技術が問われる傷みやすいトタン外壁、塗装してから10年の経過記録






場所横浜市旭区。住宅地の角地にあり良く目立つ一角にお家はあります。2階はアパートにもなっているため、外に階段があります。
鼻かくし(破風板)は太陽を一番受ける場所なので、旧塗膜もパリパリになっていました。完全に木部の素地が露出しています※1。このまま後2.3年していたら腐って大工に修理をしてもらわなければいけなくなる状態だったかもしれません。
トタンの外壁はチョーキングは当たり前でした。窓の木枠も塗装がはげていました。屋根は瓦でこれは下屋根部分※2。ちらほらさびが見えます。逆に腐食しやすい軒先の唐草は状態が良い感じです。




外階段は亜鉛のどぶ漬けの階段です。ですが残念ながら鉄のままのボルトからさび汁が滴り落ちて、見栄えを悪くさせていました。
日本ペイントのファインウレタンU100は懐かしいですね~。シリコンの前はいつもこの塗料でした。ウレタンと言ってもこの塗料はかなり優れモノで、職人さんには大人気の塗料です。今でも多くの人が使ってるのを見ますね。
※1は、主剤と硬化剤で混ぜあわせて使う、弱溶剤系2液形ポリウレタンエナメル塗料です。ターペン可溶という、ラッカーシンナーより臭気が少ない塗料用シンナーで希釈する弱溶剤の塗料です。お客さんも覗きこむように見ていますね。というか当時はわざわざ家の中から呼び出して、薄め方やはかりなんかも見てもらっていました。
外壁塗装




※1はすでにグレー色のさび止め塗料を下塗りした後です。色の確認をしています。※2もすべて下塗りが終わっているところです。シーラーを下塗り塗料として使うモルタルやサイディングと違うので、木部以外はすべてさび止めにて下塗りです。
ブラケットの足場が狭くて作業しにくそうですが、クサビ足場が当たり前の頃でなかったため、それほど気にしてなかったです。クサビ足場を知ってしまうと怖くなってしまうかもですけどね。
このお宅の大きさぐらいなら、足場は3人で半日で組んでいました。ちなみに計算が必要な組み立て時とちがい、足場の解体は2時間ほどでやった記憶があります。当時はその辺も誰にも負けてなかったと思います。
とにかく雨も太陽も当たらず、あまり塗装の必要性がないと思える奥まった場所まで、刷毛を突っ込んでいました※3。
鉄部塗装(雨戸・屋根・ひさし)






ベランダと屋根の隙間は枯れ葉や砂ぼこりがとても溜まりやすい場所です。頭も入らず手を懸命に伸ばして掃除もしました。
ひさし(霧除け)の多くは鉄部のトタンと木部で出来ています。もちろん下塗りは木部と鉄部とで塗り分けています。それぞれ専用塗料の塗り分けは耐久性をアップさせます。
ヘルメットが当たるため脱いで出来るだけ奥まで塗っています※1。ハイポンファインプライマーⅡにて下塗りしています※2。
平面雨戸は、ガラリ調鏡板の雨戸に比べて、チロン塗装機などの温風ガンやコンプレッサーを使うカップガンの吹き付けスプレーで行う必要もなく、だいたいはローラーで塗装できてしまう少し楽チンの雨戸なのです。手間も倍以上も変わってきます。
上塗りです※3。ちなみに程度の良いところはこれで仕上げる分、さびの傷みの激しい場所は4回塗る時もあります。
言い訳と思われたら身も蓋もないですが、一番重要なのは、家全体の耐用年数をのばすためにバランスのとれた塗り重ね回数です。陽のあたる場所と反対側では傷み方が全く異なってくるためです。塗料メーカーの仕様はあくまでも基準であって、最高のやり方とは別なのです。
フェンス・階段塗装



亜鉛の階段です※1。亜鉛が施されて間もないものは、塗装の付着が悪くはがれやすい特徴がありますが、この時点で確か2年程度経過していたはずだと思います。暴露されている期間が長ければ長いほど、塗装は剥げにくくなります。スチール製のボルトの錆汁がすごいですね。
庭のフェンスは、植木がはみ出して塗りにくかったのを思い出します。単管ダブルの抱き足場の場所もあれば、ブラケット使用の場所もあります※2。今となっては危険度の高い足場ではありますが、縦と水平はきっちり守って組んでいました。自分たちで組んでいたので、斜めの筋かいもないですね。
木部塗装(窓枠・破風・軒裏)




