前回お話した、4~5年前に雨漏りで補修に伺ったお宅ですが、今回は屋根のカバー工法と外壁塗装を行うことになりました。
リピーター様として、またご依頼頂けるのは、本当に嬉しいです。
実は先だっての台風で、お客様宅の屋根が2枚ほど飛んでしまったのがきっかけだったのですが、実際お宅に伺って屋根を拝見したら、大変なことが……。
見積もり時は、足場がないため屋根に上ることができません。
その為、屋根が見えるぎりぎりのところまで下がって、屋根を見るのですが…
屋根を見てみると見えないはずのものが見えていたのです。
通常屋根は「野地板」→「1次防水 ルーフィング(防水紙)」→「2次防水 屋根材」の順に工事するので、屋根材であるコロニアル屋根が剥がれたのであれば、緑色、黒色といったルーフィングが見えているはずなのです。それなのに野地板であるベニヤ板が見えている……。
少し離れたところから、デジカメのズーム機能を使って撮影したのですが、お客様も一緒にいらっしゃってご自分のカメラで撮影されていました。
お客様にも確認して頂いた上で、1週間後に軽く足場を組み、職人に屋根に上ってもらい、屋根の確認と、防水紙と防水テープ屋根が剥がれている部分の応急処置をさせました。
屋根上で、再度問題の箇所を見てみると、やはり野地板が露出している状態です。
原因は、30年前に使用したルーフィングが「アスファルトルーフィング」だったことでした。
アスファルトルーフィングは、アスベストを含むルーフィングのため、現在では使用しない素材です。
しかもこのアスファルトルーフィング、一昔前のアスファルトと同じく熱に弱い素材で、近頃の異常気象もあり、ルーフィングが熱によって溶けてしまっていたために、屋根材のコロニアル屋根と貼り付いてしまっていたのでした。
そのため、台風で飛ばされたコロニアル屋根にくっついて、ルーフィングまで剥がれてしまっていたのです。
野地板が露出した状態になっていたのですが、職人が調べたところ、その屋根が剥がれたところ以外にも、屋根が大分ぶかぶかしていました。
ぶかぶかしている…というのは、野地板部分が水を含んでしまっていて、木がふやけていることを言います。このお家の場合は、ルーフィングが屋根と貼り付いてうまく機能していなかったために、野地板に水が染み込み、水を含んでしまったのでした。
この状態ですと、コロニアル屋根を補修して塗装をしたとしても、下地が傷んでしまっているので、また台風が来た際に同じことが起こる可能性が高くなります。そのため、今回はこの屋根をもたせるためにも、屋根のカバー工法をご提案させて頂きました。
カバー工法は、今あるコロニアル屋根の上にさらに屋根材をかぶせる方法なのですが、ぶかぶかになってしまった下地をカバーすることが可能になります。
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まずは腐っている箇所などの下地を補修し、その後コロニアル屋根の上からルーフィングを貼ります。この時「水下(みずしも)」と呼ばれる、屋根の下側から「水上(みずかみ)」と呼ばれる屋根の頂上に向かって貼り重ね、隙間を作らないようにします。
そして、その上に屋根材(シングル材又はジンカリウム鋼板材など)をこれまた「水下」から、篏合(かんごう)工法で屋根材を重ねていきます。こうすることで野地板に水が入ることを防ぐのです。
屋根は構造上、空気の出入りができるようになっているため、水が入らなくなれば、ふやけた野地板は徐々に乾燥していきます。
つまり、カバー工法をすることで、野地板のふやけを乾燥させることができ、水の浸入も防ぐことができるようになるのです。
最初は、塗装よりもお金のかかる工事ですのでお客様も悩んでいらっしゃいましたが、晩年に屋根の大工事をしなければならなくなるよりは…とカバー工法で屋根の補修をなさることになりました。
お客様に安心して暮らして頂けるよう、今回の工事もしっかりやりたいと思います。