もくじ
家の仕上がり具合や、塗装工事をした1年後、2年後の姿というのは、なかなか他の家と並べて比べることが出来ないため、外壁の塗装が仕上がってもその状態が良い状態なのか悪い状態なのか判断がつかないお客様が多くいらっしゃいます。
そこで、今回はこのような状態になった場合には注意が必要という建物2つと、どのようにして悪い状態を回避すればいいのかということをご説明致します。
新築のRC造りの壁に目立つタッチアップ跡
先日、近所の道沿いにあるコンクリート打ちっぱなしの建物がついに完成しました。
道を通る度に工事の過程を眺めていたのですが、コールドジョイントなどもあり、建物としての仕上がりが気になっていたのです。
足場がなくなると、正面の壁に2箇所タッチアップ(補修)してあるところが目に入りました。
一つは壁のつなぎ目を埋めるためのタッチアップなのですが、もう一つはミスを隠すタッチアップかな?と思われる箇所が。
またよく見ますと、ブリード(エポック樹脂などを使った際にでる「にじみ」)も出ているようです。
脚立を立てれば十分手が届きそうな位置なので、もう少し丁寧に手をかければ綺麗に仕上げられたかもしれないな…と思いました。
現在竣工してから時間もたちましたが、相変わらず写真の状態で放置してありますので、施主様から業者に何も言わなかったのではないかと思います。
本来、RC造りの建物になれている業者であれば、もっとよい仕上がりになったかもしれません。
お客様の中には、相見積もりを取った際に金額だけを見て業者を決める方がいます。
本当であれば、その会社のこれまで手がけた建物や実績、どのような工事をして不具合が出た際にはどのような対応をしてくれるかなどを比べなければならないのですが、ざっくりとした「RC構造の建築工事」という枠組み内の金額で比べて工事内容は比べないのです。
RC構造は地震にも強く、しっかりと建てればそれなりに費用もかかります。
もしも見積もりの金額に10万円以上の開きがでるようなら、業者の工事内容を精査すべきなのです。
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国道沿い、塗装後1年で汚れが目立つ外壁
次に、国道沿いにあるこちらの建物をご紹介します。
この建物は、まだ塗装して1年しか経っていないのですが、すでに表面に汚れがついている状態です。
また建物に天板部分もあるため、排気ガスがたまりやすくなりその影響を建物が受けて黒ずんでいます。
なぜ、こんな国道沿いでこのような白い塗料を選び塗装をしたのか……。
もしも僕が施主だったら、1年後にこの外壁をみたらがっかりするでしょう。
国道沿いは排気ガスの影響がでるので、排気ガスの汚れが付きにくい塗料や、汚れが目立ちにくい色を僕なら提案します。
そうすることでたとえ汚れてしまっても、美観をある程度保つことが可能だからです。
ただ、いくら僕が提案をできたとしても、お客様に選んで頂けなければ意味がありません。
以前、門塀の塗装をご依頼下さったお客様がいらっしゃいました。
お客様が選ばれた塗料の色が汚れの目立ちやすい色でしたので、汚れるのを防ぐためにオプションを提案したのですが、お客様はカタログをご覧になって「この塗料は低汚染と書いてあるから大丈夫でしょ!」と言ってオプションの塗装はしないことに。
結果は、完工後数ヶ月で汚れが付いてしまいお客様は慌てていらっしゃいました。
「何か今からでも出来ることはありますか?」とご質問を頂いたのですが、すでに塗装が終了した状態ですと、もうオプション加工が使えないためメーカーでは打つ手がなく……前に僕が試してみて多少汚れを落とすことができた事例をご紹介させて頂きました。
塗装というのは、最初に正しい選び方をしておかないと、後から補正しようと思っても不可能となります。
環境に適した塗装を選ぶためには、業者の適切な提案とお客様がその提案を適切に判断することが必要なのです。
お客様に塗料の持つ良いところと悪いところを伝えることの重要性
塗装会社の営業の中には、仕事を取るために塗装した際の良いところだけしか言わない営業もいますが、僕としては塗装には必ず副作用があるからこそ良いところも悪いところも全て伝えるべきだと思うのです。
塗料はある意味、病気の際に処方される薬と同じといえます。
体を治すための薬に副作用があるように、家に塗る塗料にもかならず副作用があるのです。
だからこそ、そうした副作用=トラブルを知っておくことが大事ですし、そのトラブルを回避するための塗料のオプションがあります。
この塗料にプラスするオプションは、どの家も同じオプションを使用するわけではありません。
家によって、少しずつ環境や工事内容が変わるため、これを提案する営業にも技術と経験が必要となります。
僕は、もともと防水工事の職人です。
だからこそ塗装や防水のことを深く知り、工事の内容についても全容を把握することができます。
そうした知識と塗装職人30年の経験から、適切なオプションを提案することができるのです。もちろん、把握しているからといって自分の提案を過信したりしません。
というのも、長年この業界にいるからこそ自分の勘や考えだけで工事を進めてしまう恐ろしさを知っているからです。
僕は一つの物事を進める際に、必ず多方面から確認してみるようにしています。
そして自分の考えだけではなく、塗料メーカーさんに意見を聞いたりベテラン職人に意見を聞いたりして、最終的に提案をまとめるのです。
こうした様々な方面に確認することで、お客様に塗料の良いところと悪いところを踏まえた提案をすることができます。
お客様も塗料の良いところと悪いところを知ることで、適切な工事内容を選ぶことができるのです。
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家にあったグレードの工事、塗料を選ぶために必要なこと
今回ご紹介した工事に関して、最初のコンクリート打ちっぱなしの新築は業者のグレード、職人のグレードによって起こった結果です。そして国道沿いの建物は、職人のグレードもありますが何よりも塗料のグレードと言えるでしょう。
どのグレードも、高い物を使えばいいということではありません。
適材適所があるのです。
RCの建物を建てたいのであれば、ちゃんとした技術のある業者にきちんとした費用を払ってお願いすることが大事ですし、塗料のグレードは塗装箇所に合ったグレードと、外壁の状態にあわせてプラスするオプションがとても重要です。
塗料に関して言いますと、最近では「20年持ちます!」と謳っている文句を信じてその塗料を選ぶ方がいらっしゃいますが、その20年は吹きさらしの自然環境の中の20年ではありません。
そうしたネット上のあおり文句に騙されず、塗料の特性をしっかりと把握して施工をすれば、今回上げたような結果を避けることができるでしょう。
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必ず、原因があって結果があります。
工事をする際に、何を基準に決めたかによってゴールは決まってくるのです。
お金で工事を決めればそれなりの工事になりますし、技術や内容で決めれば技術や内容なりの工事になります。
私達はお客様に工事内容を押しつけることはできません。必ずお客様に選んで頂きます。
だからこそ、正しい知識を持って選んでみて下さい。