足場を覆うために店舗が隠れるほどのメッシュシートを貼らせて頂いたりなど。
もちろん少しでも営業中なことが分かるように、メッシュシートに「営業中」という垂れ幕もつけましたが、それでもご不便をおかけしたと思います。
テナントのみなさまに柔軟に対応して頂いたことで、スムーズに工事をすることが出来ました。
こちらの店舗前のチェックは、汚れや工事の見落としなどがあるとさらに店舗の営業に迷惑がかかりますので、入念に行います。
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足場解体前にチェックすることの大切さ
塗装職人では、工事の内容だけではなく工事期間中や、工事終了間際にもチェックを行い、その上で完工チェックを丁寧に行います。
何度もチェックすることで、補修箇所が直っているかどうかの経過観察も出来ますし、工事の手順など、それぞれの工事箇所についてベストな時期もきちんと見ることができるのです。
現場を見ていると、歯抜けのような形で工事が進行していくため、不安になるお客様もいらっしゃるでしょう。
しかし、この歯抜けの状態こそ、一つずつ状態を確認しながら確実な工事を進めている証拠なのです。
完工後、長く家を持たせるために。
これからも、入念に確かなチェックを行いたいと思います。