外壁塗装の訪問販売でもよく聞く営業トークがあります。
「近くで工事しているので、今なら足場代をタダにできますよ」
こんなセリフ聞いたことないですか?
ちょっと危ない匂いがしますね。
未だにこういうセールスがあるようですので、慎重になる必要があります。
まず足場というものは組むことと解体することに手間がかかります。
そして足場というのは塗装と違って、とても労力を必要とする仕事です。
だから年輩の職人さんはあまり見かけたことないですよね?
なので、いくら工事している場所が近かったとしても、ただにするということはできないのです。
近くも遠くも変わるのは、トラックで運搬するガソリン代ぐらい。
たぶんそういう営業をする人は、塗装に対してあまりよくわかってないのだと思います。
少なくとも足場のことをわかっている人間ならば、絶対できないことを堂々とお客さんに面と向かって言えません。
言っている本人が「もしかしたらできるのかな?」ぐらいの知識なので堂々と言えてしまうのでしょう。
ちなみに見積もりのときに足場の種類を気にしない人が少なくありません。
こちら塗装職人で採用している足場を詳しく説明しています。
私が発注元のお客さんであれば、まず足場を気にします。
この足場だったら今は遠慮させてもらっちゃいます。
これは「単管足場」と言って、一昔前に主流だった足場ですね。
遠慮させてもらうといっても、10年前は自分たちで組んで作業していたんですが、「くさび足場」を知ってしまうと単管足場は怖くて作業できません。
作業はできるとしても、落下に対して常に注意しながらの作業になるので、もっと正確にいえば丁寧な作業がしにくいといった方がいいですね。
実際に私も落下したことがあります。
1段目でしたので大した怪我はしなかったのですが、太ももに打撃を受けました。
そのけがは今も筋となって感触でわかります。
ほかにもあります。一緒に作業していた、職人も一番上から落下、大工も落下。
知り合いではなく、いずれも私と同じ時同じ現場で一緒に作業していた職人です。
振り返ると落下の危険性莫大だなと常々思ってしまいます。
一人の職人(私の手元の塗装職人)は、入院はしませんでしたが、1カ月ほど休み。
大工は血だらけでした。当時は下請けで特急で作業していたため、「こんな急いで仕事してたら危ないな」と本気で下請けをやめるひとつの動機ともなったのです。
子供も小さかったですからね。でもくさび足場ならそうはならなかったでしょう。
単管足場は管が2本だけですから。
材料を乗せながら作業していて、落してしまい塗料であたりを汚してしまったこともいくつかあります。
それだけ単管足場はバランスをとっての意識しながらの作業となるのです。クサビ足場に慣れてしまった今の職人さんははとても嫌がるのではないでしょうか。
ブラケットというもので足場板が敷いてあるならまだいいんですけど、それでも揺れますから。。
で、見積もりがくさび足場だったとしても、屋根上までしっかり組まれているかどうかも重要です。
ご近所への迷惑が気になるのであればなおさらかもしれません。
高圧洗浄や塗料の飛びちりも気になりますからね。
そしてもっと欲を言えば、くさび足場でも職人が作業しやすい高さに組んでもらうとかも必要なんです。
足場の上に乗っても、背伸びしても届きにくい高さの組み方では、そもそもの足場の意味が薄くなってしまいますからね。
実はくさび足場だとしても手抜きがあるんです。
塗装完了したあとに傷をつけてしまったとか、塗装と同じく足場屋さんにも色々あります。
これは塗装屋と足場屋の話なので、お客さん側にはあまり関係ないことですが、うちにとっては結構重要な課題です。
あとは見積書の内容の話ですが、くさび足場が無料と明記されていたとしても、そのしわ寄せはほかの作業に持ちこされていると断言できます。
足場代が極端に安かったとしてもしかりです。