公園ベンチの木部取替えと保護塗装工事

今回は、公園の工事です。

区役所から依頼を受けた造園会社の仕事で、園内のベンチとテーブルを工事することになりました。

古くなったベンチとテーブルの木部の交換なのですが、工事方法に少し特徴がありますので、ご紹介いたします。

ご自宅にウッドデッキや、木製のベンチなどがある方にも共通する工事内容かと思いますので、ご参考までにご覧ください。

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傷んだ木部を取り外す

 

こちらは作業前の写真です。

全体的に木部が傷んでおり、板が外れてなくなっている箇所もありました。

鉄の枠組みの上に板をビスで留めしているテーブルとベンチなのですが、今回はこの板部分(木部)をすべて取り替えます。

 

ベンチの板は扇型になっているので、張り付ける板の幅が平行なものは取り付けられません。設備があれば僕が加工することもできるのですが、あいにく設備がないため今回は設備のある材料屋で加工をお願いすることに。

全部で55枚の板を、扇形に隙間なく連結できるよう材料屋で加工してもらいました。

 

木部の塗装方法

 

今回も木部の保護塗装には、キシラデコールを使います。

木部の防腐や防虫効果があるので、ウッドデッキなどでもよく使用する塗料です。

今回は油性タイプを使用します。臭いなどに注意しなければならない現場の場合は、油性塗料の使用をひかえることもありますが、今回は公園の中ですので臭いを気にせずに使用を。

ただし、塗り方は少し工夫をしました。

キシラデコールは、2回塗りの塗料です。

まずは1回目の塗装は、板を取り付ける前に塗りました。取り付ける前に2回塗ることもできるのですが、取り付ける際に塗装面に傷がついたりする場合がありますので、2回目は組み立てた後に塗ります。

 

古い木部を外して掃除する

 

この写真は、古い板を外しているところです。

新しい板に塗装して、乾かしてる間に作業をします。

隙間から土などが入り鉄枠が汚れていましたので、ケレンなどをする際に使用する固めのスポンジを使って汚れを落としました。これで下準備は終了です。

ちなみに今回は予算の都合などで、上の木部だけの取り換え工事でした。そのため、鉄部の塗り直しはしません。

鉄部の塗り直しをするには、鉄部のケレンや錆止め、塗装など手間がかかるため、それなりの費用がかかります。また、公園の遊具などは、さびて形が変わっている場合などもあるため、そうなると3回塗りは必須となり、通常の鉄部塗装よりも費用が高くなる場合もあるのです。

今回のベンチとテーブルについては、そこまで鉄部の傷みはありませんでしたので、そのままとなりました。

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新しい板に座彫りをして板を鉄部に留める

 

次に皿ネジの頭が板からでっぱらないように、座彫りをします。

ドリルのアタッチメントを変えて、板の削りを。

ただ、この時の穴あけは慎重に行います。

というのも、鉄枠には板を止めるためのネジがあるのですが、真ん中に空いていなかったり、年数が経っているためネジがねじ切れていたりするものもあるからです。

新しくネジ穴が必要な鉄枠には、メスのネジ穴(タップドリルがもめるようなスクリューのもの)を新しくあけなおします。

 

穴をあけたら、いよいよ板の取り付けです。

この時、板を並べるように続けて取り付けるのではなく、1枚ずつ飛び飛びで取り付けます。

というのも、1枚取り付けて、隣を飛ばして隙間をあけながら張り込むと、板のずれが少なくなるからです。

 

まず板の真ん中に穴をあけて、鉄枠のネジ穴と合わせます。そこからもう一方のネジ穴位置と合わせ取り付けをします。

同じ要領で、1枚間をあけて次の取り付けをして、第一段階は終了です。

 

実は、この鉄枠にあいている穴は均一でない場合があるため、取り付ける際にプロならではのバランス感覚が必要となります。

何度も位置を確認しながら、隙間が均一になるよう微調整をして取り付けると綺麗な扇形になりました。

 

古い板を取り外して、掃除し、新しい板を取り付けるところまでお話しをしたのですが、その際には端から詰めるように板を張り込むのではなく、1枚ずつ隙間を空けて張り込むとご説明を。

