もくじ
昨年横浜のお客様宅で、補修塗装工事を行いました。
その工事は、工事自体もいろいろとあったのですが、建物自体の問題や、近隣とのトラブルもありましたので、通常の工事よりも時間を要すことに。
シロアリ被害の原因とは
外壁の塗装工事と雨漏りの補修工事で依頼を頂きましたが、実際現場調査に伺ってみると、サッシの周りにある木枠には怪しい穴が開いてスカスカになっていました。
これは、シロアリです。
雨漏りしたことで内部が腐り、どこからか登ってきたシロアリに壁の内側を喰いあらされていました。
こちらのお客様宅の工事は、内藤のブログでもご紹介しておりますので、工事の詳しい内容についてはそちらもご覧下さい。
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では、このシロアリはどこから来たのでしょう。
実はシロアリというのは、地面から這い上がってきます。
そのため、地面から続く箇所が無ければ上がってくることはできませんし、上がってきたとしても乾燥した場所では餌となる湿気を含んだ建材がなければ生きていることは出来ません。
しかし、地面から這い上がる路があり、壁面の中が湿気ているとあっという間に繁殖します。
こちらのお宅では、すこし特殊な断熱材の入れ方がしてあり、その断熱材が原因でシロアリを壁の中に呼び込んでしまっていました。(詳しくは次の章でご説明いたします)
またこの壁中に湿気が溜まってしまった原因として、お客様による壁面のシーリング工事も一役買ってしまったのです。
タイルの壁面に割れがあり、そこから雨水が出ていたそうなのですが、そこを応急処置的にホームセンターで購入したシリコンのシール剤を塗って塞いでいました。
しかし、こちらの雨漏り原因は、もっと外壁の上部に原因があったのです。
お客様が雨漏りの応急処置として箇所は、雨の入り口ではなく出口だったため、壁の中に入り込んだ雨水は出口を失い湿気が壁内部に溜まり腐敗の原因に。
また使用してあるシリコンも、いわゆるお風呂場などに使用するためのシリコンだったため、熱だけには強いものの他には用途に適しておらず、塞いだシリコンが劣化し、ますます傷みもひどくなってしまっていました。
通常外壁に使うのは、変成シリコンなどなのですが、シーリングの職人でもない限り、ほとんどの方はこのことを知りません。
ホームセンターで「シーリング・壁用」などと売られていれば、それが間違ったものだと気がつかず使ってしまうでしょう。
こうしたお客様のいわゆるDIYで、家の傷みが加速してしまうケースはよくあります。
今回はまだ、補修ができたのでよかったのですが、屋根などに塗ってはいけない塗料を塗ってしまい、剥がすことも出来ず塗装ができなくなってしまうことも。
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土台がダメになってしまえば、いくら上に素晴らしい材料を塗り重ねようとしても、できません。
自分で補修出来るところは自分で…と考えるお客様は多くいらっしゃいます。
しかし、家の造りというのは想像以上に複雑で、水と油のような合わない素材をうまく納めなければならない箇所がたくさんあるのです。
DIYで補修しようと考える前に、まずは一度プロの意見を聞いてみて下さい。
すこし話がずれてしまいましたが、DIYの難しさについて少しでもご理解頂ければ幸いです。
併せて観たいYouTube あなたのお家を守れ!シロアリ予防
ここまでは、雨漏りが悪化しシロアリを呼ぶこととなった流れをご説明しました。
では、この雨漏り自体の原因はどこだったのでしょう。
次でご説明致します。
雨漏りの原因とご近所トラブルの原因
ここからは、いよいよ雨漏りの原因です。
この雨漏りの原因ですが、「これだ!」と分かる大きな原因はなく、予想するに目地の塗り、シール材の研磨などから雨水が内部に染みこみ、中に溜まり出口が無く乾燥することがなかったため、内部を腐食させていました。
というのも、こちらのお宅の補修工事を前回した担当した業者が、いろいろとトラブルの原因となってしまう工事をしていたのです。
例えば、壁面を見ると、3階の窓向かって右側の一部だけタイルの色が変わっている箇所があるのに気がつきますでしょうか。
これは、クリアー材の塗り忘れです。
塗り忘れがあきらかで、紫外線によって変色してしまっています。
このようなお仕事に対する姿勢、工事の結果から、雨水が浸入し雨漏りとなっていったのです。
次に挙げられるトラブルの原因が、断熱材です。
上記でも少しふれましたが、こちらの建物はすこし特殊な断熱材の入れ方がしてありました。
通常の断熱工事は『土台の隙間に断熱材→壁下地→防水シート→サイディング壁』の順番で行います。しかし、この家では外断熱工事が採用され、『土台→コンパネ→断熱材→壁下地→防水シート→サイディング壁』となっていました。
外側断熱は工程が多くなる分、それだけ壁の厚みも増しますが、断熱材が地面についてしまうことがあるのです。
ですので、工事する際には十分に注意しなければなりません。
しかし、処理が甘かったため断熱材が地面についてしまい、シロアリを呼び込む結果となっていました。
そして残念だったのが、この断熱材が隙間無く埋め込まれていたため、以前シロアリが発覚した時に壁の要所に駆除剤を注入したものの、この断熱材が駆除剤を堰き止め、細部まで届かなかったのです。
