見積り担当の菊池です。
前回の雨漏りの補修工事の重要性についてお話しましたブログで、少しパミール屋根のことに触れたのですが、今回はそのパミール屋根についてお話したいと思います。
こちらのお宅では、外壁塗装と屋根のカバー工法、そして雨漏り補修を徹底的に行わせて頂きました。
屋根工事に関する詳しいページはこちらをご覧ください。
なぜ今回屋根塗装ではなくカバー工法だったかというと、それは屋根材がパミールゆえにズタズタな状態だったからです。
では、そもそもパミールとはいったいどんな屋根材なのでしょうか。
パミールが発売されたきっかけ
パミールは、アスベストが建材として使用禁止になったために誕生した屋根材でした。
アスベストが、建材としてほぼ禁止になったのが、2004年。その以前から各メーカーでは、ノンアスベストの屋根材が研究開発されていました。
そんなノンアスベストの屋根材として、ニチハから出たのが「パミール」だったのです。
「パミール」は1996年から2008年までニチハより製造され、屋根の種類としてはスレート屋根となります。
アスベストが禁止となる数年前から、多くの戸建てで屋根材として使われてきましたが、現在では販売されていません。
最初は誰もがパミールの症状に驚いた
菊池が最初にパミール屋根に遭遇した時のことは、今でも鮮明に覚えています。
屋根塗装をする際に、必ず下地調整として屋根の高圧洗浄を行うのですが、弊社の職人がいつも通りに高圧洗浄したところ、屋根がボロボロになってしまったのです。
職人は「これ以上水洗いができない」と報告があり見に行ったところ、本当にひどい状況でした。
菊池としても、当時はまだそうしたパミール屋根の例を聞いたことがなかったので、かなり狼狽はしたのですが、お客様に状況をありのままご報告し、お客様宅を担当されましたハウスメーカーへも相談しました。
ハウスメーカーも、某大手のしっかりとしたメーカーだったのですが、屋根の状況に驚いていらっしゃいました。
その後メーカーも迅速に動いて下さり、「どうもこのパミールは高圧洗浄も屋根塗装も難しいのではないか」という結論に行きついたのです。
そこで、ニチハに現状を報告して、屋根材を保証してもらい工事費はお客様に出して頂くということに落ち着きました。
パミール屋根の症状とは
パミールは、劣化すると一枚だったスレートが何層にも分かれ、それぞれの層が薄くなるため、割れやすくなります。
例えて言うのであれば、ケーキのミルフィーユのような状態になってしまうのです。
これは塗装職人の代表・曽根が、パミール屋根を初めて見た際にいった言葉なのですが、非常にパミール屋根を上手く言い表していると思います。
パミール屋根は、職人が屋根上を少し歩いただけで、屋根材がどんどん割れてしまうため、屋根塗装が難しく、この症状が出てしまうと屋根の葺き替えをするか、カバー工法をするかしか方法がなくなってしまうのです。
【参照動画】パミール屋根のもろさがわかります。
パミール屋根を補修するなら屋根のカバー工法がおすすめ
今回のお客様も、屋根にパミール特有の症状が出ていましたので、カバー工法という現在の屋根の上から新しい屋根材で覆う方法を取らせて頂くことにしました。
屋根の葺き替えですと、屋根材を全部外し、防水シート、野地板と呼ばれるベニヤ板を補修して全取り換えとなりますので、かなりの金額がかかりますが、カバー工法の場合は現在ある屋根の上から張り込むので、屋根材を剥がす手間もないため葺き替えほどの金額はかかりません。
もちろん、屋根の状態によってはカバー工法ができない場合もあるので、一概には言えませんが、パミール屋根のお客様ですとカバー工法を選ばれる方が多いように思います。
とはいえ、パミール屋根の中には3~4年でズタズタになってしまう家と、10年たって「もしかしてパミール?」くらいの症状のものがあり、パミールだからといって必ずカバー工法なわけではないのが難しいところです。
中には、そこまでひどいことにはならず屋根塗装が可能な方もいらっしゃいます。パミールの場合、塗装補償(塗装職人では通常の塗装でしたら、塗装4後年間の塗装補償をつけています)はつきませんが、状態によっては塗装が可能となるのです。
【参照動画】雨風に心配しない屋根リフォーム
今、パミール屋根を施工した家が塗装時期を迎えている
現在パミールが最後に製造されてからちょうど10年弱が経ち、当時パミール屋根を葺いた家々が塗装時期を迎えています。
もしも下から屋根が見えるようでしたら、是非一度見上げてみて下さい。
屋根板が何層にも分かれていたら、その屋根材はパミールかもしれません。
上述したようなパミールの症状があらわれていたら、一度信頼のおける塗装店に相談してみることをおすすめ致します。
もちろん、パミールでも症状がでないものもあります。だからこそ、きちんとしたプロの判断が必要なのです。
お客様の中には、「自分で屋根の塗装を」と考える方もいらっしゃいます。
パミールの場合理論上は、自分で割れている箇所の屋根を削って、洗浄し塗装することができればやれないことはないのですが、ちょっとしたことで屋根が割れて行くので、塗装している最中に、屋根の割れと補修のイタチごっことなり、嫌になってしまうでしょう。
以前、「屋根材が悪いから、補修だけしてあとは屋根を塗装してほしい」とおっしゃるお客様がいらして、いろいろご説明させて頂いた上で、出来るだけ対応したこともありました。でも結局はプロの板金屋が屋根材の差し替えをしているそばから、屋根材が割れてしまい…補修を断念したことも。
症状が出てしまったパミールの場合は、どんなに達人級の職人であっても補修が難しいのです。
屋根材がもろくなってしまうのはパミールだけではない
ここまでパミールについてお話しましたが、なにも数年でこのミルフィーユ症状がでる屋根材はパミールだけではありません。他にもコロニアルネオなど、パミールと似た症状がでる屋根材はあります。
だからこそ、少しでも異変を感じたらご相談を頂きたいです。
「パミールじゃないから大丈夫」と思っていたことで、屋根の状態が悪化し、余分な費用がかかることも……。
屋根材を徹底的に調べ、原因をはっきりさせれば症状をより早く補修することができます。
今回の塗装工事をさせて頂いたお客様も、雨漏りなどのトラブルからご相談を頂いたからこそ、屋根材がパミールであることも分かりました。
お客様に寄り添う塗装職人だからできる外壁・屋根のケア
家はきちんとしたケアをすれば、不具合が起きたとしても長く付き合っていくことができます。
パミール屋根は、もともとこの症状が出ることが分っていて作られた屋根材ではありません。あくまでもノンアスベストとして作られた、屋根材でした。だからこそ、多くのハウスメーカーが使用し、今も様々な家の屋根にパミール屋根が使用されています。
下のブログ記事でもあるように、建売などでは同じ建築会社が立てているためパミール屋根だらけの住宅地も時々見かけたりもします。
いろいろ欠点のあるノンアスべストの屋根材ではありますが、ケアすることはできます。
もしもこのブログを読んでご自宅の屋根で気になるところがありましたら、いつでも塗装職人にご相談下さい。
パミール屋根のさまざまな施工経験から、お客様に最適な方法でご対応させて頂きます。