パミールというスレート屋根の憂鬱

先日のブログで、現在集合住宅地の塗装工事をしている…と書いたのですが、実はこの集合住宅地、パミール屋根が集まった住宅地でもあるのです。

みなさんはパミール屋根を知っていますか?
パミール屋根は、通常のコロニアル屋根などと違い、元がもろいため塗装ができない屋根です。

ノンアスベストスレート屋根のミルフィーユ化現象

塗装ができないということは、いざ10年ほどたって屋根のメンテナンスをしようと思った時に、カバー工法と呼ばれる屋根塗装の1.8倍ほどの価格の工事をするか、もっと工事費のかかる屋根の葺き替えをするか…しかほぼ選ぶことができません。
またパミール屋根は、劣化とともに砕けやすくなり、通常であれば足場を組んだ後に屋根上を歩いて屋根の状態を確認するのですが、パミール屋根はおせんべいのようにパリパリと割れてしまうので、歩くこともできません。

さらに屋根が落下したり、風で飛んだりしやすいので、落ちた屋根が人にぶつかり事故をおこしてしまう場合も…。

屋根は日常の中で、あまり目を向けない箇所なので、ご自分の家の屋根が大変なことになっていても気が付かないお客様がたくさんいらっしゃいます。
今回の集合住宅地は、段々畑のように家が建っている場所でしたので、屋根塗装のご依頼を頂いたお客様の屋根に上ると、下の家の屋根が非常によく見え、屋根が歯抜けになっている家や、屋根板が反り返ってしまっている家を見かけました。

ただ、この集合住宅地、すべてがパミール屋根…というわけではなく、建っている年代によって、違う屋根材のお宅があるようなのです。
ですので、この段とこの段のお客様はパミール屋根で、その下のお客様は違う…などがあり、たった1段違う場所に建っているだけで、屋根の工事費が2倍近くも変わってしまう…ということが多々ありました。

 

営業としてお客様宅へ伺ったときに、一番難しい瞬間なのですが、お客様に「屋根を塗ることができません」とお伝えした瞬間、さっと顔色が変わられる方が沢山いらっしゃいます。

さらに続けて「カバー工法」のご説明と価格を説明すると、『もしかして、金額の高い工事をわざと言って、だましているのかしら?』というような疑いのまなざしを向けられることも…。
僕としては、お客様に無駄な工事は勧めたくありません。ただ、どうしても屋根塗装で対応できない「塗れない屋根」があるのです。

パミール屋根のように、パキパキとおせんべいのように割れる屋根は、塗料で補修することはできず…お客様にただただご説明するしかないのです。

屋根がズタズタになるパミール屋根とは

ただそれをもご承知でご近所の多くが屋根塗装で施工されているということと様々なご事情もあったことも重なり、本当は良くないのですが不本意ながらも塗装でご決断されたお客様も過去にはいらっしゃいます。

その際にお客様にご提出させて頂いた写真がこちらです。

その時の動画がこちら。

 

営業をしていると、いつも思います。
家という生涯のうちでも大きな買い物だからこそ、こうした塗ることのできない屋根材や、安く塗装を済ませたがために起こることを、もっとお客様に情報として届けられたら…と。巷では、「安い塗装」を大きく謳う業者が後を絶ちませんが、このパミール屋根しかり、かならずその後に大きな代償を払うことにもつながりかねません。

今回はパミール屋根をご紹介しましたが、パミール屋根以外にもこうした症状を起こす屋根はあります。また家の図面にはコロニアル屋根と書いてあるのに、実際はパミール屋根が葺かれていたり、記載ミスがあったり。
どうか、お客様にこうした情報が届いて、せっかく買った家を長持ちさせられますように、これからも屋根や塗装の本当のことをブログでご紹介できればと思います。

最後に、パミール屋根の症状をご紹介しますので、もしもそのような症状がお家の屋根で見かけられましたらお近くの屋根屋さんか、塗装店にご相談ください。

落ちた屋根による事故や、屋根が剥がれ落ちたことによる野地板の腐食など、大事に至らぬ前に少しでも食い止められますよう願っています。

パミール屋根の特徴:
・屋根の側面がミルフィーユ状になっている
・屋根が反り返っている

下から屋根を見てみて、この症状がありましたら一度塗装業者、屋根業者にご相談ください。

屋根工事

Yahoo!知恵袋:
ニチハのパミールについて築13年目の屋根が塗装ができない状態を何とかしたい

若い時から大手の大規模改修工事に携わり、官公庁の仕事も多くこなしてきました。知識は当然のこと現場も正しい仕事ができて当たり前です。常にお客様の立場に回り物事を考えて行動しています。 漏水対策も得意分野で2人の子供を抱えて毎日仕事に励んでいます。防水施工技能士。

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