もくじ
今回は、雨漏りの原因や施工不良など、塗装のトラブルをご紹介します。
このトラブルを話す前に、雨漏りについてお話致します。
雨漏りの原因を探すのは大変
雨漏りの原因を探すのは、非常に大変です。
つい「雨の侵入箇所をふさげば、修繕できるかな?」と軽く考えがちですが、雨というのは、数ミリの穴からも侵入します。
侵入した雨の逃げる場所が無いと、逃げ場を探して隙間に流れてしまうのです。
その流れが、いつのまにか「水みち」になります。「水みち」が家屋の木部をじわじわと侵食し、腐敗させるのです。
雨漏りの原因を探して塞いでも、実は他にも原因があって雨漏りが止まらない…なんてこともよくある事例です。
3度目の防水工事で、ようやく雨漏りを止めた施工もありました。
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ですので、雨漏りの原因を探すとき、僕は自分の知識も疑っていろんな人の意見を聞いて、慎重に慎重を重ねるのです。
そして原因究明には、知識と経験が必要。あいまいなスキルで行われた工事は、むしろ雨漏りの原因となってしまうのです。
今回は、そんな雨漏りが原因でご相談を頂いた例をご紹介します。
笠木処理の杜撰さが原因で雨漏り
まずは、この「陸屋根」のお家の雨漏りについてです。
フェンスの外に屋根を囲む塀があるのはお分かりになりますでしょうか?通称「パラペット」と呼ばれる屋根の立ち上がりの部分です。
陸屋根を囲む塀(パラペット)には、「笠木」というアルミでできた屋根をかぶせてあるのですが、今回のお宅は笠木の水を排出する部分の隙間に、防水処理を施して塞いでありました。
笠木の連結部にも処理した形跡があるのですが、その連結部の隙間から水が入り込み、防水処理が防がれた笠木の中に水をため込んでいる状態でした。
そのため笠木の中にため込んだ水が、ひび割れから天井裏の木の部分に逃げてしまい、天井裏はかなり水を吸ってしまっている状態に。
陸屋根にせっかく防水材を何回も塗ったり張ったりしているにもかかわらず、笠木部分の処理を間違えたことで、深刻な雨漏り状態を起こしていたのです。
さらに笠木の連結部の隙間から入り込んだ水は、水みちをつけて建物の中に入り込んでいたので、水みちの周りも建物を傷めていました。
実はこの笠木の水はけ出口を塞いでしまっていた工事は、ここで名前は言えませんが…よくテレビでCMが流れる大手会社の施工も絡んでいるのです。
大手ハウスメーカーの施工に困ったお客様が、弊社にご相談くださった記事があります。
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この家のお客様も、大手の会社だから安心してお願いしていたのに…とおっしゃっていました。
この施工は、言うなれば初歩的なミスです。
水の出口に栓をして、入口から水を注ぎこめば中に水がたまるのは明白だからです。
笠木の中は通常、防水処理をするので多少の水には強いのですが、水が溜まってしまうのには耐えられません。
多少の水…というのは、笠木の連結部から侵入する雨や、ネジ沿いに入り込む雨などのことです。
笠木の施工の誤りによって、雨漏りが発生していた例はほかにもあります。
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こう聞くと、連結部やネジの部分を防水剤で塞いでしまてば、入口から水が入るリスクも減るのではないか…と思う方もいらっしゃると思います。
ですが笠木の連結部分は、剥離をするように仕上げるもの。それは笠木の素材であるアルミが熱で膨張するため、動きが出るからです。
そこに防水をかぶせてしまうと、笠木が熱で膨張した際にその動きにつられて防水の膜が破断するなどの問題を引き起こす可能性があります。
そのため、わざと隙間を空けて剥離するように仕上げるのです。
笠木の素材のことや、仕組みを理解していれば、このような水はけ口を塞いでしまう…という工事はしないはずなのです。
しかしながらこの写真を見ると、なんとなく連結部分に処理をした形跡はあるものの、笠木の膨張を甘く見ている感があります。
そうした様々な要因で、連結部分にできたヒビが床までいってしまったのでしょう。
本来であれば、雨漏りの原因を探すのは本当に大変なのですが、今回のお宅はあまりにも分かりやすすぎて、「ドッキリか何かかな…?」と不安になるくらいの現場でした。
別壁素材を直に重ねていたことが原因による雨漏り
次は、こちらのお宅です。
こちらのお宅は壁に、ALCと呼ばれる壁素材とモルタルという壁素材の複合壁です。
異なる素材の間に間接の役目をするシーリングを打たず直に重ねていたため、大きくひび割れてしまっていました。
そこから雨が侵入し、雨漏りの原因となっていたようです。
「ALCとモルタルを直に重ねる」というのは、例えるなら骨と骨を直接くっつけただけなので、かたい部分がぶつかり合って割れてしまった…というイメージ。
人間の骨と骨の間には、間接部分に軟骨や滑液などのクッションの役目をするものがあります。言うなれば、この壁はクッションがない状態で繋げている状態なのです。
家は様々な条件で揺れたりするのですが、その時にこのALCとモルタルでは違う動きをします。これが原因で、大きなヒビになってしまったようでした。
ではなぜシーリングを打たなかったのか。それは、この壁がバブル期に工事したものだったからです。
当時はシーリングを打つ工事の知識があいまいだったこともあり、シーリングを打つ業者と打たない業者があったようです。
この工事も、知名度のある有名な会社様のものでした…。
現在はALCとモルタルで重ねるのであれば、シーリングで誘発目地を作り、摩擦を軽減します。
誘発目地についてはこちらにまとめているので、併せてご一読ください。
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お伺いした時は割れていてどうにもならない状態だったので、バールでこじ開け、割れているところをカットし、シーリング材を入れて工事することにしました。
また、ダブルシールと言われる工法で、シーリング材を2つ、それぞれを剥離させることで水が浸入する際の堤防を二つにする方法を取りました。
割れている「地」にコーキング剤を打って、動きに対応するようにして、さらにモルタルで壊れた部分の壁と目地を成型し、その後また目地にシーリング材を打ちます。
こうすることで、目地の防水で水の侵入を防ぎ、さらに目地の下に入り込んだ際には内部のシーリング材で水の侵入を防ぎます。
計2回雨の侵入を防ぐことで、より確実な防水になるのです。
知名度や大手だから工事の質が良い、ということにはならない
知名度のある会社様の施工で、壁の構造計算がうまく出来てなかったためにひび割を起こしてしまったご相談も受けたこともあります。
その家は、塗装をして5年も経っていませんでした。
僕のブログで何度かお話していますが、大手会社だからと言って、必ずしもいい工事をしてくれるわけではないのです……。
実は今回、別の現場でこの大手会社のあからさまな手抜き工事現場に出くわしました。それについては、次のブログで書きたいと思います。
つづく
【ヤフー知恵袋・雨漏り関連】
屋根塗装後に雨漏りです。築13年で外壁塗装の塗り替えと合わせて実施しました。
リフォーム業者に見積を依頼したところ、屋根(カラーベストコロニアル(ノンアスベスト))が30~40箇所ほど割れていました。