一級塗装技能士が解説!見た目の鮮やかさだけではわからない、本当に家を守る外壁塗装とは?

年末からのお休みは、ずっと家にいました。いつもは現場に出ずっぱりですので、外出の制限を守れるときはできるだけ徹底したいなと。

今年も昨年に引き続き仕事の中身にこだわって、工事に、そしてお客さまに向き合って参りたいと思います。

 

二つの外壁塗装から分かる塗装の見た目と内容の事実

新年最初にお話しするのは、まさにそんな中身のお話です。

まずはこの二つの外壁を見比べてください。

 

どちらがしっかりとした塗装に見えますか?

写真では、少々分かりにくいかもしれませんが、青い壁はコインランドリーの外壁で、白のレンガ壁はカルチャーセンターの外壁です。

白い壁のシーリングにはヒビのようなものがあり、青い壁のほうが鮮やかさや艶やかさがあって美しく見えます。

 

それもそのはず、青い壁は塗装して1年そこそこ、白い壁は施工して4年ほど経っています。

一見きれいに仕上がった塗装。でも実際には、外見と中身のクオリティが同じではないのです。

 

美しく仕上がっている外壁塗装。その実態は…

ではまず、青い外壁のコインランドリーから見ていきたいと思います。

 

ぱっと見非常にきれいな外壁ですが、よく見てください。

まだ施工して1年だというのに、地面に接している部分から塗装がはげてきています。

すでに一番下部分は、下地が見えている状態です。

またよくよく見ると、塗装が内側からぷっくりと膨らんでいる箇所もあります。

これは「蓄熱発砲」といって、下地処理の時に水分などが残ってしまい、その水分が熱を持ち空気となって塗膜を持ち上げているのです。

 

予想するに、十分な下地調整をしなかったことが原因かもしれません。

蓄熱発砲があると、中の気泡がはじけて塗膜が避けてしまう「爆裂」という現象が発生してしまう懸念もあります。

すると丸裸になった外壁から雨がしみ込み、雨漏りの原因となる場合すらあるのです。

蓄熱発砲は、下地処理の段階できっちりと備えれば発生する可能性を減らせます。

ただ、そのためには手間賃と材料費が増えるため、少しでも値引きを要望すると業者や施主さんが敬遠してしまい、このような事態になるのです。

蓄熱発砲が起きてしまった後にできる対処としては、気泡ができた箇所をつぶして下地を塗り込み塗装するしかありません。

ただしこの蓄熱発砲は、一度起こってしまうとモグラたたきのような状態となり、次から次へと気泡がいたるところに上がってきます。

この状態になったら最後、完全に補修することは不可能なのです。

外観がきれいに見えるからといって、完璧な塗装とは言えない…見本のような外壁塗装でした。

 

ガソリンスタンドの防水幕に見かけた気泡について書いた記事があります。

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デコボコした仕上がりのシーリング これって大丈夫?

では次にカルチャーセンターの外壁塗装です。

こちらは、県or市のもとに施工した建物のため、予算をしっかりと取った上で工事をしています。

 

カルチャーセンターの正面は非常にきれいに施工してあるのですが、道路側から見ると、ところどころあまり美しいとはいえない仕上がりになっていました。

こちらの壁では、シーリングに注目して見てください。

この建物では、2液タイプのシーリングを使用しています。

A液のあとに硬化剤であるB液をいれて、施工現場で専用の撹拌機を使用して練ります。

そして、A液とB液が混ざったものを目地とよばれる壁と壁の間に打ち込んでいくのです。

こうした官営のセンターなどの工事では、必ず使ったシーリング材や塗料の量を提示しなければなりません。

きちんと現場で調節することなく、しっかりとした量を使ったのか確認するためです。

 

そのため、材料をケチった工事をすることはほとんどないので、きっちりと仕上がっています。

でも、水抜き穴のパイプ(水道の蛇口のような形のパイプ)の下あたりを見ると、すこしシーリングがガタガタしているのがわかりますでしょうか。

シーリングはヘラで押さえながら充填するのですが、その際にパイプのところで力が入ってしまいこのような仕上がりになってしまったのでしょう。

正直いって、あまりよい仕上がりとはいえませんが、施工状態には問題はないので許容範囲です。

またシーリングの返し部分も、見た目の問題があります。

高い部分にあるので上にかえしてあることで正解ではあるのですが、返しが荒いため最初はあまり目立たなかった返し部分が、年数がたち汚れが付着したことで目立ってきています。

 

本来シーリングは、豆腐のように表面はつるんと平面に仕上げるのがベストなのですが、状態としてはしっかり施工してあるのでこれも許容範囲です。

全体的に、仕上がりが美しくない箇所があるものの、内容は非常にきっちりと仕事がしてありました。

汚い仕上がりではありますが必要な機能は果たしているという意味で、非常によい施工ではあるのです(違う意見もあると思いますが・・・)。

 

あなたが選ぶならどちらの施工業者を選びますか?

