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ベランダの床塗装からみる塗料選びの難しさ

みなさん、塗装の工事を考える際に何を基準に選んでいらっしゃいますか?
塗装する塗料の性能?工事費の安さ?それとも工事をお願いする業者の会社規模の大きさや実績?
実はそれよりももっと考えなければならないことがあります。

それは、家の症状や建て方、建材と合う塗料が選べるかどうかです。
「え?外壁用と書いてあればなんでも大丈夫ではないの?」と思いますよね。
実は、大丈夫ではないのです。
今回は、そういった塗装工事の際に塗料を選ぶ難しさについてお話ししたいと思います。

目次

ベランダの床塗装から見えてくる塗料の選び方

先日塗装工事が始まったお客様宅で、ベランダの床についてトップコート部分の塗り替えをしました。聞いただけだと簡単そうな工事に思えますが、こちらのお客様のベランダは敷石がしいてあるタイプでした。
ベランダの敷石というのは、バクテリアの問題があります。

ベランダの敷物類はバクテリアが繁殖するので、材料が限定されるのです。使える塗料はオートンウレアックスHG。これは防水として塗る塗料の中を松竹梅で現すとすると竹くらいの塗料なのですが、敷石の下に塗ることが出来る塗料としてはこれが一番です。

しかし、ウレアックスを使うには条件があります。まずベースに敷いてある防水塗料がFRP『繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)』ということ。またベランダに雨漏りがある場合は使用できません。
このFRPは、材質特有の『割れやすい』などのネガティブな要素もありますが、敷物との相性を考えるとFRPを敷く家がほとんどです。(※注 FRPにも種類があり、敷物に向かない物もあります)
他にもベランダに多い防水塗装としてウレタン防水もありますが、これは敷物を引くことはできません。

 


アスファルト、塩ビなどベランダの防水材としては様々な種類がありますが、それぞれ敷物ひくことによるバクテリアに対応するのが難しいのです。
ほとんどの場合、防水材を施工したら敷物はダメだと思った方がいいでしょう。
それでも敷物の下にそれらの防水塗装が施されている場合もあり、その場合はウレアックスを選ぶことはできず塗料選びが難しくなるのです。

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〔関連動画:水はけが悪いベランダを強度抜群のFRP防水にやり替えた〕

敷石にも対応 ウレアックスの施工とは

今回お客様宅のベランダはFRPで、先にお話したとおり敷石がありましたので、ウレアックスで施工することになりました。
このウレアックスは、トップコートを塗る必要がありません。
通常防水材は紫外線に弱いため、保護としてトップコートを塗ります。
防水材はトップコートをしっかりと塗れば10年もちますが、5年ほどでトップコートがきれてしまうのです。そのため防水の保証期間は5年となっています。
ウレアックスはプライマーを塗り、ウレアックスを2回塗るだけですが、メーカー保証も5年つくのです。

 

つまり、通常の防水工事と保証期間がおなじになります。
敷石などがベランダに敷いてある場合、シーリングなどで隙間を埋めて行く方法もあるのですが、シーリング材は防水にはならないので、僕としてはおすすめできないのです。
その点、ウレアックスは防水の効果も但し書きに謳ってあるので安心してお使い頂けます。


お客様としては、ベランダの塗り替えはしたいけれど敷石は捨てたくないとおっしゃっており、そういった意味でもウレアックス以外に方法はなかったのです。
と、ここまでいとも簡単にウレアックスという商品をおすすめしていますが、この商品にたどり着くまでには長い道のりがありました。

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〔ウレアックスの施工事例〕

ウレアックスという塗料を見つけるために

このウレアックスにたどり着いたのは、別のお客様とのやりとりがキッカケでした。
同じく敷物のあるベランダで、なかなか工事に使用できる塗料がなく、僕は材料屋さんや職人仲間などに「敷石の下に使える防水材はないか」と聞いてまわったのです。
そこで出てきたのが、このウレアックスでした。当時ウレアックスはまだ新商品だったため実績が少なかったのですが、

材料を卸している商社からその性能を聞き、新商品であることを承知でお客様が試して下さいました。
その後実例を何度か重ね、今ではしっかりと自信を持ってオススメすることが出来ます。

こうした材料一つとしても、お客さまとのやりとりや材料屋さんとのやりとりの中で見つけ出し、少しでも家に悪影響が出ないか確認を……。
たかだかベランダの床にトップコートを塗るだけの工事ですが、これだけ事細かに塗料の持つ影響を考えてから塗る必要があるのです。

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〔関連動画:劣化を防止し屋上を保護するトップコート防水〕