壁のモルタル掻き落としと、そこから出ている母屋と破風などは、すべてシルクシーラー厚膜にて塗装※1。とてもかぶりもよく肉持ちのいい下塗り塗料です。
ここは塾をしているお宅でもあるため、これは子供たちの下駄箱です※2。背面のベニヤがふやけて腐りかけていました。この程度は自分たちで交換して塗装しました。
軒天ベニヤは下塗りに一液浸透シーラーという強溶剤の臭気が少々強いものを使っていました。仕上げは定番のケンエースという塗料を使用。関西ペイントの同ランクはビルテック。ともに上げ裏関係によくつかわれる塗料です。ちなみにケンエースは下塗り不要でそのまま塗れるものです。




お客さんに威張っているようにも見えますが、実はすごく丁寧に説明しています※1。※2は中塗りか上塗り状態の時なのか不明ですが、一番傷んでいた場所なので、塗布量たっぷり4回塗りをしました。
塗っても塗料が吸い込んでしまい中々つやが出にくいところでしたね。逆に重ね塗りをするたび、つやが出てくるので、もっと塗ってやろうという気にもなります。こういうところは案外刷毛塗り作業の気持ちの良いところでもあります。
完成




久しぶりに見ると、相変わらず危険な足場です (笑) ※1。特にブラケットを使っていない場所なので余計ですね。塩ビなどの雨樋にはミッチャクロンというプライマーを使用。まず剥げません。
職人さんならわかりますが、見た目もきれいに仕上げるため、平らな軒で一本まっすぐライン出しをせずに、手間をかけて壁側でトタンの形通り見切っています※2。耐久性には変化なしですけどね。全体的な見た目もいいと思います。ただ見た目で質を判断できないのが塗装なのです。




単管とクランプが新しいです。今ではホームセンターでも置いてありますが、当時の横浜では特別なところでしか売っていませんでした。3連、ジョイント・・懐かしい響きです。
ここのご主人は、神奈川県ならず日本でも5本の指に入るほどの腕をもった塾の先生。昔テレビにも出演したこともあるそうです。
4年後




ほぼ完成のときと同じでしたね。でもさすがに11年後の現在と比べるとつやもあって、色あせもしていないです。正真正銘の4年目です。とてもいい状態です。
と言っても高額な外壁塗装なのでお客さんからすれば4年では当たり前のことですよね。ただその当たり前が通用しないこの業界だからこそ、その当たり前が貴重なのだと痛感する私です。
7年後




天気の違いもあるかもしれませんが、少しずつ色が薄くなってきているでしょうか。4年目と比較するとわかるような気がします。実際にはつやはまだまだ健在でした。
ウレタンといえばファインウレタン。ウレタン塗料の代名詞といえる塗料ですが、正常に扱えばすごい力を発揮するという再認識です。このように長持ちします。職人から永く愛用されている理由ですね。
階段の仕様はミッチャクロンというプライマーにファインシリコンセラ。ボルトの部分だけ錆止めを入れていたような気もします。ただ確実に言えることは時間をかけて念入りに下地調整のケレン(研磨)をしました。
人が乗る踏み板だからこそ念入りな目粗しをしたわけですが、×印のような縞鋼板のため縦横斜めにとマジックロンでの作業は大変でしたね。
10年後






またまた出ました正真正銘の10年目。モルタル外壁とは違いトタンなのに素晴らしいと自分でも思ってしまいました。
少し錆が見えています※1。雨水が最後に残る部分なので、他の場所より傷みが進行しやすい部分だともいえます。
階段の手すりの部分はつやも見えます。本当にすごいと思います。ただ太陽は一切当たらない場所ですが。






たぶん踏み板がここまで傷んでいないのは、しばらく2階に人が住んでいないため昇り降りが少ないと推測もできます。
遠目にみて色あせてはいますが、南側にしては実際は雨戸に異常はなし。西日が当たる例の一番傷みやすい破風板は、下端の角が少し剥げかかっていました。でも10年前は素地が出ていたほど劣悪条件だったため、かなり長持ちしていますね。






庭まわりのフェンスはすこし錆が見えます。この程度で済んでいるのは、元々状態が悪くなかったこともひとつの要因です。
このように植木が伸びている場合、だいたいはカットさせてもらいます※1。こういう場所も手間がかかります。
元々の傷み方、雨風のあたりなど、家のさまざまな条件によって耐久性は変わるため、絶対このような塗装になるともいえないですが、工事前の説明だけに頼らずに実際に数年後の家のようすも拝見してもらいたいですね。こちらはさらに時系列でわかるような記事にしていますので、こちらもよろしければご覧ください。

横浜市外に住んでいる方にも、外見だけならご案内できます。ちなみにこのお客様のご実家でも工事をさせて頂きました。
その他、塗装して10年~16年経過したお客様まで多くのリピーターの方から再塗装のご注文を頂いていますので、下の動画をどうぞご覧ください。
