もくじ
今回はなかなか見ることのできない、屋根工事の下地処理などをご紹介したいと思います。
屋根上の工事は、施主の方でもなかなか見ることができません。
足場に上り、屋根の上に立って初めて見ることができる工事なので、普通の人では現場に立つこともままならないのです。
併せて観たいYouTube 塗装工事 屋根から見える空
そこで今回は、工事の過程を写真におさめ、目の届かない屋根上の工事とはどのようなものか、屋根周辺の破風・樋の塗り分け工事も含めてご紹介します。
また、屋根工事を通して見積もりで見るポイントなども併せてご紹介しますので、参考にしてみて下さい。
屋根の塗装で大事なのは下塗り
屋根も外壁と同じ3回塗りですが、下塗りがとても重要です。
どんなに良い上塗り用の塗料を使ったとしても、下塗りがダメだと効果が全く発揮できなくなってしまいます。
弊社の場合、下地処理と下塗りは上塗りの塗料に合うことはもちろんですが、屋根材に合わせて選びます。
実は屋根塗装というと、ほとんどのお客様はフッ素や遮熱効果などがある上塗りの塗料に注目されますが、下地の塗料についてはあまり気にしていません。
それどころか、安くなるなら…と最低の下塗り剤を選ぶことも。
しかし、下地が悪いとその後の工事すべてを台無しにしてしまいます。
よくあるのは、せっかく高価な上塗りの塗料を使っても、下地の密着が弱く浮いてしまったことで、塗膜によれが出てシワができてしまうことです。
さらに屋根というのは、家の中で一番紫外線や風雨、そしてゴミなどにさらされます。
そのため屋根材の種類によっては、傷み方がひどいものも。
今回のお客様宅の屋根は、コロニアルの屋根材でしたが、屋根自体が劣化していると予想し、通常のシーラー(下地剤)ではなく強化シーラーを使うことのご提案をしました。
透明な強化シーラーは、塗ることによって硬い下地を作ってくれます。
実はこの強化シーラーですが、費用が高いためお客様に率先してすすめる業者はあまりいません。
屋根の塗装時に、強化シーラーを使わなければいけない決まりなどないので、普通の下地剤ですませる業者がほとんどです。
この下地剤というのは、一番ごまかせてしまう塗料といえます。
下塗り塗料が最低ランクのものでも、上塗りの塗料に覆い隠せば誰も気が付かないからです。
ですが土台の状態が悪いと、いくら表面を取り繕っても数年後にトラブルが起きます。
トラブルが起こってしまっては、もう多少の補修工事では収まらないでしょう。
だからこそ、慎重に下地剤を選んでいただきたいと僕は思います。
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屋根塗装3回塗りの工程
ここからは3回塗りの工程についてお話します。
まずは先ほど話題にでました強化シーラーについてです。
劣化した窯業系屋根材の塗替えに最適です。瓦にも塗れます。
さらにビス止めしたネジ頭の部分は、一つずつシーリングで防水処理を。
また屋根の棟部分にはさび止めの下地剤を使用して、塗り分けしました。
そして、中塗りは防錆剤を塗り重ねます。
お客様は遮熱性にとことんこだわっておりましたので、今回屋根の色味に白色を選択されました。
白色は遮熱塗料の中でも、最も遮熱効果が高い色です。
しかし、屋根というのはほとんどの場合暗い色が多いため、白色の屋根は家並みの中で目立ってしまうことがあります。
併せて観たいYouTube コロニアル屋根の塗装
そこで、職人が仕上げにひと手間かけました。
どんなところに手間をかけたのかご紹介します。
破風・樋の塗り分け
屋根に白色の遮熱塗料を使う際に、お客様からは屋根色が目立たないようにしてほしいとリクエストがありました。
そこで、破風や、三階部分の窓枠、樋など表から見える箇所を緑色に塗装をすることに。
塗り分けをすることで、屋根を見上げた際の印象が大きく変わります。
遮熱効果の高い白色を使いながら正面から見える屋根色は緑が目に入るため、落ち着いた印象になりました。
こうした塗り分けという作業をひとつふやして費用をかけることで、効果の高い仕上がりとなります。
外壁の状態の悪さに対応した塗装工事
外壁はアイボリーで塗装しました。
当初お客様はクリアの塗料での塗装をご希望でしたが、前回の他社が行った塗装工事に不備があり、クリアを選ぶことができなかったのです。僕としても、おすすめは油性のクリア塗料でしたが、元の外壁に塗り残し箇所があり、長年壁面の地がむき出しになっていたことで表面がカサカサになっていました。
