もくじ
僕のブログで長らく紹介していたお客様宅ですが、ついにすべての工事が終了いたしました。
外壁のトラブル、近隣とのトラブルなど、本当にさまざまな難所があった工事でしたが、工事後にはクチコミも頂き、すべて良い形で終えられたのではないかと思います。
あわせて読みたい 工事のはじまり
最後の完工検査、足場解体、掃除にいたるまで気を配り、対応も徹底しましたので、どうぞご覧ください。
営業として何度も現場に行く理由
完工検査などのお話をする前に、まずは僕が現場に何度もいく理由についてお話ししたいと思います。
僕が現場にいくのは、自分が見積書に書いた工事の内容がきちんと進行されているかどうかを確認するためです。
このように書くと当たり前のことのように思えますが、一般的な塗装業者では営業が何度も現場に顔だすことはほぼありません。
ほとんどの場合は、塗装業者の営業が見積りを作り、お客様と契約を結んで職人へ工程を伝え、営業の役目はそこで終わります。
すると、お客様と工事の内容を話したはずの営業がいなくなってしまうため、うまく作業内容やオーダーが現場に伝達されていないと、おおまかには合っているけど細部まで行き届かない工事となるのです。
しかしこれは、仕方のないことと言えます。
なぜなら、塗装業者で営業をしているほとんどの人は、実際の工事について分からないからです。そのため現場に来たとしても、何も対応ができません。
僕の場合はもとが職人ですので、工事のことも把握して途中のチェックもできますし、職人たちにどのように内容を伝えれば、自分が思い描いた工事の完成につながるかというのが分かります。
そして工事が分かるからこそ、メーカーを超えた組み合わせで塗料のご提案も可能です。
家というのは、塗料メーカーが推奨するままのかけ合わせて塗装をすればいいかというと、そうではありません。
外壁の状態によっては、メーカーが推奨する塗り重ね方法では塗装ができない場合も。そうなると、違う塗料と塗料をかけ合わせて塗装工事をすることになります。
家を建ててから10年余り経った外壁は、だいたいがトラブルを抱えているものです。
そのトラブルをどうにか抑え込むために、僕は調剤師のように様々な塗料や工法を織り交ぜて調合し、見積りを作り、工事へとつなげます。
塗料の複雑なかけ合わせは、必然的に内容が細かくなるため、職人たちへの伝達も重要に。
それゆえ僕は、現場の工事が見積書や工程とずれることがないように、要所で顔を出すのです。
綿密な計画していてもトラブルが起こってしまう時
こちらのお客様宅も、家の状態や環境を考えて僕が作りあげた見積書と工程だったのですが、工事内容や進行が複雑でした。
家の状態や近隣の方との長年にわたるボタンの掛け違い、そして建築面積の問題。
そうした問題が絡み合って、非常に対応が難しい現場だったのです。
今回もいつも通り現場に顔を出し、細部までいろいろと気を配って工事を進めましたが、途中一度だけ掃除中にミスがあり、お隣の方からお叱りをうけることがありました。
お隣の方は、前回他の業者の工事で「勝手に敷地に入られる」「ゴミを敷地に落とされる」など、非常に嫌な思いをされたことがあったそうです。
そのため、施主様と一緒にご挨拶に伺うと、「またお隣の工事で嫌な思いをするのではないか」とナーバスになっていらっしゃいました。
ですので、お隣との境界地で足場を建てる際に敷地へ侵入しないこと、そしてゴミなどが隣の敷地へ落ちないようにすることなど。これらに細心の注意を払うため、職人と情報の共有を徹底したのです。
しかし、ここで予想外なことが起こりました。
工事中にお客様宅前の道路に落下した軽いゴミが、風で吹き飛ばされて袋小路になっているお隣の敷地前の道路に転がっていってしまったのです。
掃除の際、お隣との境界周辺までは目を配っていた職人も、さすがに少し離れた場所には目が届きませんでした。
あと2メートル。2メートル先に目を配っていれば、このミスは避けられたでしょう。
お隣の方からの苦情電話を社長が受け、他の現場にいた僕に即連絡をくれました。僕は掃除道具を手に取りすぐさま現場へ。
対応はとったものの、僕の地理的状況の認識不足から起こったミスだったので、本当に今でも悔やまれます。
悔やまれるからこそ、二度と同じようなミスを起こさないためにその後は気配りを徹底をしました。
ここまで、営業である僕が何度も現場にいく理由や他の業者との違い、ミスへの対応についてご説明いたしました。
ここからは、今回の工事で起こったミスに対応した後、さらにそれをリカバリーするためにどのような対応をしたのか、完工検査など工事の仕上げ工程と併せてご紹介したいと思います。
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完工検査
