毎年何軒かはあるのですが、昨年も12月に工事を始めて1月まで工事をする、いわゆる『年越し工事』がありましたので、ご紹介いたします。
普段でも月をまたぐ工事というのはあるのですが、年末だけは通常の月またぎと違い、長期休暇を挟むため、さまざまな配慮が必要です。

「休みの間の足場はどうするのだろう」と気になるお客様もいらっしゃるでしょう。
そんな年越しをする現場についてご説明しますので、ぜひご覧ください。
年越し工事、きっかけは雨漏り工事のご依頼
今回のお客様は、当初1月からの工事開始予定でした。
南側のサイディング壁がひどく傷んでいたため、ご相談下さったのです。
お客様は外壁の傷み具合から、サイディングの張り替えを予想されていたのですが、菊池が現場に伺ったところ見た目ほど傷んではおらず、シール補修と塗装で大丈夫そうだと思いました。
ダブルチェックで市川職人にも確認してもらったところ、同意見だったのです。

そこで、見積書はシール補修+塗装のものと、サイディングボード一部張り替えタイプのもので出し、今回はシール補修と塗装で行うことになりました。
ところが、見積も了承を得て、年明けの工事に向けて色決めなどやり取りをしていたところ、お客様から「雨漏りを発見したから1回来てほしい」と連絡が……。
急いで現場に伺うと、確かにおっしゃる通り雨染みが出てきています。
するとお客様から「このままの状態でお正月を迎えるのは不安なので、雨漏りの工事だけ年内にお願いできないか」とご相談がありました。
そこで、年内に足場を建て、高圧洗浄、雨漏りの補修工事までを済ませて、年明けから塗装工事することをご提案させて頂いたのです。
この方法ですと、雨漏り工事もでき、足場も有効に使えるので余分な費用はかかりません。
デメリットを上げるとしたら、足場を建てたまま新年を迎えなければならない…という点です。
足場を建てた状態で年越しすることを、あまり良く思わないお客様もいらっしゃるため、慎重にご相談しました。
お客様からは、「気にしないので大丈夫ですよ」と快諾を頂き、12月からの工事となったのです。

年明けはお客様の都合で6日より工事が開始となり、塗装の職人も早々から動ける人がいたため、すべて丸く収まりました。
年を越す現場となりましたが、お客様の不安も解消でき、工事の進行もスムーズに行き、営業としてうまく収められたと思います。
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年越し工事で気になること
年越し工事で気になるのは、なんといっても足場の安全性や工具などのことでしょう。
足場は、休みに入るからと言って簡単に解体することはできません。
足場を建てるためにも、撤去するためにも、必ず足場屋さんの技術と費用が必要となり、1日がかりで作業を行います。ですので、一度建てたら工事が終わるまで撤去しないのがほとんどです。
そのため、長期休みなどを挟む場合には足場に対策を施す必要が出てきます。

もともと足場には塗料の飛散防止や職人の落下防止のために、メッシュシートをかけており、通常は家全体がメッシュシートに覆われている状態です。
このメッシュシートは、幕のようになっているので風の抵抗を受けやすくなります。そのため、長期で現場を開ける際にはすべて巻き上げてパイプに括り付けをするのです。
そうすることで、風の抵抗は弱まり足場が倒壊する危険を回避できます。
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また工事で使用する道具や材料ですが、こちらはすべて職人が年末最後の工事で持ち帰り、道具を現場に放置することはしません。
そもそも塗装工事は、塗装、シール、板金、防水などでそれぞれ担当する職人が違います。
そのため、現場ごとに各職人が道具や材料を持って帰り、現場で混乱が起こらないようにするのが常識なのです。
脚立なども、それぞれの職人が所持しているため、現場に置きっぱなしにすることはありません。
弊社の職人はチームで動いているため、たまにちょっとした道具の貸し借りはありますが、それでも貸し借りは珍しいことです。
プロの職人だからこそ、それぞれ自分の使いやすい道具や材料があります。
このような理由から、工事現場が年をまたぐとしても、材料や道具が現場に置きっぱなしになるということはないのです。
雨漏り原因を探す高圧洗浄
こちらのお客様宅ですが、取り急ぎ雨漏りの補修工事をするために、足場を建て高圧洗浄することになりました。
疑いのある箇所に、弱圧で水をかけ雨漏りすることを確認します。

雨染みの出ている箇所からたどり、原因と思われる箇所を探っていたのですが、高圧洗浄してみると、水漏れを確認できました。
確認箇所をシールで塞いでもらい、お客様は雨漏り補修ができたことで、ホッとしていらっしゃいました。
塗装工事の段取りの難しさ
今回、こうして雨漏り補修を先に工事する必要がでたことで、高圧洗浄の段取りに変更がありました。
そのため、他の段取りも調整する必要がでたのです。

塗装工事というのは、今回のようなイレギュラーがよくあるため、非常に段取りが難しいものです。
だからこそ、普段から職人たちとは連絡を取り、今回の工事のようにうまく段取りできるように、備えることが必要となります。
お客様に心地よく工事をして頂けるように
塗装職人では、工事をする際にもマナーや現場への気遣いを忘れません。
工事をする前のご近所への挨拶や、お客様と職人のコミュニケーション、工事日報のご報告、そして道具の管理や掃除など。塗装職人では、あたりまえのことです。
今回のお客様からご依頼がありました雨漏り工事についても、お客様の気持ちに寄り添えたことで、よい結果になったと思います。
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細やかな心配りができる工事が、塗装職人の工事です。
これからも、お客様が良い気持ちで工事ができるように配慮していきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。