さて、二つの施工事例をご覧いただきましたが、もしもこの二つの事例を見て内容を知らないままに施工会社を選んでいたら、どちらを選びますか?

仕上がりのきれいな青い壁を施工した業者を、選んでしまわないでしょうか。

コストを落として、美しく仕上がった青い外壁を施工した業者をつい選んでしまいそうになります。

ですが、外壁の状態を把握し水抜き穴を作り、しっかりと塗装やシーリングを施している業者を選んだ方が、将来的には工事費用が安価になると思います。

なぜなら蓄熱発砲で発生した気泡をつぶすような、手間と工費を抑えたために起きてしまう不具合のための修復工事を、何度もする必要がないからです。

どんなに美しい外壁塗装だとしても、たった1年ではがれてしまう外壁塗装ではその先10年家を守ることはできません。

 

正しく、適切な工事は、家を守ります。

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仕上がりが汚くても、改修工事として失敗とはいえない

ここまで塗装の仕上がりと塗装工事の内容は、必ずしもイコールではないとお話しました。

今回紹介したカルチャーセンターの外壁は、多少職人の腕による結果でしたが、家の状態によっては補修などを優先することで、あえて美しい仕上がりを二の次にする場合があります。

例えば、クラックの入ってしまった外壁です。クラックの補修は、しっかりとやればやるほど汚い仕上がりになります。

クラックの補修(参考画像)

 

逆にクラックの補修を美しく仕上げた場合、間違いなく数年後には同じようなクラックが塗装の下から浮かび上がってきて再度工事をするはめになるでしょう。

このように改修工事には、『必要悪』というものがあります。

家を補修するためには、どうしても美しさよりも補強を優先させなければならない事があるのです。

 

最後に物を言うのは一級塗装技能士の裁量による判断

では塗装工事時の「必要悪」を判断するためには、いったいどうしたらいいのでしょう。

答えは、一級塗装技能士の技量と経験です。

最後まで美しさにこだわりながらも、ギリギリのラインで家の補修を優先する。

そうした確かな技術に裏打ちされた、経験が必要なのです。

たとえば料理も同じです。レシピの通りに調理すれば、一見おいしそうなものは誰にでも作れるかもしれません。

しかしながらプロの料理人は、深みのある味付け方法や高度な調理技法を知っているうえに、材料の状態や気候など状況に合わせて調理をするのでしょう。

だからこそ私たちには作れない、圧倒的においしくて幸せを感じるような特別な料理を提供してくれているはず。

外壁塗装もこれと同じです。現場で培った一級塗装技能士の技量と経験が無ければ、その建物に最適な施工はできないのです。

外壁塗装をするのは、どのお宅も築年数10年以上の家屋です。人間と同じで、年数を重ねた家は必ずどこかにガタがきています。

そうした補修箇所を補強し、塗装をする。

だからこそ、名医である一級塗装技能士が必要なのです。

 

塗装職人の一級塗装技能士は人柄も重視

今、いろいろな塗装会社のホームページなどで、一級塗装技能士が在籍することを謳っています。

でも僕がいう一級塗装技能士は、資格だけがあればいいという意味ではありません。

さまざまな条件の現場で判断するために、技量、裁量、そして人柄が必要なのです。

ちゃんとした話をして、ちゃんとした対応をし、お客さまにその工程を納得していただく。

内容のある工事だからこそ、説明はなによりも大切といえます。

業者選びの際に大事なのは、その業者に現場への柔軟な対応力があるかどうかです。

 

弊社には、リピーターとしてご依頼くださるお客様が多くいらっしゃいます。

お客様のご自宅に合った工事ができたことや、工事後の建物の状態にもご満足いただけたため、10年ほど経て塗料などが劣化してきたらまた弊社を選んでくださるのでしょう。

 

くれぐれも上辺のだけ綺麗さや、価格の比較だけで業者を選ぶのは避けてください。

例にあげた青い外壁と白い外壁の建物のように、見た目だけで工事の内容は分からないのですから。

 

こちらはタイルのシーリング動画です。

併せて観たいYouTube

若い時から大手の大規模改修工事に携わり、官公庁の仕事も多くこなしてきました。知識は当然のこと現場も正しい仕事ができて当たり前です。常にお客様の立場に回り物事を考えて行動しています。 漏水対策も得意分野で2人の子供を抱えて毎日仕事に励んでいます。防水施工技能士。

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