そのため下地の状態が悪く、塗っても汚れや荒れが目立ってしまい、油性のクリア塗料を使ってしまうと汚い仕上がりになることが予想できたのです。
そこで、今回は壁への影響が少ない水性のハイブリッドシーラー(難付着)と水性塗料のべた塗りにしました。
僕は、お客様に工事方法や塗料をご提案する時、ただ「物が良いから」という理由だけですすめることはしません。
どんなにおすすめの材料だとしても、下地がそれに耐えられるものでなければ塗っても効果はでないからです。
併せて観たいYouTube サイディング下塗り 水性シーラー
お客様の家の状態を把握し、様々な手法や材料の中でベストのものを考え、メーカーなどから材料を使用した現場の事例を聞き、すべて考慮した上で、お客様宅で使用できるベストの塗料を提案します。
この屋根工事は、そうした提案の中で、お客様がお金をかけるべきところにかけて下さったことで、悪い状態の壁や屋根にもベストな対応ができました。
お客様が、安さだけにこだわってしまっていたら、家の状態に合った塗料や下地剤を選ぶことはできなかったでしょう。
塗装工事を良い物にするのは人の力
相見積もりを取ろうと考えるとき、どんな人でも一番先にくらべるのは費用です。
そしてなぜか、職人の技術や手間部分を安くしてほしいと思う方が多くいらっしゃいます。
ですが…みなさん考えてみて下さい。
もしもご自分の仕事で、1000円の賃金しか払われていないのに2000円の仕事をしろと言われたら、みなさんその仕事を引き受けますでしょうか。
つまり、良い工事をするためには職人にきちんとした金額で仕事をお願いする必要があるのです。それが良い工事への近道となります。
誰でも安くてよい物を望みますが、塗装工事においては安くていい工事はありません。
塗料などの材料は、費用の中で占めるパーセンテージは少ないため、多少材料費が安くなってもそれは微々たるものです。費用のほとんどは人工代や技術代などがしめています。ですので、塗装工事費を安くするということは、それなりの材料でそれなりの技術や職人を配置する工事しかできないのです。
では、高ければいい工事なのでしょうか?
ここが本当にこの業界の難しいところなのですが…高くて悪い工事もあります。
塗装工事の結果というのは、すぐにはわかりません。
早くても4〜5年度、もっと言えば10年後です。
ひどい工事で高額の料金を取って、会社をつぶしてしまえば保証もせずに逃げきれます。
実際そういった業者があるのは、本当に残念なことです。
だからこそ、歴史のある塗装会社で、しっかりと見積もりの内容を細かく説明があり、工事中の職人たちにもマナーのある会社を選ぶ必要があります。
ここが相見積もりで、見るべきポイントなのです。
できれば料金は二の次で、まずは内容を見て比べ、その後予算に合うように今やるべき工事と来年、再来年でも大丈夫な工事などに切り分けて、少しずつ金額を調整する…。
こうすることで、長い目で見れば一番コスパよい工事ができます。
相見積もりをしようと数社から見積書をもらった際に、塗装の項目に『下地処理』と書かれていることがあると思います。
並んでいる文字が同じでも、どの業者も同じ下地処理をするかといえば、そうではありません。みな内容が違います。
だからこそ、値段ではなく工事の内容を比べていただきたいのです。
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今回僕が工事を担当したお客様からは、「今までは外気温より室内が3度ほど上昇していたけれど、遮熱塗料を塗ってからというもの、室内が外気温よりも2度も低くなるようになった」と口コミを頂きました。
効果を実感頂けて、職人冥利につきます。これはすべて、ベストな工事ができた結果だと思います。
このブログをご覧の方には、工事をする際に一度「塗装工事に一番優先したいことはなんなのか」について考えていただければ幸いです。
もしも、安くていい工事をしたい…というようであれば、それは弊社ではできません。
値段に見合ういい工事であれば全力を尽くしますが、安くする時点で何かしらの質を落とすことになるため、良い工事にはならないからです。
今後もこの屋根工事や外壁工事のように、必要な工事と費用を見極めて頂ければ、弊社のスタッフ一丸となって最高の工事を致します。
見積書の中身を、是非ご質問下さい。
塗装職人の工事について、つぶさにご説明致します。