同一メーカーによる分譲地で発生した雨漏り、その原因と住宅購入時に注意したいこととは

今回ご紹介するのは、同一メーカーによる分譲住宅にお住まいのお客様。住宅の購入以来16年にも渡って、雨漏りに悩まされていました。

驚くべきことに、その分譲地のほとんどのお宅で雨漏りの症状が出ているのだとか。

その原因を、弊社の職人と力を合わせて究明しました。

この記事では、16年にも渡る雨漏りの原因を特定したプロの調査手順を解説しています。

また、分譲地の多くのお宅で、同じような雨漏りが発生してしまったことについて。

悪質なメーカーの場合そんな残念なケースもあり得るため、そのからくりについてもご紹介しています。

これから自宅の購入を検討されている方は、ぜひ参考になさってください。

 

お客様宅の雨漏りの状態

雨漏りで悩んでいらっしゃるとのことで、見積もりに伺いました。

お客様の家は、ドイツ風のおしゃれな外観の家がずらりと10軒建っている住宅地の一角にあり、非常にデザイン性にすぐれた美しいお宅です。

築16年になるのですが、買った当初から雨漏りがあり、以前まではハウスメーカーに来てもらい修繕していたそうです。

ところがそのメーカーも今や無くなったため、困っていらっしゃったとのことでした。

 

確かに、雨漏り対策は難しいものです。

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実はこちらのお客様は、以前住んでいた家でも雨漏りがあったそうです。

「今回こそ雨漏りのない家を」、と思いこちらの家を買われたにもかかわらず、買った当初からまたもや雨漏りに悩まされてしまったのだそうで……。

 

家の状態としては、築16年ということもあり、外壁の塗装や屋根のカバー工法などをすることになりました。

それに加えて、お客様から「今回こそ、雨漏りについても徹底的に補修をお願いしたい」とリクエストが。

「是非雨漏り箇所を見てほしい」とおっしゃって、トイレの雨漏り箇所を見せて下さりました。

拝見すると、トイレの窓枠の上から水が出ていて、どうやら外壁に原因がありそうだな…と。

雨漏りでトイレ室内の壁紙がはがれる

 

雨漏りしているお宅の場合、その多くは通常の雨であれば、そこまで雨漏りにはならないものの、台風や大雨が来ると雨漏りがひどくなるお家がほとんどです。

今回のお客様宅も、大雨や台風の際にトイレの雨漏りがひどくなるとのことでした。

 

調査で判明した雨漏りの原因とは

雨漏りの原因究明は決してやさしくはないですが、これまでもいくつもの雨漏りを解決してきました。

調査開始です。

雨水をを吸収させるためにタオル設置

 

その後、職人と一緒に外壁を丁寧に見ていたところ、こちらのお宅の二階と一階を仕切る「帯」と呼ばれる部分に目が留まりました。

 

別の工事ですが、「帯板」の塗装をしているシーンです。

併せて観たいYouTube

 

水を吸い込むモルタルの帯

通常は、一階と二階間に、家の周囲に沿ってぐるりと巻いた帯板という板があり、この板を境に外壁の色をツートンに塗り替えたりなどします。

ツートン塗装

こちらのお宅の場合、この帯板がモルタルで出来ていたのです。

モルタルは雨水などを吸う性質があります。

こちらの帯板代わりに装飾として使用されているモルタルの帯が、二階の壁をつたってきた雨水を吸い込んでしまい、雨漏りの原因を作り出していたのです。

 

もろくなったパミール屋根

しかも運が悪いことに、こちらのお宅の屋根はパミール屋根でした。

表面が剥離するパミール屋根

パミール屋根は、アスベストが屋根材として使用禁止となった際に開発された新しい屋根材なのです。

ただこれには問題がありました。

パミール屋根は使ってしばらくすると、屋根がミルフィーユのように薄い層に分かれてもろくなってしまうのです。

職人が屋根上に乗ろうものなら、おせんべいの上を歩いたかのようにパリパリと割れてしまいます。

パミール屋根の発売当初は、まさか数年後にこんな状態になるとは知らず、多くの住宅がパミール屋根を採用しました。

 

詳しくは下記記事にまとめ直したのですが、このパミール屋根の脆さも雨漏りに一役買っていたのです。

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他の住宅も同じように雨漏りが!

