塗装工事前の現場調査でシロアリ発見・原因と見つけ方

僕は普段、担当である完工検査や現場調査をしているのですが、最近現場調査や工事の際にシロアリに出くわすことがありました。
今回のブログでは、ここ半年のうちに遭遇したシロアリ事例について3つほどピックアップしてお話しを致します。
シロアリが発生する原因や、発見の仕方などなど。少しでもお客様の参考になれば幸いです。

シロアリはなぜ発生するのか?
シロアリのお話をする前に、まずはシロアリが好む状態について説明する必要があります。
シロアリの好きな木の状態は、湿気を帯びた木です。
そもそも家というのは、建物の性質としても湿気がないほうが良い状態を保てるため、家の中に水が入らないように構造を考え建ててあります。
しかし、雨漏りや設備からの水漏れ、建てた際の欠陥で家の構造から水が抜けにくい場合など、家自体が湿気やすくなってしまうことがあるのです。
湿気た木材は、シロアリにとって絶好のエサとなります。
つまり「家が湿気やすくなる=シロアリをおびきよせる状態」となり、シロアリが発生するのです。

シロアリ1例目 鉄骨造のお宅

最初の事例は、古い美容室をやっているお宅でした。
建物の構造は三階建ての鉄骨造。


シロアリというと木造のお宅に多いイメージを抱かれると思いますが、鉄骨造のお宅でもシロアリは出ます。
なぜなら、骨組みは鉄でできていますが、壁の下地などで木材が使われているからです。
こちらのお宅では、塗装工事をする際に古い窓枠が板金で巻かれていたため、はがしたところ窓枠の土台(木部)がシロアリに喰われていました。

窓枠を取り外してみると、それ以外にも壁の下地である間柱も全部シロアリに喰われていることがわかったのです。

結局シロアリの駆除業者を入れ、喰われている部分を全て取り払ってから作業をすることに。
こちらのお宅がシロアリの食害にあった理由は、鉄骨自体はシロアリが寄らないものの、家の土台や地面にふれている部分に木材が使われており、なおかつ1階部分に雨が溜まりやすく湿気やすい構造だったからです。
下から徐々にシロアリの食害にあい、窓枠まで到達していたのでした。

こちらのシロアリ発見のきっかけは、窓枠の板金をはがしたことです。

 

 

 

 

塗装工事は、家を塗り直すための工事でもありますが、大事な家の健康診断でもあります。

あわせて読みたい

〔関連ブログ:シロアリの現地調査〕

築15年のお客様宅へシロアリの現場調査に伺って参りました

シロアリ2例目 ツーバイフォーのお宅

2軒目のシロアリ事例は、洋風のお宅です。ツーバイフォー工法で建てられたお宅でした。
壁は鎧貼りとよばれる貼り方で、壁用ボードをうろこ状に重ねてあります。
重なった壁用ボードが鎧のように見えることから、こう呼ばれているのです。
外壁のボードが剥がれてしまったことによる、補修塗装工事のご依頼だったのですが、壁をはがしてみると下地がシロアリに喰われていました。

地面に接している壁はなかったのですが、出窓の下にシロアリが発生し、壁まで食害が広がっていたのです。
出窓は地面から1メートルくらい離れていたものの、出窓に打ち付けた雨が水滴となり出窓の下へと流れ、湿気が残りやすくなっていました。
鎧壁の板を外したことでシロアリの発見に至りましたが、こうした家の異変がある時は、少しでも早く検査することをおすすめ致します。
というのも、シロアリは食害という文字の通り、家の木材を喰い進んでいきます。

 

少しでも早く異変に気がついて対処することが、家の寿命を延ばすことになるのです。

あわせて読みたい

〔関連ブログ:雨続きとシロアリ駆除の不足で塗装現場は大混乱!〕

雨続きとシロアリ駆除の不足で塗装現場は大混乱!

シロアリ3例目 ウッドデッキのお宅

3軒目の事例は、ウッドデッキのあるお宅です。
ウッドデッキがシロアリに喰われていました。

もともとウッドデッキの床部分に腐っている箇所があり、交換をしたいとお客様のリクエストがあったのですが、よく見るとシロアリが。

そもそもウッドデッキは90㎝角くらいの木材を組んでその上に板を渡らせているので、本来は水はけがいいのですが、どうしてもヘリの部分は木材の上に沿うように板を貼るため、水はけがよくない箇所ができてしまうのです。
こちらのウッドデッキは、土台に束石が使用されていたのですが、束石上のウッドデッキ足部分にシロアリが歩いたような跡がありました。
足部分を伝ってシロアリが床部分まで上ってきた証拠です。

こちらのお宅でもしっかりとシロアリ駆除を行い、工事することとなりました。

シロアリが発見されにくくなった日本の家

ここまで3軒の事例であげましたように、シロアリのエサとならない鉄骨や地面から離れている箇所だとしても、湿気が溜まっている木部があればシロアリはやってきます。
さらにここ最近建てられている家屋の構造も、シロアリの発見しにくさに拍車をかけているのです。
元来日本の建築の中心は、真壁(しんかべ)タイプと呼ばれる柱が表に見えていて、柱と柱の間に壁がある構造でした。しかし、現在建てられている家はアメリカから入ってきた大壁タイプで、外壁と内壁で柱を覆ってしまう作りのため、シロアリ被害に気がつきにくくなっており、被害が広がりやすくなってしまったのです。

合わせて観たいYouTube

〔関連動画:あなたのお家を守れ!シロアリ予防〕

シロアリの発見方法 番外編

最後に僕の体験で、シロアリを発見するに至った事例を一つご紹介します。
僕は賃貸の古民家に住んでいたことがあるのですが、4月から6月に羽のついたアリが自分の家から飛んでいくところに遭遇したことがありました。
最初はなんの虫か分からなかったのですが、近所の人にシロアリであることを教えてもらい慌てて大家さんに相談を。
またシロアリは飛び立つ際に明るい所にむかって飛び立つ為、外へ向かおうとするのですが、その時のシロアリの巣が家の内側にあったため、サッシにある網戸の家側(内側)が羽アリだらけだったこともありました。
シロアリは、家の木材を喰い尽くしながら卵を産み、孵化してアリが一定数になると新しい住みかをもとめて、一部のアリが巣を飛び立ちます。
こうして家々に繁殖していくのです。
4月から6月に、自分の家から飛び立つ羽アリがいないか注意してみて下さい。

もしも羽アリがいたら、注意が必要です。

塗り直しだけが成果ではない塗装工事の大切さ

塗装工事は10年に一度と言われていますが、この10年目の塗装工事は何も家を綺麗にすることだけが目的ではありません。10年に一度、家のメンテナンスをすることによってシロアリや家の不具合を発見し補修することで家の寿命は延びます。傷みが進めば進むほど、直すための費用はかかってくるのです。


シロアリは音もなく、家の中に広がります。
少しでも異変を感じたら、ご相談下さい。

 

建築施工主任 家のことを何でも出来るようにと、20代の時に長野県の木造建築の親方に弟子入りして大工の道へ進む。30代の時にはキャパシティを拡げるために農業や造園業にも従事。造園業では外構工事も多く手掛け、家に関するエキスパートとして活躍。見えるところだけではなく見えないところも手を抜かずにやるのがモットー。妻と子供2人の 4人家族。

些細なことでも構いませんのでお気軽にご連絡ください

通話料無料

0120-382-361

[電話受付時間] 09:00-20:00