まずは完工検査についてです。
完工検査は、施工計画を立てた僕が行います。
最初に工事の計画を立てて、要所で工事の進行を確認し、最後に予定通りの仕上がりになっているか確認を。
こうすることで、最初にお客様とお約束した工事がすべて行われているかすべてチェックができます。
もちろん、オーダー通りにできていないところがあれば職人に伝え、修正を。
僕の完工検査では、後日お客様に写真帖をお渡しします。
足場がないと見ることができない箇所をすべて撮影して、お客様にご報告するためです。
また足場のどの段に上ったかなど、証拠写真も撮ります。
僕は、自分が登った証として必ず靴の一部や手の一部なども写真におさめ、自分が責任を持って完工検査を行ったことを証明するのです。
さらに工事の肝となる、屋根の縁切りや、塗装した壁の上に触れた足場のジャッキ部分など。これらもしっかりと写真に収めます。
この写真は、実際に写真帖に載せたものです。ジャッキ部分にクッション材をしっかりと入れていること、塗り上げた壁に傷をつけていないことなどがお分かりいただけると思います。
屋根の軒裏の写真です。軒と外壁の接続部分も、きっちりと塗り分けされています。
完工検査では、こうしたお客様の目に届かないところほど、チェックをして撮影することが大切です。
足場の解体工事
足場を使った完工検査が終わったら、次は足場の解体です。こうした作業中の様子も撮影します。
足場の解体は、お客様がいないときにする場合もありますので、解体時に踏み板などを塗り上げた壁に立てかけたりしていないかなど、撮影を。
フェンスも曲がっていないか、傷がついていないかの確認をします。
足場を解体する際に、間違えて足をかけてしまって曲がってしまうことがまれにあるので、足場解体後はチェックが必要です。
今回はこの写真でも分かるように、非常に狭い境界地でした。ですのでフェンスを踏まないように緩衝材などを使って、フェンスの保護を。そのおかげで、緩衝材を外した後も傷ひとつなく仕上がりました。
電線と家の状態がわかる写真も撮ります。
足場を電線にひっかけていないか、工事を始める前と終わった後に必要な写真です。
細部まで写真に納め、隅々までチェックをしたら工事は終了です。
併せて観たいYouTube 足場の設置から解体までを5分で紹介
仕上げの掃除
完工検査、足場解体が終わりましたら、最後に掃除をします。
今回の掃除には一層の注意をはらいました。
範囲を広げて掃除をし、さらに風などでお隣の敷地に入ったゴミは、マジックハンドで取ります。
こうすることによって、お客様やお隣の方との約束を守り、お隣の方の敷地に侵入することなくしっかりと掃除することができました。
工事のすみずみまで気を配るために
今回は、本当にいろいろなトラブルが起こった工事でしたが、この職人チームでよかったと思います。
この職人チームだったからこそ、事態を収拾して最後にはお客様に褒めて頂けるほどの仕上がりとなったのです。
そして、もう一つ良かったことがあります。
それは、お客様がきちんと工事費用をかけて下さったことです。そのおかげで、僕も職人も納得いくまで動くことができました。
見積りを安くしようとした際に、一番に値段を削るのが人件費です。
人件費を削るということは、人数が少なくなる分最低限の動きしかできなくなります。
僕たちは、どんなに気を配ろうとしても、頂いたお金の範囲の中で管理することしかできません。
今回、職人たちにも丁寧に細かく動いてもらえたのは、しっかりとその動き分のお金が支払われていたからです。
工事の中には、そこまで大きなトラブルもなく順調に進むものもありますが、多くの現場はトラブルを抱えています。
今僕が担当する現場も、トラブルがない現場はほぼありません。
だからこそ、対応するための力量と費用が必要となるのです。
弊社は他の塗装会社に比べると、多少高めの工事費用がかかります。
しかし、その費用はただやみくもに値段が高いというわけではなく、それぞれの工程に応じてきちんと算出されている値段です。
綿密な工事計画や職人の技術、現場経験、そしてトラブルへの対応力など、すべて含まれています。
今回のお客様は、お隣の方と四半世紀にわたる様々なやり取りがありましたが、今回の工事をきっかけに一緒に食事に行かれるまでに関係の改善があったそうです。
最後にお客様を笑顔にできる対応こそ、正しいトラブル対応とリカバリーだと僕は思います。
併せて観たいYouTube 松尾が過去に担当した現場
これからも、最後の最後まで手を抜かない。お客様にきちんとご説明ができる工事をしたいと思います。
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お役に立てましたら幸いです。