さて、こちらのお客様宅ですが、実は足場を組むのが非常に難しい家でもあります。

お隣との距離が非常に近く家と家の隙間が狭いため、梯子をかけようにも梯子の傾斜がつけられないのです。

そのため、足場を家と家の間に通す際に、足場でお隣宅の壁を傷つけては大変ですので、壁あてをさせて頂く旨、両隣の家主様へお願いしました。

足場控え
【※参照 足場の(壁当て)振れ止め画像】

両隣の方とも、ご快諾を頂き一安心したのですが、なんと両隣の家主さんからまたもや雨漏りのご相談を頂いたのです。

どうもお話を伺うに、このおしゃれなドイツ風の住宅が並ぶ10軒もの家ほとんどに、雨漏りの症状がでているのだとか。

片方のお隣さんなどは、2年前にも足場を組んで外壁塗装と雨漏り補修をしたのに、今も雨漏りに悩んでいらっしゃるのだそうです。

なぜ、こんなにも雨漏りのでる住宅なのでしょうか。

 

同一メーカーによる分譲住宅の危険

このブログの冒頭にも書きましたが、すでにこの住宅を販売したメーカーは倒産しています。

ですので、このような状況になっても、補償もされず修繕も出来ない状態なのです。

実は、建売のメーカーがつぶれることはよくあります。

つぶすことで、責任から逃れることができるからです。

詳しくお話すると、家は安く作って高く売れば、儲けを出すことが出来ます。

でも、安く建てた家は不具合がおこりやすく、家の不具合が見つかればハウスメーカーは補償をすることとなり、それだけお金の持ち出しが多くなります。

ですので、小さな建売のメーカーは、ある程度儲けを出したら、会社をつぶして補償をないものにしてしまうのです。

そして社長などの頭だけ挿げ替えて、また新しい会社を興し建売を売ります。

こうすることで、家は売れますがその後不具合が出たとしても逃げ切ることができるのです(これはリフォーム会社でも同様の手法で儲けを出す会社があります)。

その逆に名の通った有名ハウスメーカーの家は、会社がつぶれることはほとんどありません。

ですが、このつぶれてしまうハウスメーカーほど安い価格の建売を販売することはありません。

安くお得に買える家には、必ずその裏にからくりがあるのです。

今回のお客様宅のメーカーは、建てて数年は面倒を見てくれたといいます。

もしかしたら、本当に不況のあおりを受けてつぶれてしまったのかもしれません。

それでも、これだけの家で雨漏りが出るということは、それなりの施工方法だったのでしょう。

もしもこれから新築を購入しようというお客様がいらっしゃいましたら、このメーカーのからくりを頭にいれておくことをおすすめ致します。

 

雨漏り補修はプロにご依頼を

雨漏りは、どの家にも起こりうることです。

でも、そうした雨漏りを防ぐことはできなくても、最小限に抑えることはできます。

どうか、雨漏りをしていておかしいな…と思ったら、プロによる徹底的な補修をして下さい。

こちらの例のように長年不安から解放されず難解な雨漏りだとしても、雨漏り工事に関わる職人が力を合わせれば解決します。

 

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また、雨漏り補修について、値切って工事を安くすることはお勧めできません。

雨漏りで壁紙がはがれる

 

雨漏り工事を安くする…ということは、補修材を安くし、人件費を削るということです。

雨漏りの補修材を安く済ませてしまうと雨漏りをしっかり補修することはできませんし、人件費を削れば手のかかる工事はできません。

起こってしまった雨漏りは、最初のうちに全力で止めることで、長い目でみれば安く雨漏りを補修することができるのです。

今回ご依頼頂いたお客様宅は、本気で弊社にご依頼下さりました。

お客様の誠意にお応えすべく、弊社も一丸となって雨漏り工事に取り組みたいと思います。

 

【参照動画】3度目の正直で雨漏りを止めろ!

見積りで大切なのはお客様宅を把握すること。ご要望をうかがい図面を精査し、最適な工事を提案します。高い技術とサービスをご納得いただけるよう、いつも心がけています。施工管理技士でもあります。

些細なことでも構いませんのでお気軽にご連絡ください

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