令和元年も、残すところあと少しですね。一段と寒くなり、いよいよ年の瀬だな…という感じです。
今回は和瓦の屋根について、いろいろお話致します。
先日5年前に外壁を塗装したお客様から、ご依頼がありご挨拶もかねてお客様のお宅へ伺って参りました。
築35年の和瓦屋根のお宅なのですが、先日の台風で雨漏りをした箇所があったとのことで、大々的に足場を組んで雨漏り原因部分の補修や、和瓦の棟部分の補修などを行いたいとおっしゃっていました。
実は、先日の大型台風で弊社「塗装職人」へのご依頼が、弊社のキャパシティを超えるほど頂いておりまして、今リピーターのお客様を優先的に順次ご対応をさせて頂いている…という状態なのです。
ですので、今回のお客様にもその旨お話させて頂きましたところ、「次の台風が来るまでに終われば大丈夫だから、是非お願いします」と来年までお待ち頂けるとおっしゃって頂け、本当に恐縮し、ますますもって頑張らないといけない…と気持ちが引き締まる思いでした。
台風15号の時にできたという、雨漏りによる壁のしみも拝見させて頂いたのですが、台風後の普通の雨の場合は雨漏りが無いということで、雨漏り診断士でもある菊池の分かる範囲でいろいろ調べさせて頂いたのですが、今回雨漏りの原因は見当たらず…来年の見積もり時に、屋根屋さんも呼んでさらに詳しく調べましょう…ということに。
下記の参照画像のように、雨漏りは見た目でわかりやすいものもあれば、なかなかわからないものまで様々です。
こちらのお客様のように難解な雨漏りだと様々なテストをするため時間を要してしまうこともあります。
そういえば、今回お客様のところへ伺った時に、こんなお話を伺いました。台風の後、少し経った日に、突然やってきた業者を名乗る人物にこう声をかけられたのだそうです。
「奥さんのところ、屋根の瓦がずれていますよ?」
と……。その人はトラックに梯子も積んでいて、「ちょうど近くの現場に工事で来ていて、たまたま奥さんのお宅の屋根を見たので、もしよければ今登って直してあげましょうか?」と言ってきたのだとか。
お客様は、「あらーそうですか。うちは塗装も屋根もお願いするところが決まっていますんで大丈夫です。ありがとうございます。」とお断りになり、その方にはお引き取り頂いたのだそうです。
あわせて読みたい/悪質な屋根修理業者への7つの対応策(外部リンク)
ところが、さらに数日経った後に、また業者を名乗る別の人物がやってきて、この時の人とまったく同じことを指摘されたのだとか。これにはさすがのお客様も、台風による雨漏りがあったこともあって、気になってしまったとおっしゃっていました。
そこで今回菊池が相談を受け、お宅に伺ったのでした。
実はこれ、塗装工事や、屋根工事などをする「訪問販売業者」の手口です。偶然を装ったような声のかけ方ですが、訪問販売によくある手です。
さらに、また後日に別の人がやってきたのも、訪問販売の手法の一つで「やまびこ効果」と言います。最初に指摘した工事箇所を、日にちを置いて再度別の人間が訪ねて同じ個所を指摘する…というものです。「やまびこ効果」を体験しますと、1回目はなんとも思わない人でも、2回も別の人から同じ箇所を指摘されると、急に指摘されたことが気になってしまいます。
これによって、ついつい訪問販売の業者に補修を依頼してしまい、最初は瓦のずれを直すだけのはずが、「この屋根の傷み方では危ないので、屋根の葺き替えをしたほうが」とすすめられ、「ここもこうやったほうがいい」「ああやったほうがいい」とだんだんと話しを広げられ、ついには高額な費用を支払うことになってしまうのです。
さらに悪徳なのは屋根リフォームして間もない家にもやってくる場合があるということです。これは弊社の話ですが1年前に屋根塗装をしたばかりのお客様の家に来たこともあります。工事したばかりであたりかまわずお客様を不安にさせてしまうのは少々許されないことです。
再度そのような行為をさせないためにもわざわざその業者に出向いて話し合いを持ったこともあります。
今回も、訪問販売業者が指摘した「瓦がずれている」について、菊池の方で現地に行きお客様宅の屋根をカメラでズームして拝見しましたが、ずれているようには見えませんでした。
台風の後などは、雨漏りするお宅も多くあります。
そういった時に、台風被害に乗じるように訪問販売が来る場合がありますので、もしも塗装や屋根修理などの訪問販売がありましたら、訪問販売の業者はきっぱりとお断りをし、改めて信頼のおける業者に依頼をして下さい。
そうすることで、不要な工事をしないで済みます。
ただ、今回のお客様の場合は瓦はずれていないものの、「番線」と言われる屋根の一番上にある棟を結わいている針金が緩んでいしまっているようでした。これは、築35年の家であれば、どの家でも起こることではあるのですが、どうしても経年とともに「番線」はゆるみます。
この「番線」、ちょっと屋根に登って結びなおせばいいのか…というとそういうことではなく、緩みを直すためには、棟の瓦を外し、基礎をやり直してもう一度結びなおす必要があるのです。非常に大がかりな工事なので、すぐに対応することはできません。
まれに、お客様の方で「すぐ結べるかな?」と誤解をなさって、ご依頼を頂く場合があるのですが、こちらの動画を見て頂ければ、「番線」の結び直しがいかに大変な工事がお判りいただけると思います。
ただ、そこまで緩んでいない状態であれば、応急処置として「番線」はそのままにして、コーキング剤で重なっている棟瓦をつなぐような形で、瓦がずれないように接着することも可能です。
棟瓦の隙間にコーキング剤を注入することで、「番線」の緩みを補強します。
今回のお客様は、「番線」を結わきなおすことになりましたので、大きな工事なりそうです。来年、改めてお見積りをし、その後工事となりますがしっかりと対応させて頂きたいと思います。
他にもたくさんのお客様をお待たせしてしまっておりますが、順次伺って参りますので宜しくお願いいたします。
こちらは屋根そのものも葺き替える工事です。どうぞご参考に。
※訪問販売に関する記事
※Yahoo!知恵袋の回答