前回の工事をした業者の施工の甘さは、各所に見て取れます。
今回塗装職人としては、こうした塗り残しが無いように隅から隅までしっかりと塗り上げ、シーリングもし、補修工事もしたので、壁の塗装が終わったあとは雨漏りを止めることができました。
前回の業者は大雑把な工事をしたのか、それとも詰めが甘かったのかはわかりませんが、しっかりと工事をしていたら、雨漏り被害がここまでにならなかったのかもしれません。
そして、この工事が甘い業者のトラブルはこれだけでは無かったのです。
今回担当しました横浜市の補修塗装工事ですが、シロアリが発見され、そこから雨漏り、そして雨漏り原因の追及を行ったところ、アクシデントや業者の工事の甘さが悪影響を及ぼしていることが分かりました。
いったい、どんな悪影響を及ぼしていたのでしょう。
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業者の不手際もご近所トラブルの原因になる
以前工事をした業者ですが、工事の最中工事以外の面でもいろいろ問題があったようです。
お隣の敷地に無断で侵入をしたり、お隣の駐車場に許可もなく道具を置いたりなど。
トラブルの種を残すような工事をしていました。
そのため、ご近所の方が相当ストレスをためていらっしゃったようです。
工事を始める前に、ご挨拶に伺ったところ「前回は境界にあるフェンスを、職人が乗っかって曲げてしまったり、敷地に入って作業したりしたことがあったので、くれぐれもそうしたことをしないようにと…」と注意を受けました。
もちろん、前回の工事を行ったのは弊社ではありません。
しかし、お隣の方からみればどの業者も似たようなつなぎを着て工事するため、同じように見えるのでしょう。
また乱暴で粗雑な工事をされるのではないかと、不安になる気持ちも分かります。
さらに、他にもお隣と少し確執があったため、そこもさらに影響していたのかもしれません。
今回の工事は、このようなトラブルからお隣や近隣の方にご迷惑がかからぬよう、細心の注意を払っていました。
しかし、風の強いある日にまとめていたゴミがお隣に飛んでいってしまったこともあり、その時は非常にお叱りをうけたことも。
それ以外にも、工事の仕方や状況のことなど、1日に4時間ほどお隣の方とお話した日もあったほどです。
もともとは、こちらの写真通り、お隣との境界部分の面積が狭く、建物が敷地ぎりぎりに建っているために、お隣への越境なくしては非常に工事も難しいことが予想できました。
ですので、前回の業者がお隣に越境して作業してしまったのも、理解はできます。
しかし、きちんと挨拶も断りもせずに無断で工事をすることは、ありえません。
塗装職人では、礼儀を何よりも大切にします。
近隣や施主様への挨拶もそうですが、言葉遣い、休み時間の取り方、職人同士の雑談、どれをとっても、お客様に不快な思いをさせないように気をつけているのです。
工事現場にいる職人というものを想像すると、ガラの悪い男性をイメージする方も多いと思います。
弊社には、そのような職人はいません。
それくらい、弊社では工事の技術もさることながら職人の質というものも重要視しています。
今回も、お隣とのトラブルはありましたが、僕だけで無く職人達も細心の注意を払い、すべてしっかりと作業したおかげで、無事工事が終わりました。
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全ての原因をたどり、丁寧に対応することの大切さ
工事自体は、シロアリの駆除もあったので、足場を組む前に第1段階の工事があり、その後足場を組んだ後に通常の塗装工事を行い、前期後期と工事時期を分けました。
塗装工事をする前に、しっかりと準備ともいえるシロアリ駆除工事をする必要があったからです。
通常僕は、あまり壁などは壊さずできるだけ建物を温存できる方法を探します。
家への負担を最小にして工事をすることが、家を持たせることに繋がると思っているからです。
しかし、今回はサイディングを剥がししっかりとシロアリを駆除しました。
予想していたよりもシロアリの浸食が進んでおり、駆除剤の注入が難しく、この方法でしか家を修復できないと思ったからです。
そのため、最初の見積もりよりも大幅に費用はかかりましたが、すべてお客様に患部を見せて工法や建材にご納得頂いた上で工事をしました。
時には、こうした大きな工事を行うことも大事な判断なのです。
しっかりと下準備をしたことで、その後の外壁塗装も美しく仕上げることができました。
今回は工事として仕上がりだけではなく、近隣や施主様へのケア、礼儀、そして準備などトータルな工事だったと思います。
工事内容も含め、非常に難しい工事でしたが、最後は口コミまで頂けて非常に嬉しく思いました。
一つ悔やむのは、前もってさまざまなトラブルの状況を知っていれば、工事の前半ももっと上手く対応できたのではないかということです。
工事をご依頼の際には、是非全ての状況をお伝え下さい。
施工した時のこと、気になる箇所、起こっている不具合、そして近隣との状況など。
全てお伝え頂ければ、いろいろと工事内容を工夫することができます。
今後も、お客様のかゆいところにピンポイントでしっかりと手の届く工事をするために。
職人と営業、そして会社が一丸となって工事に取り組んで行きたいと思います。