もくじ
塗装工事を行う際に、工事とは別に電線防護管の工事が必要な家があります。
例えば、屋根の近くに電線が走っている際には、この電線防護管が必要です。
足場を建てると、屋根上まで職人が登ることになりますので、電線が触れる位置にある場合感電の恐れがでます。
また、触れてしまう場所はもちろんですが、触れない場所でも電線から距離が近いと防護管が必要な場合も。
「直接電線に触れるわけではないのに…なぜ」と思われるお客様もいらっしゃるとおもいますが、電線に直接触れることがなくても、高圧洗浄機のノズル部分などが電線と距離が近くなったことで放電が起こり、電気が流れ感電してしまうことがあるのです。
電車のホームなどで、自撮り棒をホームで使用すると、電車の上を走る架線から電流が伝わり感電するという注意書きなどをご覧になったことはありませんでしょうか?
まさに、あれと同じことです。
そんな感電事故を防ぐための電線防護管について、今回はお話したいと思います。
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電線防護管の工事費用
電線防護管の取り付け工事、取り外し工事費用というのは、金額が決まっています。
というのも、この工事を行うのは塗装業者ではなく、電力会社が行う工事だからです。
電力会社基礎工事が50000円前後、変圧器、その他資材(電線の長さによって防護管の使用本数は変わります)など合わせて、大体10万円ほど。
弊社で行う工事ではないため、やりくりもできずお値引きが不可能な工事となります。
また大きな問題点がひとつ。
それは、業者によって『電線防護管工事』を採用する業者としない業者があるのです。
本来取りつけなければならないことは変わりないのですが、お客様に言い出せなかったり、業者として経験が浅いことで防護管を取り付けなければならないことを知らなかったり…。
しかし、電力会社の見回りなどがあるため、防護管せずに工事をしていると見つかり防護管を後から取り付けることになることもあります。
ですが、ここで一番怖いのは見回りで見つかることではありません。事故が起こることです。
軽いやけどやケガをしただけであれば、まだどうにかなりますが、もしも死亡事故につながってしまったら……。
その後そこへ住み続けるお客様にとって嫌な思い出が残ってしまうでしょう。
弊社では、お客様を守るためにも、しっかりと労働安全衛生法を守った工事を心がけています。
そうすることで、職人は安心して仕事をすることができ、よい仕上がりへとつながっていくからです。
電線を怖がって消極的に行う工事は、やはりいい仕上がりにはなりません。
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電線防護管工事の見極め方
ここまで、電線防護管の必要性や費用などをお話しました。
感電による事故を起こさぬためには、十分な配慮が必要です。
とはいえ、少しでも電線が近かったら必ず電線防護管の工事をしなければならないかというと、そうではありません。
私たち塗装職人も、できればお客様に余計な負担はかけたくないと思っています。
先日も塗装工事を行ったお客様宅で、電線がベランダの横近くを通っていました。
通常通り、ベランダを覆うように足場を建ててしまうと、電線防護管は必要なのですが、ベランダの床面を使って足場を建てることで電線から距離を取って足場を建てることが可能に。
ただ、ベランダの床面にはトップコートを塗る予定もあったので、床面を工事する際にはジャッキで足場を持ち上げて対応できる仕様にしました。
こうすることで、電線防護管を付けることなく工事をすることができたのです。
お客様に寄り添ったご提案をしつつ、事故を起こさないための安全性もきっちりと守る。これが塗装職人の工事です。
併せて観たいYouTube ジャッキで足場を持ち上げて対応できる仕様の例
安全な工事はクオリティを生む
電線防護管の取り付け工事というのは、足場工事の前に行われます。
工事時間でいえば2〜3時間ほどの工事で、電力会社が高所作業車を持ってきてその上で作業をし、取り付けて完了です。
しかし、そのためには前もって電力会社のスケジュールを抑える必要があります。
このスケジュールを調整する人間がいるかどうかも、大事なポイントです。
弊社では塗装の職人や足場の職人、屋根職人など複数の良質なスタッフがいるため、多少のスケジュールの融通はききますが、電力会社は弊社とは全く関係他社なため、スケジュールの融通はききません。
ですので、営業がしっかりとスケジュールを抑えることで、初めて現場が動き始めます。
塗装工事を依頼する際に、業者選びというのは非常に重要です。
業者を並べて比べようとすると、ついつい料金だけで見てしまいがちですが、安全性や工事の内容にもどうか着目するようにして下さい。
スケジュール管理はきちんとなされているか、安全性を確保することで職人たちが力を目いっぱい出すことができるか。
これらはいずれも、塗装のクオリティを上げます。いくら材料が良くても、技術を持っていても、発揮される土台がなければ工事は良いものになりません。
お客様の家をこの先10年守るために、正しい知識を持って良い業者選びをして頂ければと思います。
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