もくじ
最近、屋根工事にカバー工法をされるお客様が増えてきました。
カバー工法に至る過程はそれぞれなのですが、みなさん屋根の葺き替えとカバー工法に悩まれ、カバー工法を選ばれる方が多くいらっしゃいます。
今回はそんなカバー工法と、カバー工法を決断されるまでの流れについての解説ブログです。
カバー工法の屋根材のカットサンプルを展示した理由とは
前回のブログで塗装職人事務所のことを少しお話ししたのですが、また少し事務所を改修しました。
今回も手がけるのは内藤です。
事務所のポストの交換と、カバー工法用の屋根材カットサンプルの展示を外壁に取り付けました。
ポストは以前よりも大きなものに取り替え、カットサンプルは弊社壁面にありますモニターの下に取り付けを。モニターにはいつも塗装職人の紹介動画が流れているのですが、その下にカットサンプルを並べました。
ですので、外を通りかかった方であれば誰でもサンプルを見ることができます。
さて、このカットサンプルですが、なぜ取り付けたかというとカバー工法のご依頼が増えているからです。
なかなか他のお宅の屋根をのぞくというのはできないことですし、屋根材のカットサンプルもそれなりに重みがあるため、何種類も打ち合わせに持っていく…ということができません。
そのため、少しでもお客様の手の届くところに展示をしようということになったのです。
お客様がカバー工法の依頼理由とは
先ほどご依頼が増えてきた・・・とお話ししましたカバー工法ですが、最初からお客様が「カバー工法をしたいです」とおっしゃって工事が始まることはまれです。
自らカバー工法をご指定されるお客様は、すでに何社かに工事のご相談をされていて、カバー工法をすすめられた事によって、調べた上で弊社にご依頼していらっしゃる方が多いです。
また、このカバー工法は塗装職人としてどのお客様にもおすすめする…という工事ではありません。
ご提案させて頂くほとんどのお客様が、どうしてもカバー工法をする必要になって…なのです。
カバー工法が必要になるには、理由があります。
まず一つ目の依頼理由はパミールや、コロニアルNEOの屋根材を葺いていたことによる、カバー工法の必要性です。
最近では屋根材ニチハ パミールのお宅は大分少なくなってきたのですが、コロニアルNEOのお宅はまだ多くあります。
パミール屋根は数年で見た目にも分かるほど屋根材がミルフィーユ状になり、パリパリと割れてしまうのですが、コロニアルNEOはそれに比べると分かりづらいのです。
パッと見はなんともないのに、いざ屋根の補修をしようと職人が登ってみると、職人が歩いたところからパリパリと割れてしまう…。
こうしたことが多くあります。(製造年の差です)
合わせて観たいYouTube〔パミール屋根〕
また、ある意味このコロニアルNEOにはあたりはずれがあり、あたりのコロニアルNEOはこの症状があまりでません。
しかし、ロットによるのか…はずれのコロニアルNEOもあるのです。
はずれを引いてしまうと、屋根の葺き替え、もしくはカバー工法をしないと雨漏りに怯えながら暮らすこととなります。
あわせて読みたい〔関連記事:コロニアルNEOの屋根について〕
まれに住宅地で6軒ともにコロニアルNEOの屋根材を使用しているのにも関わらず、5軒は屋根塗装ができて1軒だけカバー工法をしなければならないということが・・・・・・。
そうなってしまうと、そのたった1軒に当たったお客様は納得がいきません。
他の家は全て屋根塗装ができたのに、なぜうちだけ…となってしまうのです。
しかも屋根が脆くなってしまっているので、カバー工法、もしくは屋根の葺き替え以外に選択肢がない……。
こうしたやむにやまれぬ理由で、カバー工法をすることになるお客様がほとんどです。
カバー工法を選ぶもう一つの理由とは