塗料を決めることの怖さ、難しさ

塗装工事を検討されるお客様は、みなさん見積もりを取られると思うのですが、大体の業者は無料でこの見積もりを行っています。
家を計測して、書類を書くだけだからそんなに難しいことでは無いだろうと思われる方もいらっしゃると思いますが、弊社の見積もりはそんなに簡単なものではありません。それぞれの外壁や屋根がもつ症状をじっくりと拝見し、そこに使用されている建材にあった塗料を選び提案致します。
雨漏りなどがある場合は、さらに提案が複雑になるのです。

その上、もちろんお客様の予算感などもありますので、何を省いて何を補修するかなども考える必要があります。
塗料の選出は、ある意味薬の処方と同じです。
この処方を間違えてしまったら、家全体が傷む原因となってしまいます。
だからこそ、現地調査はしっかりと時間をかけて行いますし、塗料の選定にもじっくりと取り組むのです。

もちろん、塗装業者の中にはただ値段表と症状をつき合わせてパパッと計算してくるところもあるでしょう。
そういった計算で出された見積もりで行う工事は、ほとんどの場合家に悪影響を引き起こします。
最後にそうした事例もお話ししましょう。

安い塗料、適当な塗料を選ぶことの怖さ

先日とあるお客様から見積もり依頼があり、弊社の見積もりを出したところ

「どうして松尾さんのところはこんなに高いの?この業者なんて同じ見積もりでもこんな値段よ?」とおっしゃって、他社さんの見積もりを見せて下さいました。
見てみると、『サラセーヌトップコート2回塗り』と見積もりに書いてあります。
しかも値段は20万円です。家の規模を考えれば、通常その3倍ちかくになるでしょう。
老舗メーカーであるサラセーヌで防水塗装をしたら、この値段では済みません。
つまり、この見積書にある「サラセーヌトップコート2回塗り」は、読んで字のごとくトップコートだけを2回塗るのではないかと推察しました。
下地を塗らず、防水材を塗らずにぶっつけ本番でトップコートのみ。

これは防水効果が無いのはもちろんですが、塗装としても不完全なものとなります。
「もしかしたら…」と上記のことを伝えたところ、「え…」と絶句されていました。
それ以外にも、別のお客様宅へ見積もりに伺ったものの、鉄部があちこちサビが出ていて壊れている部分もあり、

壁は前回間違った塗料を塗ってしまったからか蓄熱発砲が起こりボコボコになっています。これでは保証もないでしょう。
雨漏りは無いとおっしゃるものの、正直これら全てを補修工事していったらいくらになるのか想像もつきません。
塗料選びや見積もりの読み間違えで、これだけのことが起こってしまうのです。

だからこそ、きちんと仕事をしてくれる技術と経験のある業者選びが大切なのです。

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〔塗装職人の仕事:防水工事〕

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家に最適な塗料を選ぶための知識を得るために

僕は普段、塗装職人で使用する塗料は商社を通して購入します。
そうすることで、商社の人が持つ材料の情報を手に入れることができるからです。
メーカーは材料の良いところについては大々的にアピールしますが、悪い面を前面にだしてきてはくれません。

しかし、商社はクレーム対応などもしているため、材料の持つ良い面と悪い面をさまざまな現場経験から知っているのです。
なので、僕は何か分からないことや塗料のことで迷ったときは商社に連絡をして話を聞きます。
もちろん防水工事のことで、僕が商社の方から質問を受けることがありますが、お互いに現場を知るものとして、さまざまな意見交換をするのです。
こうすることで、お客様の家に合った塗料を選び出すことができます。

いくら僕が防水に長年携わっているからといって、自分の力を過信するのは非常に危険です。だからこそ、答え合わせの意味もかねてひとつひとつ材料や塗料の確認をする必要があります。
今回施工しましたお客様宅は、お客様からベランダのメンテナンスや塗装をしたいこと、敷石を捨てたくないことなどはっきりと言って頂けたので、僕も最初から的を絞って提案することが出来ました。
お客様にとってもWIN。
弊社にとってもWIN。
そしてメーカーも売れてWINになる工事こそ、塗装職人が目指す塗装工事です。

そのためにも塗装職人の営業として、家に合った塗料の処方箋が出せるように、これからも商社や職人達とスクラムを組んで新しい塗料や問題点にも取り組んでいこうと思います。
材料の見積もり一つも、手を抜くつもりはありません。
弊社で見積もりを取った際には、工事の詳細を聞いて下さい。
なぜこの場所にこの塗料を使うのか、必要なのか?ということをお答えします。
家に合った塗料は家を長持ちさせます。そのためにも、ネットの偏った情報ではなく、私たち現場の声が届けられるようにしたいのです。

 

 

 

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