もくじ
一戸建ての外壁塗装を依頼する際に、塗装工事ができる箇所とできない箇所があることをみなさんご存じでしょうか?
実は塗料というのは、塗ることのできる素材と塗ることに向かない素材があるのです。
これはホームセンターで売っている塗料から業者用の各種メーカーの塗料まで、すべての塗料に共通していること。
特にアルミ素材などは、あまり塗装することに向いておらず、塗装工事の際にはアルミサッシの窓枠などは塗りません。
ですが、このようなことは一般のお客様はあまりご存知ないかもしれませんね。
塗ることができない箇所に、お客様から塗装してほしいとご依頼をいただくことがあります。
今回の記事では、このような際にどのようなことが塗装職人にできるのか、そして塗装職人の目指す工事とはどんなものなのかお伝えできればと思います。
塗装工事で塗れる箇所と塗れない箇所とは
塗装職人が工事できるのは、屋根や壁の塗装を中心とした、塗料を塗れる箇所です。
ですが、家というのは左官や板金、シール、サッシなどさまざまな職人技が複合されてできていますので、塗装ができない箇所があるのです。
意外なものでいうと、ポストは塗れません。
お見積もりなどに伺った際に、一番ご相談を受けるのが玄関や擁壁などにあるポストなのですが、実は塗装できないものがほとんどです。
最初に少し触れましたが、アルミやステンレス素材は塗膜の密着が悪く、数年経つと剥がれてきてしまうからです。
塗装できない箇所は最適な方法をご提案
今回のお客様も、お見積時に壁と屋根塗装以外に、ポストの塗装をお願いできないかとご相談頂きました。
ポストはステンレス製のもので、ダイノックシートが張り込んでありました。
ダイノックシートというのはフィルム状のシートで、スチール製のドアの上などに貼って素地の部分のスチールが錆びないようにするためのシートです。
ダイノックシートは、10数年経ったためにコーティングが剥がれ見るも無惨な姿に…。
たしかにこのポストの状態では、せっかく外壁がきれいに塗り上がったとしても、この一か所だけ汚点が残る状態になってしまうでしょう。
とはいえ、この小さな箇所のためにダイノックシートなどをはる職人を呼んで作業をしてもらえば、工事費用がグンと高くなってしまいます。
他にもステンレス製のドアなどがあって、それと合わせた工事というのであればよいのですが。
そこでもろもろご説明した上で、ホームセンターなどでダイノックシート施工などのご相談してみてはどうですか、とご提案しました。
ところがその後すぐにお客様がホームセンターに相談したところ、ポストの工事は10万円という見積もりが出てきたのだそうです。
あまり安いとはいえない金額に、何か別の方法がないかと考えていたところ、ちょうど近くで話を聞いていた職人の原本から提案がありました。
「ダイノックシート施工職人としてプロではないが、それでよければ張りましょうか?」と。
原本は塗装の職人としては一級塗装技能士ですので、腕はピカイチです。
しかし、そうはいってもダイノックシート施工職人ではありません。
本来であれば原本に菊池の方から「ダイノックシートを張ってくれ」と指示することはできません。
これはある意味、和菓子職人に「クッキーを焼いてもらえない?」とお願いするようなもの。
菓子を作っている…という点から考えれば、大きくは同じジャンルであるものの、和菓子とクッキーでは材料から作り方までがいろいろ違います。
塗装の職人に対して、菊池から専門外の職人に無茶な指示はすることはできないのです。
ですが原本は自ら提案してくれて、それにはお客様も非常に喜んでくださり、施工させていただくことになりました。
ただしあくまでもプロとしてお引き受けする仕事ではないので、サービスの一環として実施します。
ポストへのダイノックシート施工方法
それではここで、原本が行ったポストへのダイノックシート施工についてご紹介いたします。
原本は、普段から新しい技術についていろいろと調べている勉強熱心な職人です。
そのためダイノックシート施工についても、詳しく調べて自分でもいろいろ試していました。
まずはお好み焼きのヘラのような、スクレーパーと呼ばれる道具で汚れをそぎ落とし、ダイノックシートを取り除きます。
このとき、ポストについた飾りも取り外しました。
スクレーパーでそいでも、ダイノックシートを張り込んだプライマーは落ちませんのでシンナーを使ってきれいにプライマーを除去。
その後、表面をきれいに拭いてからプライマーを塗り、新しいダイノックシートを張り込み、とっておいた飾りをつけて完成。
結果、このようにきれいに仕上がりました。
お客様にもご満足頂き、また非常に喜んでいただけました。
お客様と職人と塗装職人として満足のいく工事とは
工事を終えて、外壁も屋根も、そして玄関のポストもきれいになったのを見て、お客様は大変ご満足されて、同時に非常に喜んでくださいました。
私たちの工事でお客様が喜んでくださったこと。これには、私もとても嬉しく感じました。
やはりこの塗装工事という仕事は、お客様の満足と私たち業者の満足があって初めて良い工事になるのだと思います。
先日のブログでも書きましたが、菊池は見積もりに伺う際に必ず早めに現場到着して、お客様のお宅のご近所を見て回ります。
建て売りなど、似たデザインのおうちであれば特に念入りに見回ります。
というのも、建て売りのお客様の場合、壁や屋根だけでなく装飾まで非常に似ているお宅が多いからです。
そして隣近所の外壁は、我が家の塗装をする際の一番の基準となるからです。
ご近所のお宅ではどのような箇所を塗装しているかリサーチをして、もしもこうしたポストやドアなども塗装されている場合は、お見積もりの際にご説明が出来るようにしています。
塗装工事とは関係のない箇所だとしても、家に必要な工事であれば大抵のことはお答えできる。それが塗装職人見積もり担当のプライドなのです。
ダイノックシートの工事例です
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お客様に満足していただける工事のために
今回の記事では、自宅には塗装ができない箇所があることについてご紹介しました。
塗料が対応していない以上は、確かに塗装そのものはできません。
しかし今回のポストの例のように、代替案のご提案は可能です。
菊池は、いつでもお客様が望む施工をできる限り実現できるようにと考えています。
もちろんお見積もりさせていただくにあたって、なんでも闇雲に提案をするわけではありません。
工事のトータルバランスとコストを考え、完工後にお客様が満足していただけるようにご提案することが大切なのです。
これからも今回の現場のように、お客様そして塗装職人のスタッフ両者に達成感のある施工ができるよう精進いたします。
お客様と職人をつなぐ「見積もり担当」の役割について、こちらにも詳しくまとめています。
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