先日行われた「樹脂接着剤注入施工技能士」の試験ですが、わくわくドキドキしながら合格発表の本日を迎えました。なんだかわかりづらい名前ですが、ひらたくいうと「外壁ひび割れの補修専門の資格」というところでしょうか。
とりあえず合格したのでほっとしました。
私の今持っている資格は、お客さんに一番重要視してもらいたい順番から並べると、
1,塗装科・職業訓練指導員
2,一級塗装技能士
3,樹脂接着剤注入施工技能士
4,神奈川県塗装協会認定工事指導員
と、こんな具合です。ほかにも足場や有機溶剤に関する資格などまだまだあります。
3と4は私の中では、今のところ同レベルですが、今はマンション修繕工事も仕事として増えてきていますので、「樹脂接着剤注入施工技能士」が活躍する場面が多くなるのではないかと思っています。
ちなみにうちには、「塗装科・職業訓練指導員」が4人います。毎日のように手伝ってもらっている職人さん2人も「塗装科・職業訓練指導員」ですので、それを合わせると6人です。一応、「一級塗装技能士」になってからでなければ取れない資格ですからね。実際には資格というよりも免許ですが、いずれにしても現時点ではとてもマイナーな資格です(笑)。
この「樹脂接着剤注入施工技能士」というのも、戸建の外壁塗装では活躍の場があまりないです。資格保有者も全国的にみて少ないからかもしれません。話が少しそれてしまいましたね。樹脂接着剤注入施工のことに戻りましょう。
樹脂接着剤注入施工の中でも、ひび割れ(クラック)は一番の重要事項です。「外壁のひび割れにはUカット」という言葉を聞いたことはありませんか?修理しやすいように、ひび割れに沿ってU字に溝を削り、そこにシーリング材などを埋める工法です。
実はこのUカット、戸建ではほとんど必要ありません。正直Uカットでなければ対処が困難という事例もこれまでないばかりか、補修後ずっと先々のことを考えると逆にやらないほうがいいと思うことが多いのです。
そもそもディスクサンダーでUカットする場合は、深さ10ミリ~15ミリ程度が理想とされています。戸建のモルタル壁の厚さとたいして変わらないので、下手をするとその下のラス網や防水紙まで切断してしまう可能性もなくはありません。
新築時の左官屋さんの施工によっては、壁の厚みも全然バラバラだったりします。しかも厚みというのは塗装の仕上がりとおなじで、見た目にわかるものでもありません。
一方マンションの場合は、戸建のモルタルと違い、壁はコンクリートでさらに厚みもあるのでUカットは結構よくある作業のひとつです。
マンションでは、内壁にまでひび割れが達している貫通クラックなんていうのは、事例としてはそれほど多くありません。Uカットしてそのあとに注入するシールなどの材料は、ひび割れ奥の突き当たりまで注入して施工しなければなりません。
戸建の場合は壁が薄いため、Uカットするほどの幅か広いひび割れの場合は、当然下まで貫通してるはずですから、突き当たりというのはありません。戸建のUカットがまったく悪いということではありませんが、ただ傷を広げて悪化させてしまうだけということにもなりかねないということです。戸建のひび割れには、外壁専科というシーリング剤やノンブリードウレタンのコーキングで十分かと思います。
そもそも樹脂接着剤注入施工でのメイン材料である「エポキシ樹脂」自体、戸建ではほとんど使うことがないのです。エポキシ樹脂は、さらさらした低粘度からどろっとした高粘度のものまで、いろいろあります。ひび割れの状況によって使う種類もことなるので、ただ注入するのではなく、結構経験にも左右される作業だと思います。
あと、ひび割れのほかには壁やタイルの浮きにこのエポキシ樹脂が使われます。
マンションオーナーさんにとって怖いことのひとつが、タイルの剥離による落下です。そのため張り替え以外にもタイル目地に穴をあけて、グリスガンという道具でエポキシ樹脂とアンカーピンというものを注入して、落下を防止する施工もします。
幅の狭いクラックにはという方法もあります。正式には自動式低圧樹脂注入工法というのですが、要はコーキングガンのように人の力でぐいぐい注入するのではなく、機械が自動で注入してくれるというものです。ここで私が説明するは機械といっても注射器のようなプラスチックですが・・・(笑)
イメージで言えば、通常クラックをそのままシール材などを注入させても奥まで入り切りません。(戸建てを除く)というのは、クラックは”穴”ではないので、注入しても横に広がり奥までシール材が行き渡る前に壁表面に漏れ出してきます。ですので、注入口をまず1点(クラックの長さに応じて数点)に集中させてそこから注入する以外のクラックは、クイックメンダーなどで表面を塞いでしまいます。
クイックメンダーは5分もすれば硬化するので、注入器に接続する座金とともに設置が完了したら、後は注入器にエポキシ樹脂を入れて少しずつゆっくりとクラック奥まで注入されるという仕組みです。なので幅が細いヘアークラックなどでも対処可能です。しかも注入する力は輪ゴムだったりします。
でも先人の考える力って発想力豊かだなとつくづく思います。
注入された後はすべて撤去して完了です。跡が残るので塗装をして完了させます。クラックについてはこちらにも載せているので、ひまがあれば覗いてみてください(Facebook)。
ちにみにこれは戸建て外壁のクラック補修です。
それではまた(^v^)