カバー工法を選ぶもう一つの理由は、棟板金の中心にある屋根の一番重要な棟木の寿命が来ている家です。通常棟木は寿命が30年と言われており、棟木が傷んでくると棟板金が台風で飛んでしまうことも。
棟木を外すためには、棟カバーも外しますのでそのついでに屋根の全体の工事をする方がいるのです。
そこで、屋根の葺き替えかカバー工法を選ぶこととなります。
この屋根の葺き替えとカバー工法には大きな差が・・・。それは金額です。
屋根の葺き替えの場合、まずは屋根を剥がしそこからコンパネ(ベニヤ板)の交換をします。
さらにそこに新しい屋根材を葺いていくわけですが、実はこの屋根の葺き替え…廃材処理と廃材の運搬にかなりの費用がかかります。
われわれ業者がゴミを廃棄する場合、家庭ゴミではなく事業ゴミとして廃棄することになるため金額が大きく変わるのです。
もちろんお客様の方で、コツコツと家庭ゴミとして廃材を処分されるということでしたら、事業ゴミほどの費用はかかりませんが、廃材は屋根一面分あるため、広い庭があるお宅でもそれ相応の場所を取ります。
さらに、重い屋根材を運ぶとなるとそれなりの重労働です。
そうした労力を考えると、業者に事業ゴミとして処分してもらうこととなります。
合わせて観たいYouTube〔屋根の葺き替え動画〕
しかし、カバー工法の場合は現存の屋根の上にさらにガルバリウム鋼板などを貼り込んでいくため、廃材はでません。
屋根補修をし、その上に屋根をさらに被せるため、防水シートなども敷くことでより雨漏りに強い屋根となります。
このような理由から、ほとんどのお客様が費用の安いカバー工法を選ばれるのです。
あわせて読みたい〔関連記事:もろくなった屋根でも大丈夫〕
カバー工法の費用はなぜ今上がっているのか
最近では屋根の葺き替えよりもご依頼の多いカバー工法ですが、近年工事費が上がってきています。
中国での資材不足や、ロシアの戦争などもあり建材の値段が上がっているのです。
コンパネ(ベニヤ板)だけでも、倍くらいの金額になっていますし、ガルバリム鋼板、ジンカリウム鋼板なども値上がりの傾向がみえます。
これまで塗装工事は100万円ほど、カバー工法も含めば200万円前後でした。
しかし、現在ではカバー工法を入れるとなると軽く200万円をゆうに超えてきます。
またカバー工法の場合、費用の見積もり方によって金額が変わります。
屋根の工事費というのを土地の㎡数で考えられる方もいらっしゃるのですが、実は㎡数よりも複雑な形の屋根の場合手間が変わるため費用が大きく変わるのです。
たとえば壁面が丸くカーブしているような家ですと、その壁に対して屋根を円錐のような形で下ろしますので、何面もの屋根がある状態に。
屋根は、勾配によっても費用がかかります。
通常6寸勾配(横10m×縦60㎝の勾配角度)を超えますと、屋根用の足場が必要となるため、足場費用が加算されます。
カバー工法の金額には、こうしたこまかな理由があるのです。
適当に㎡数で出したカバー工法の金額は、細かな作業費を省いた金額なりの工事でしかありません。
きちんと細部の見積もりができるからこそ、トラブルまで手の行き届いた細やかな工事となるのです。
また、塗装工事には世田谷区や杉並区などは工事への補助金がでるのですが、このカバー工法にはでません。
合わせて観たいYouTube〔カバー工法動画〕
カバー工法は、家を所有している方であれば築20年〜35年ほどで一度は考えなければならない工事です。(コロニアルNEOの場合は除く)
だからこそ、工事を予想しある程度の金額目安を持って備えておきましょう。
雨漏りをしてしまってからでは、さらに費用がかかることとなります。
カバー工法の屋根材もいろいろありますので、是非一度事務所でカットサンプルをご覧になってください。
カバー工法は費用のかかる工事です。だからこそ、確かな技術と、家にあった素材を選んでしっかりと工事をするとよいでしょう。
あわせて読みたい〔カバー工法の解説〕