「外壁塗装は15年保証します」
こんな現実離れした保証の話を久しぶりに聞きました。
以前はよくありましたが、まだそんな話が存在していたんだ、そんなんだから、塗装工事のトラブルは絶えないんだと、しばらく気持ちの収まりがつきませんでした。
その話をお客さんから聞いたのは横浜市泉区緑園都市でのこと。
私が見た住宅街のなかでも、この場所ほど大きい住宅街は知りません。どの家もデザインに凝っていて、この地域に住んでいるというだけで、ある意味ステータスが感じられる場所です。街並みもピシッと整理されていて、昼間はとても閑静な住宅街です。
工事の挨拶まわりでご近所に伺うときには、あまりにも静かな雰囲気が漂っているため、自分自身、なんか悪徳セールスマンなどの不審者と誤解されないかと、少し不安になります(笑)。
そしてこの住宅街も築10年を経過した家ばかりなわけですが、それに伴って多くの塗装業者が出入りしています。たまに行くと必ずどこかで足場を組んで工事しており、多くの塗装業者がせめぎ合っている場所でもあります。
実はうちでもつい先日、塗装工事を終えたばかりでした。
そのお隣から見積もりのご依頼をいただいた時、他の業者さんからも同じく見積もりをとられているということ。今は珍しくない話です。その業者さんは工事保証は15年つけると話したそうです。
外壁塗装の場合、この保証は「塗膜のはがれ」に適用される場合が多くなります。それも外壁のみという場合が少なくありません。言い換えれば、木部や鉄部の塗膜のはがれは保証の対象外です。
実際のところ、外壁から塗膜のはがれが起きることはほぼありません。数年後にトラブルがあるとしたら、ほぼ木部や鉄部で起こります。これはご近所の家を見渡してもわかることだと思います。
5年後に鉄部の塗装がはがれたので、保証期間中だから無償で直してもらえると思ったら、保証は外壁だけだった、ということが起きる可能性があります。ですので、保証の範囲をよく確認してみてください。
このことは、私が10年前に書いたガイドブックにも書いていることですが、外壁塗装の塗膜はがれは、本当に一部の例外を除いては、ないと思っていいです。
でもそこまでの細かい情報をお客さんは知りません。保証といえば、その期間内に、塗装に関することで何か不都合や支障が起きれば、何でも無償で修理してくれると思ってしまいます。
塗装は、数年が経過しなければ工事の本当の質が確認できません。工事直後は見た目に質的な差がわからないので、ある業者が15年の保証とうたえば、契約をとるために、もう一方の業者は20年と言わざるを得ない状況になってしまいます。
そんな言ったもん勝ちみたいなことがまだ繰り返しされていたんだと思うと、ほんとにやり切れない気持ちになります。