今回は、横浜市磯子区にお住まいのお客様からのご依頼をご紹介します。
このお客様は、15年前に弊社で家全体の外壁塗装工事をご依頼いただいたリピーターの方です。当時は築10年のお住まいで、塗装職人として私がお見積もりと工事の管理を担当しました。
その後もトラブル対応などで何度かお伺いしましたが、今回再び塗装工事のご依頼をいただいたので、詳しくお話しします。
さまざまな出来事を経て15年目の再依頼
実はこちらのお客様とは、過去の工事中、工事後にいくつかの出来事がありました。
ひとつめは、工事の進捗や足場の撤去スケジュールが思うように進まず、年末の工事だったため、足場が年をまたぐ可能性が出てしまったのです。
お客様にその状況を説明したところ、「新年を足場のある状態で迎えるのは困る」とのご意見をいただきました。
そこで、もう一度塗装、屋根、足場などすべての職人にと再調整を行い、お客様のご都合に合わせてスケジュールを調整。職人の作業をやりくりして、なんとか年内に足場解体を完了したのです。

当時はSNSやLINEが今ほど普及しておらず、職人一人一人に電話で連絡を取り、スケジュールを調整するのが非常に大変でした。現在なら、営業、職人、お客様でグループチャットを作成し、リアルタイムで連絡を取り合えるため、認識のズレも減っています。しかし、当時はこうした調整が大きなハードルだったのです。
塗装工事はリレーのバトンをつなぐように、足場組立→高圧洗浄→シール→塗装→検査→防水→足場解体(サイディング壁の工事順一例)とそれぞれのパートを専門職人が担当して完工を目指します。
ですので、ひとつの工事の遅れが出ると、その後現場に入る職人のスケジュール調整が重要になり、調整出来ない場合はどんどんスケジュールが後ろに倒れていってしまうのです。
最終的には調整できましたが、お客様にご心配をおかけしました。

さらに外壁塗装から5年後の2015年、バルコニーの床が剥がれる問題が発生したのです。
お客様からご連絡をいただき、すぐに現場に駆けつけ補修工事を行いましたが、数年で剥がれが生じ大変心苦しく感じました。

2019年には、訪問販売の業者がお客様宅を訪れ、「この壁は蓄熱発砲を起こしているので、すぐに工事が必要です」と告げたことで、お客様が不安になり弊社にご連絡下さいました。急いでお伺いして、壁の確認を。
ぐるりと家を回って確認しましたが、蓄熱発砲はありませんでした。

蓄熱発砲とは下塗りがうまくリシン壁の中まで塗れておらず、太陽光線で、そこに熱が溜まり、小さな膨れが壁一面に出る現象です。やや特殊なリシンの場合、下塗り塗料のミスマッチで表れることもあります。
壁の凸凹はリシン壁特有の模様であり、蓄熱発砲とは全く異なるものです。お客様に壁の写真を見せながら丁寧にご説明し、「15年目を目安に再塗装を検討してください」とお伝えして、その場は終了しました。
このような経緯から、再塗装のご依頼は難しいかもしれないな・・・と思っていた矢先です。
15年目の節目に、再びお客様からご連絡をいただきました。
過去のバルコニー補修や訪問販売時の迅速な対応を覚えていてくださり、信頼してご依頼をいただいたことが嬉しかったです。
工事前の課題:駐車場問題とその解決策
今回の工事では、大きな課題があります。
それは、お客様宅周辺に車を停められないことです。
お客様の家は車道から少し離れた場所にあり、以前の工事では少し離れた車道にトラックを停めて資材の運搬を行っていました。
しかし、最近その道の奥にデイケアセンターができたことで、大型バンが頻繁に通行するようになり、道路には路駐禁止の看板が複数設置されています。これにより、以前のような路上での一時駐車が不可能になりました。
そこで、家の下の道路で資材の荷下ろしを行い、工事中は近隣のコインパーキングを利用する計画に変更を。

しかし、近隣にコインパーキングが少なく、常に満車状態です。
そこで、お客様が借りている月極駐車場をお借りすることも考えましたが、こちらも空きがない状況でした。
車を停められないと工事が進められないため、お客様から「駐車場の空きがでない場合は、自分の車を会社に持って行くので私の借りている駐車場に停めて下さい」とご提案を頂き、なんとか工事を進められることになりました。
しかし、お客様に少しでもご不便をかけないためにも、ギリギリまで月極駐車場の空きは待ち最善を尽くしたいと思います。
このように、工事を行う前には事前の準備があります。
まとめたものが以下です。
・周辺環境の確認:工事車両の駐車スペースや資材運搬ルートの確保。
・駐車場の手配:コインパーキングや月極駐車場の利用調整。
・近隣への配慮:工事開始前に近隣住民への挨拶と説明。
特に、今回のような車道から建物が遠い立地では、準備に時間がかかります。
また、作業車を停める駐車場を決めても、それだけでは準備不足です。駐車場から資材の運搬をする人手が必要となります。
そこで、足場材や屋根材を運ぶため、俗に言う?運び屋さんを手配します。
作業者を停める場所の確保や、近隣への影響、そしてさらに道具の運搬など。
すべてを網羅して、初めて工事をスタートすることができます。

工事内容とお客様への約束
今回の工事では、屋根はカバー工法、外壁はナノコンポジットの塗料で塗装する予定です。
上記の工事をするためには、事前準備として駐車場の確保、近隣への挨拶、資材運搬の段取り、塗料の色選びなど、見積担当の業務は多岐にわたります。

一般的に見積もり担当は契約を取って職人を手配するだけと思われがちですが、こうした見えない準備が工事の成功を支えます。
塗装職人は、毎回の工事でお客様に安心して過ごしていただけるよう、全力を尽くします。万が一、予期せぬトラブルが発生した場合も、迅速に対応し、お客様に寄り添った解決策の提案を。
塗装職人は工事の間だけではなく、工事の後もお客様に寄り添います。
それが、塗装職人がこれまで築き上げてきた工事のスタイルだからです。
