塗装工事前の補修工事 方角によって違う雨樋と帯の傷み方

今回は、僕が大工として担当した帯と雨樋の交換についてお話し致します。
塗装工事の際には必ず大なり小なり補修工事があるのですが、その中でも帯の取り替えと雨樋の交換は多い補修箇所となります。
とくに雨樋は、さまざまな理由で破損するのです。
このブログでは、実例も踏まえてご紹介致します。

雨樋の破損原因

雨樋は屋根上から落ちた雨を集めて排水口へ水を流すために、非常に大事な役割をします。
雨樋が無かったり詰まってしまったりしますと、屋根から落ちた雨水の一部は壁を伝い、壁の劣化を早めるのです。
この雨樋。意外な理由で破損をします。

第一に多い破損理由は、落ち葉です。
屋根上まで吹き上げた落ち葉や上から降り注いだ落ち葉が雨樋の中に溜まり、雨樋を塞いだことで雨水が流れなくなってしまいます。
溜まった落ち葉が水を含んだことで、重くなり雨樋をゆがませてしまうことも。
それ以外にも、雪の重みで雨樋がゆがんでしまったり、台風などで破損したりすることもあります。
雨樋が破損する理由はいろいろありますが、今回の破損原因は、上記のどれでもなく…なんと雨樋の中に苔が生えてしまい、水が流れなくなったことが原因でした。

なぜこのようになったかといいますと、一番の原因はこの雨樋が北側についているということです。北側は太陽が射す時間も少なく、ある程度環境が一定なのです。
南や東側に比べると、風雨なども吹き付けにくく、光の状態も安定しています。
さらに、瓦屋根に溜まった砂埃などが雨樋の中に落ち、土となりこの環境で立派な苔が生えました。
土は重さもありますので、雨樋を支えていた支持金物がゆるみ、傾斜が少なくなり水の流れが止まってしまったのです。
そこで、雨樋全体の取り替え工事をすることになりました。

雨樋交換の場合「破損した箇所だけ交換すればいいのではないか?」と思われる方もいらっしゃいますが、雨樋が経年劣化で破損したということは、遅かれ早かれ他の箇所でも同じことがおこります。
この雨樋の場合も、南側や東側など…劣化が見られました。
といっても、北側とは少し状況が違い、雨樋に土は溜まっていません。
屋根から雨樋に、砂埃が落ちたものの風雨などの影響で溜まることはなかったようです。
たかだか家の南側と北側ですが、太陽や風雨の影響や温度差によってこんなにも状況は変わります。
とはいえ、風雨にさらされている方は樹脂の劣化が進み、北側とは別の意味で交換時期が来ていました。

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そのため、今回は雨樋を全体交換することに。
もともと屋根に付いていたのは樹脂の雨樋だったのですが、今回は金属の芯が入った樹脂製の雨樋で、ステンレスの支持金物をつけました。
雨樋は、10年前に比べますとたわみづらく、軽くて丈夫になっています。お客様宅に付いていた支持金物は雨樋に対して45㎝感覚で付いていましたが、今回は60㎝おきとなります。それだけ雨樋も進化をしているのです。
また、雨樋を全て変えると見栄えも大分かわります。ですので、塗装をする際に雨樋全体を取り替えることはおすすめです。

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帯の交換はなぜ必要か

1階と2階の間に取り付けられている、胴差しとも呼ばれる部分の板の交換について説明します。
壁面のデザインとして化粧用の帯板もありますが、1階と2階の結合部分は動きがでるため、その動きに対する補強用、あるいは目隠しとして使われることも。
モルタルの家の場合など分かりやすいのですが、1階と2階のつなぎ目にクラックが入っていることが良くあります。
今回は、ベランダ周りの帯を交換することになりました。

これは、どちらかというと化粧用の帯板ですが、劣化が激しいため貼り替えすることに。
帯は、一般にケイカル板に分類される繊維混入セメントけい酸カルシウム押出成形板で出来ています。
この材料は、国土交通大臣から防火認定が降りているものなので、帯の使用に適しているのです。

しかし、このケイカル板。火には強いのですが水にはめっぽう弱く、そのために帯に使用する場合は塗装が必須となります。
そのため、経年劣化で塗装が剥がれてくると、帯自体が傷んでくるのです。
しかも先ほど雨樋でも少しお話ししましたが、家は方角によって出てくるトラブルが違います。
今回傷んだ帯板は南側だったのですが、風雨に晒されやすいため塗装の効果が弱まり、帯板が破損していました。

ですので、南側の帯板を剥がし、新しい帯板を貼り込むことに。

帯板が白いのは、この後塗装をするためです。
ケイカル板自体は、色つきのものもありますが、帯板の場合はその後の塗装もありますので、無塗装品のものを使います。

古い帯板をサイディングから剥がし、ビス穴などを丁寧に補修し、その上で新しい帯板を釘打ちし、

その上から塗装をして帯板交換は完成です。

帯板、雨樋ささいな箇所が家の持ちを変える

家というのは、角材の置き方一つでトラブルが出ることがあります。
大工の間では常識ですが、角材の置き方にもルールがあるのです。まっすぐ立てて使う場合は、上に頭、下が根っこ部分いなるようにし、角材を横にする場合は、南か東を頭にし、北、西側にネッコ側がむくようにするのです。これは、家の日の当たり方などで木の収縮などが起こることと関係します。

それと同じように雨樋や、帯板も細かなポイントがあるのです。雨樋がどの方角にあるのか、周りに落ち葉被害が起きそうな木はないか。帯板であれば、方角によって塗装が持つ年数が違う…などなど。
補修工事は、その家の環境や状態、方角や材質などを総合的に考えて対処をする必要があります。
しっかりと、補修することでその上から塗装することの意味が出てくるのです。

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大工・板金工事

塗装工事をする際は、是非とも些細な環境の変化にも気を配って、補修工事も行うようにして下さい。
その小さな積み重ねが、家の持ちを変えていきます。

建築施工主任 家のことを何でも出来るようにと、20代の時に長野県の木造建築の親方に弟子入りして大工の道へ進む。30代の時にはキャパシティを拡げるために農業や造園業にも従事。造園業では外構工事も多く手掛け、家に関するエキスパートとして活躍。見えるところだけではなく見えないところも手を抜かずにやるのがモットー。妻と子供2人の 4人家族。

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