1枚ずつ間を飛ばして板を止めたのは、バランスのためだけではありません。

 

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隙間をあけた状態で2回目の塗装する

 

バランスを見るために1枚飛びで取り付けた板ですが、塗装する際にも1枚飛びの必要があります。

それは隙間があいていることで、1枚1枚の板に塗料が塗りやすくなるのです。

今回は2回塗りなので、ネジ留めした後に隙間などにも塗り残しが無いように塗装をしました。

微調整をかけて、間をあけながら板の貼り付けがおわったら、次に間を埋めるように残していた板をとりつけます。

ネジ穴位置をすべて決め取り付けたら、今度は先に2回塗りが終わった木部を取り外し、また板と板の間の隙間をあけ、残った板に塗装をするのです。

 

先ほども少しお話ししましたが、板の2回塗装を終えてから取り付けることもできるのですが、それですと傷がついたり手の痕がついたりします。

それを避けるために、1回塗りが終わったところで鉄部に板を取り付け、ネジ留の位置を決め、2回目の塗装を施すのです。

しかし、結局塗装した板を外す時に職人が触ることになるので「一度取り付けたものをまた外せば、その時に傷や手のあとがつくのではないかな?」と思う方もいらっしゃるでしょう。

 

もちろん、多少は傷などのリスクはあるのですが、2度塗りした板に穴あけや板の位置を合わせるために微調整をするのと比べれば、もうすでにネジを留める位置が決まっている板を取り外して再度取り付けるだけなので、塗装した板に触れる機会はぐんと減ります。

取り付けた板をまた外すのは手間ではありますが、隅々まで塗装するためには大事なひと手間なのです。

 

テーブルの板を張り替え丸鋸で形を整える

 

テーブルは、板を張り付け、その後真ん中に穴をあけてコンパスのようなもので丸く線を引き、周りを丸鋸で切ります。

 

するとこのように、円のテーブルとなるのです。

切り落とした小口は、またキシラデコールを2回塗りします。

今回使用したキシラデコールは、非常に使い勝手や持ちが良い塗料ではあるものの、ひとつだけ難点があるのです。

それは、乾きが遅いこと。

 

通常の外壁塗料であれば、塗ったその日に乾くものもありますが、キシラデコールは1週間ほど時間がかかります。

ましてや、ここはベンチとテーブルなので、乾く前に座ってしまったら洋服などに塗料がついてしまうでしょう。

そのため、工事が終わったら周りをコーンで囲い、1週間保護をしました。 

これで、公園に設置されたテーブルとイスの木部交換は終了です。

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プロならではの木部の交換

 

このベンチや床など、隙間なく並べた木部の張り替えはコツがいります。

ただ順番通りに張り付けても、等間隔にはなりません。

塗装についても、細部まで行きわたらせるためにプロならではの手順があるのです。

 

今回は公園の木製テーブルとベンチの木部交換でしたが、同じ工法でウッドデッキや木製のバルコニーなどにも同じ塗装や工事ができます。

ご自宅にあります木部の交換や塗装など、ご希望がありましたらいつでもご相談下さい。

しっかりと塗装して仕上げれば、雨ざらしの場所に設置される木部も持たせることができます。

塗装職人では、細部の塗装や工事も丁寧に仕事いたします。

 

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内藤
建築施工主任 家のことを何でも出来るようにと、20代の時に長野県の木造建築の親方に弟子入りして大工の道へ進む。30代の時にはキャパシティを拡げるために農業や造園業にも従事。造園業では外構工事も多く手掛け、家に関するエキスパートとして活躍。見えるところだけではなく見えないところも手を抜かずにやるのがモットー。妻と子供2人の 4人家族。
建築施工主任 家のことを何でも出来るようにと、20代の時に長野県の木造建築の親方に弟子入りして大工の道へ進む。30代の時にはキャパシティを拡げるために農業や造園業にも従事。造園業では外構工事も多く手掛け、家に関するエキスパートとして活躍。見えるところだけではなく見えないところも手を抜かずにやるのがモットー。妻と子供2人の 4人家族。

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